33 不幸な自殺をなくすために自死遺族ができること

不幸じゃない自殺などあるのかと突っ込まれそうですが、娘の自殺に向き合ってきて今私が思うのは、やりたいことをやったのであれば、それは不幸ではないと思うのです。死にたくない人から見たら、死んでしまうことはかわいそうなことかもしれませんが、自死遺族になった私は、死は残された人への愛の教えなのだと思っています。大切な人の死をじっくりと味わうとここまでに書いてきたように学ぶことが山ほどあるからです。

自分の死によって、残された人が学び、よりよく生きることができるなら、まるで救世主になったも同然です。肉体を脱いでもなお人の役に立つことができたら、故人は嬉しいのではないでしょうか。私ならそれを不幸だとは思いません。むしろ幸せです。

逆に不幸な自殺があるとすれば、それは後悔している時でしょう。死にたくないのに死んでしまった時や、残された大切な人が苦しみ続ける時などでしょうか。特に死にたくないのに死んで訴えようとすることは、そのどちらにも当てはまっています。自分の人生を無駄にして、そして残された人を不幸にする自殺です。

自殺する人が残された人のことまで考える余裕があるとは普通思いませんが、ある時アメブロに設置している公式LINEにあるメッセージをもらい、復讐するために死のうとする人がいることを知り衝撃をうけました。

「私は死にたいと思っています。娘さんはどうやって死んだのですか？以前は天使が見えていたのに、最近は悪霊が・・・」という書き込みでした。

自死遺族に対して「死にたい」と言うことが、暴力に等しいことをこのメッセージの送信者はまだ知らないので仕方ありませんが、私は正直言って、むかつきました。このメッセージへの返信は絶対に「娘は〇〇の方法で死にました。あなたもこの方法なら成功しますよ！」とはならないことをわかって送ってきているからです。遺族なら必ず止めてくれると期待して送ってくるのです。そもそも死にたくないのです。

以前の私なら、期待されていることに応え「死んだら親が悲しむからダメだよ」と思いとどまらせるようなメッセージを送り返したでしょう。でも私は、自分のありのままを生きることに決めていましたので、素直にむかつきを感じた自分のまま、期待されている言葉は無視して、冷静に対応しました。

「そうなんだ。それで？」

話を続けさせようとしたら、「親身さが足りない！娘を自死させた情けない母親のくせに！」と言うではありませんか。期待した言葉が得られず怒ってしまったのでしょうね。でもその言葉によって本性を知ることになりました。自死遺族を情けない人と見下して自分に優越感を感じたい未熟さ、自分も自死することで家族が自死遺族になることをわかった上で自殺を画策している狡猾さです。（責めてません。人間らしいです。）

年齢はわかりませんが、この人は死にたいのではなく、家族（たぶん母親）に自分の存在価値を証明したいのです。そして親身に聞いてほしいという、自分を誇りに思いたい気持ちもまだ持っているということです。自らを不幸にすることで親に復讐して自らの影響力を確認したいのでしょう。自分の母親を「娘を自死させた情けない母親」にして、自分を大切な存在であることを証明したいのです。歪んだ承認欲求だと思いました。

「あなたはお母さんに、情けない人になってほしいんだね」と返したら、ブロックされてしまい、その後のことはわかりません。自分の本音に気づいてくれていることを祈ります。そもそも他人に「死にたい」と相談している時点で死にたくないのです。他人に「死にたい」と言って止めない人はいないからです。優しさももちろんあるでしょうが、赤の他人の幇助罪に問われるなんて誰だって嫌ですものね。

しかも本当に「親身さが足りない」のは誰でしょう。自分の本心を聞いてあげていないのは自分なのです。人に親身に話を聞いてほしいと思うということは、自分が自分の味方になって自分の気持ちを聞いてあげていないから、代わりに誰かに聞いてほしいだけなのです。その人にとって私は鏡となったのです。自分が自分に親身になっていないことに気づくための鏡です。

そして私は、その人の中に過去の自分を見ました。私にとっても彼女は鏡でした。私も自分が苦しむことで、母親を子育ての負け組にしたいと無意識に自分を不幸にしていたからです。本当の自分の声を聞けていなかった自分です。だから気持ちはとてもわかりましたし、なぐさめてはいけないこともわかりました。親や他人に期待するのをやめ、自分に期待することが必要なのです。彼女を自分の世界に招き入れたことで、私は過去の自分を超えられましたので、とても感謝しています。

この方は本当は死にたくはないのです。こんな自殺は不幸な自殺です。誰かを傷つけるために自分を殺すことは、卑怯な暴力になってしまいます。この自分の命が一度限りなのにも関わらず、人を陥れるために使うなど、悲しすぎることです。

もしも私の娘が私を傷つけるために死んだのなら、私は今より派手に幸せを謳歌して後悔させてやりたいと思います。それが親の役目です。もちろん娘は私の救世主ですから、そんなことはありませんが。

そして気づかせてもらったのは、なぜこの方が死んで復讐しようとおもったかといえば、自死遺族の苦しむ姿をどこかで知ったからだと思うのです。「死ねば親はこんなに悲しんでくれるんだ！」そう思ったにちがいありません。自死遺族に悲しむなとは言いませんが、幸せになることは大事だとお伝えしたいです。

なぜなら、娘が死んでいるのにも関わらず、娘に感謝だの幸せだのと言っている私のような存在が多数いれば、自殺による復讐計画は完璧ではないことを知らせることができるからです。自死遺族が幸せに生きることは、無駄な自殺の抑制に繋がるのです。

私は自死遺族になってたくさんのことを学びましたが、自死遺族になどならないほうがいいに決まっています。私の体験を読めば同じことを学べます。ですから復讐のための自殺によって自死遺族がこれ以上増えることがないよう、私は幸せでいることをこれからもアピールし続けようと思っています。そして幸せになろうとする自死遺族の方の背中を支えてあげたいと思います。

そしてそれが、地球を愛する娘の願いであり、私を幸せに導く作戦なのだとも思うのです。娘が自殺で亡くなっていなければ、私はこの真実にたどり着くことはできませんでしたし、自分の進むべき道もわからなかったからです。他にも私が絶対に幸せでいるように仕向けた娘の作戦がありますが、それはまた別のページで。

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