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真帆しおん*Shion MAHO
2021年6月28日 19:56
ギルがゆるやかにハンドルを切ると、目の前に青い海が広がった。ネモフィラの花畑を思い出す色彩。セリは息を呑み、わずかな時間、苦悩を忘れた。「ほんとうに、私の頼みもきいてくれるの」「もちろん」 約束だからねと、彼は前方を見たまま答えた。車内にはミントの香りが漂っている。「どこへ行くの。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」「もうすぐ着くよ。それに」「私は知る必要がない、でしょ」 セリ
中島亮
2021年6月23日 05:40
そのぬいぐるみは、燃やしても、刃物で切り刻んでも、消滅しないそうだ。また、閉じ込めようとして、頑丈な箱や金庫に入れていても意味がなかった。 いつしか「呪いのぬいぐるみ」と呼ばれるようになったが、中には「幸せのぬいぐるみ」と呼ぶ人もいる。それが直接何かをする訳ではなかった。では、何故「呪いの~」や「幸せの~」などと呼ばれるようになったのかというと、そのぬいぐるみが、洋の東西を問わず、突然人の家の