umbrella
どうして人は、雨の日に恋しくなってしまうのだろう。
この街を美しく濡らしていく無数の雨粒を見ながら、私はあの人のことを想っている。
好き、好き、好き。
人を恋しいと思う感情は、温かくて、でも少し苦しくて、私の瞳に雨を降らせる。でも、とても暖かくて、美しい雨。
まるで忠実な愛犬のように、私はベットの上にちょこんと座って、あの人を待っている。
あぁ、愛しい。
早く、きて。
待ちきれなくなった私は、雨の日に傘を差しながら、あなたに会いに行こうとする。でも、ダメなの。会っちゃダメなの。
「ねえ、どうして」
ある女の子が私に言う。
「どうしてそんなに好きになれるの」
そんなもの、好きだからに決まっている。
全てを愛していたい。触れていたい。
私は彼を、愛したいの。
「ねえどうして、教えて」
彼女は綺麗な瞳に涙を浮かべながら聞く。
※
彼のさらさらとした手に触れて、じっと彼を見つめる。彼のひんやりとした手のひらが私の頬をはさむ。くちづけをする。
私はもうこれ以上はいらない。
どうして、雨の日に好きな人を想ってしまうのだろう。
あぁ、愛おしい。
私は生まれ変わったら、雨になりたい。
愛しい人の周りにある、ありとあらゆる汚れを、私が洗い落とすの。
私は、愛しい人に、幸せになって欲しい。
あぁ、寂しい。
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