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藤原達郎
2022年5月23日 12:10
本番の一週間前、我々がお芝居の稽古をしていると、何者かが稽古場に入って来ました。その者は、黒いキャップに黒いマスクをしており、不審者のようにも見えました。「誰だ、あれは?」「知り合い?」「いや、ちょっとわからないな」その者は、稽古場の隅に申し訳なさそうに正座し、我々の稽古の様子をじっと観察し始めました。その時、トイレから戻って来た文目くんが言いました。「あれ、ひょっとして太田カツキ
2022年5月17日 18:50
稽古場に着くなり、演出のみずきくんから、芝居がかった口調でこう言われました。みずき「『どうなっても知らねえからな!』」藤原「え?」みずき「『どうなっても、知らねえからな!』」藤原「何?」みずき「一生に一度は言ってみたいセリフ。女の子が、危ないのがわかり切ってる場所に行こうとしてる時に言うやつ」藤原「あぁ」 「俺、男だし、子でもないが」と思いながら、チョークを持ち、黒板に「どうな
2022年5月16日 07:56
本番まで二週間を切りまして、少し前から、「立ち稽古」が始まりました。じゃあ、今までは立っていなかったのか、と言うと、そんなことはなく、そもそも立って、なんなら歩かないと、稽古場にたどり着けません。けれど移動手段が車の方は、稽古場まで座っています。座りながらにして移動できるわけです。車って便利ですね。そんな車移動の人も、駐車場から建物に入るまでの間は、少なくとも立って、歩きます。車のまま建物に突
2022年5月6日 07:43
稽古前、みんなで高木さんの大阪土産である“たこ焼きハッピーターン”を味わっていると、ハルちゃんが稽古場のドアをバンと開け第一声、疑問を投げかけました。ハル「メロンパンって、何が入ってるんですか!?」 みんな、頭をまだ“たこ焼きハッピーターン”から切り替えられず、ハルちゃんを見ながらもぐもぐやっていました。ハル「何が入ってるんですか、メロンパンって!?」 ハルちゃんが語順を変えて強
2022年5月6日 06:43
2022年5月1日 13:23
2021年8月2日 12:15
水曜日の男の稽古をしました。稽古終わりにみんなで駅まで歩きました。演出の藤本瑞樹くんが、おしゃれな帽子をかぶっていました。「その帽子、おしゃれやな」「そう?」「おしゃれと思うわ」「無印良品で買ったんだ」おしゃれにあまり詳しくない俺が言うのも何ですが、瑞樹くんの帽子は紺色で、全体的にふわっとしたフォルムをしているにもかかわらず、キュッとなったツバがアクセントになってておしゃれです。「
2021年7月30日 07:00
「水曜日の男」の稽古に行かず、人間ドックに行きました。ドッグではありません。ドックです。ドッグじゃ犬です。人面犬みたいなことですか? 知りませんよ、俺は。いいんです、今、人面犬は。俺が受けたのは人間ドックなんですから。毎年、職場での集団健康診断は受けているのですが、人間ドックを受けるのは初めてです。フルコースだと丸二日くらいかかるらしく、今回は半日で終わるミニ人間ドックに、妻と二人で申し込み
2021年7月24日 22:31
稽古場に早めに着いたので、本を読んでいると、若宮さんが来ました。藤原「あ、おつかれさまです」若宮「おつかれさまです。早いですね」藤原「そうですか?」若宮「早いですよ」藤原「そうでもないですけどね」若宮「そうですね。何読んでるんですか?」藤原「村上春樹の『騎士団長殺し』です」若宮「どんな話ですか?」藤原「騎士団長を殺す話です。若宮さん、劇トツおつかれさまでした」若宮さんは若宮計
2021年7月20日 12:01
「水曜日の男」の稽古をしました。稽古場の近くで昼飯を食おうと、大型商業施設のフードコートに行きました。時間的にあまり余裕がなく、麺類とか丼物がよかろうと思い、パッと目についた丼物屋のカウンターへ向かいました。「いらっしゃいませ」と店員さんが言いました。「これください」と俺はメニューを指さしました。注文時、俺は基本的に店員さんと目を合わせません。「並でいいですか?」「並でいいです」「大
2021年7月12日 12:08
「水曜日の男」の稽古をしました。演出の藤本瑞樹くんが稽古場に着くなり、「今日、ここに来る途中、すごくおもしろいことがあったんですがね、すごくおもしろいので、これはもう、是非みんなに聞いて欲しいんですが……」と言い出したので、話のハードル、すげえ上げるな、と思いながら聞いていました。「コンビニに寄って飲み物を買ったんです。で、会計をしてくれた店員さんが『ポイントの付くカードをお持ちではありませ
2021年7月6日 12:03
「水曜日の男」の稽古をしました。演出助手として坂井さん(じあまり。)が参加してくれているのですが、経緯をすごく簡単に説明しますと、小倉駅前を歩いているとばったり会って「今度、公演するんですが、どうですか?」と聞いたら、「いいですね」と答えてくれたので、参加していただくことになったという次第です。坂井さんも脚本を書くので、休憩中に本について聞かれました。「この本、どうやって書いたんですか?