自分で決めて、前に進む②
「仕事は私自身が考えて、つくりだすものである」
本当のキャリアは、そんな気づきが芽生えたところに始まるのではないか。前回の投稿で投げかけてみた考え方です。
では、この感覚は、どこから来ているのか?
はじめにはっきりと認識したのは、学生時代のゼミで出会った化学分野の教授の言葉がきっかけでした。
「自分たちのような化学屋さんは、世の中の役に立つものをつくれてこそ存在価値がある」
当時はちょうど、建築やインテリアデザインにも関心を持っていたこともあり、人が生きる社会に向けて、より良い暮らしを具体的な絵姿として提案していくことに漠然と憧れを抱いていました。
だから、教授の言葉を聴いたとき、「つくる人になる」ということが、直観的に心に響いたのだと思います。
その後、社会人になってからの7年間ほどはサービス業界で顧客接点、パートナー接点に立つ様々な職務に取り組んできました。
その時々において、目の前で突きつけられる要求にただ即物的に対応するのではなく、「つくる人」としてどう向き合うのか? ― それが自分にとっての仕事なのだ、という一種のアイデンティティの源ができあがっていったように思います。
さて、ここで考えてみたいのは、「指示待ち」に対比して語られる「主体性」や「自律性」が発揮された働き方です。
若手から中堅層へと成長する過程では、職種を問わず、以下のような趣旨の指導がなされることがあります。
「分析し問題提起だけして満足していてはいけない。だからどうするのかを実現可能な方法として打ち出し、実行しなければならない」
これは言い換えてみれば、「他人事のように批評する人」ではなく「自分事として解決する人」であれ、とも受けとれるように思います。
もう一歩踏み込んで表現するならば、
「自ら問いを立て、課題形成し、実現に動くこと」
こそが社会人としての真のひとりだちであり、キャリアの本番が始まるのだ、とも言えるのではないか。
成人発達論では「自己主導型」へと成長を遂げることとも言えるかもしれません。
組織においてそのようにふるまうのが難しいのは、ポジションパワーとか、目に見えないマジョリティ特権といったものが、そこにいる人たちの関係性に少なからず影響を及ぼしていること。
上述のような仕事のしかたには、「自分で決めて、前に進む」という行動が伴いますが、いまの環境、立場でそのような振る舞いが許されている(と思える)のかが大きなカギになると考えます。
この点について、今後さらに考察していきたいと思います。
(つづく)