マガジンのカバー画像

【連載】日本文化のはなし

70
日本文化の色々を語る連載。とりあえず隔週月曜更新にします。現状、毎週月曜日は割とこういう系の話をしています。月曜日に知的になる人。
運営しているクリエイター

記事一覧

【器のはなし】リサイクルショップで買ったもの集め

最近、珍しく古道具屋ではなくリサイクルショップで器を買った。というのも、リサイクルショップでは、古くても大正時代くらいまでしか扱わないからだ。個人的に明治ぐらいの器が好みなため、あまり刺さらないのだ。和食器よりもリチャードジノリのカップアンドソーサーが欲しくなって帰る。あの万国旗みたいなデザインのやつ。五年ぐらいずっと欲しがってる。 和食器ではなく国内の洋食器メーカーもあまり刺さらない。ノリタケ、ナルミは「あるねえ」と思うけど、惹かれるのは東洋陶器だ。東洋陶器はTOTOの元

【日本美術のはなし】琳派はグッズ化すると本当に映える【グッズ】

今しか手に入らなそうな絵画缶を入手したため、情報共有と自慢を兼ねて今回は所有している日本美術関連の缶を見せます。 ○ 鈴木其一『朝顔図屏風』ゴンチャロフから出ている、今年のバレンタインパッケージ。このパキッとした色使い。いつまで経っても古臭くならないと思う。色もそうだけど線が整いすぎていて、どこにも粗が見えない感じがする。西洋の博物画に似た魅力がある。すっきりとした線に、「味わい」として消化されそうな歪みを持たせない精巧さというか。こういうものを持つと自分らしいと思えるし

【器のはなし】線を潰さず絵付けする技術、もはや人間辞めてる。

新年一発目、巳年だからといってベビ柄が都合良く出てくると思ったら大間違いだ。今回は染付盃です。 当然のように日本酒を飲むのに使う。あとは小さめのおつまみ、濃い味で量そんなにいらないアテ(チャンジャとかたこわさとか、もっとやるなら味噌や塩)、酒関係なく調味料入れにしたり。ぬいぐるみ用のお茶碗にも良いのでは。やったことないけど。 まずは、染付よろけ文盃。形の特性上、逆さまにした方が外側の模様が見やすい。こういうのが水を張った盃洗の中に浮かんでいると風流なのかな。 細かい線の

【平成のはなし】叫ぶ人は叫んでください。

実家で平成の遺物を掘り出したら、懐かしさで爆ぜるかと思った。ちゃんと書ける時間無かったからとりあえず画像だけ載せておきます。叫ぶ人は叫んでください。(2024/12/30) 追記(2024/12/31):文章を追加しました。 年賀状に貼るおみくじスクラッチシール。まだきちんと年賀状を出して出されてしていた時の残り物。先生がこれ貼って送ってきがち。一円玉だと微妙に削れなくて、十円玉を財布から取り出して一応削ってみるんだよね。結果とかより削っていないスクラッチがあるから削らな

【器のはなし】戸棚を覗いたら覗きがあったから今日は覗き

年末だし来年の干支に絡めた何かを……と思いついたが、蛇に繋がるような器その他話題が思いつかず、やれやれ……と戸棚を開いて見つけたもの。 「覗き」「覗き猪口」と呼ばれる、半筒形の小さい器。私は酒器として使っているが、元々は調味料を入れたらしい。聞いたところによると、大皿に刺身を盛り付け、醤油の入った覗きを一緒にのせたとかなんとか。聞いた話だから出典が分からない。 覗きは小さいゆえに手に取ると可愛がりたくなる。それまで何とも思っていなかった器をいっぺん手に取ってみたら、急にか

【器のはなし】陶器四点、改めてじっくりと見てみる。

このところ『日本やきもの史』という本を読んでいた。縄文時代から現代までの日本の焼き物の流れを知れる、教科書的な本だった。掲載していたカラー写真のどれもが優品ばかりだったので、どれを見ても「これはすごい!」と感動してしまった。本文を読むと鑑賞ポイントがなんとなく分かるから、それもあって以前よりも焼き物への興味が湧いた。買う/買わないの視点だけではない見方を得たと思う。 それで書籍に登場した色々なものをもっと知りたい思いが湧いたのだけど、外に手を出すより先に、すでに自分が持って

陶片から情報を読み取って元の器を想像する遊戯

まずは、こちらの陶片をご覧ください。 上から、口縁、胴、高台(器の足の部分)と繋がっているのが分かるだろうか。 上がどこまで続くか分からんだろがい!というツッコミもあるかもしれない。上の模様をよく見ると、四方襷文であることが分かる。これが器の中間に入ることはほぼ無い。むしろ口縁部によく使われる模様と言って差し支えないだろう。よって、これは陶片の縁はほぼ器の口縁に当たると推測出来る。 さらに、胴の模様は丸の中に「壽」とあり、その左に見切れている丸の中も「壽」の一部と重なる

想像力を鍛えろ!陶片模様当てクイズ〜〜!!!

ビーチコーミングで入手した陶片の紹介シリーズ第二弾。今回は模様当てクイズをしましょう。たとえ嫌だと思っても、このまま下にスクロールすれば始まってしまいますよ。ふっふっふ……恐ろしいか、noteの仕様が。 さっそく例題をば。正解の正しさには九割五分の自信があるので安心して進んでほしい。PCで読んでいる人は画像がでかいと思うかもしれないが、スクロールの調整具合による予期せぬ正解発表を防ぐため、大きめに出させてもらう。 例題 正解は・・・ 笹/竹断片が竹ってことは、近くに雀

【器のはなし】ビーチコーミングで得た陶片を観察して盛り上がろうよ

先日ビーチコーミングで入手した陶片の紹介をする。なんか、シーグラスのノリでシー陶器って言うらしいね。ふうん……よし、やっていくか。 これらは、ほとんど一箇所の浜で入手した。あまりにも取れるので驚いた。たくさんあったとはいえ、模様らしい模様がバッチリ残っていたりアクセサリーになりそうな大きさだったりというのが少なめな気がするから、同じ場所で良いものをさらっていった先人はいたんだろうと思う。使いにくそうな高台部分も多く残っていた。 とりあえず時代順に並べてみる。左から昭和〜大

【器のはなし】滝といえば鯉じゃろがい!(ちょっと浮世絵の話も)

先日、オモコロチャンネルで「個人的”恐怖症”発表会」という動画が上がっており、そこで恐山さんが葛飾北斎の『諸国瀧廻り』が怖いと話していた。特に「木曽路ノ奥阿彌陀ヶ瀧」が怖いそうだ。 動画内で「構図がおかしくない?」と触れられており、それはその通りなんですが!この上の円形の部分は、滝の真上の水が溜まっているところを描いたものらしく!そう考えると葛飾北斎が試みた表現方法ってすごいところまでいってるんだなー!ってなるよね。私は何かしらの展示でこの解説を見て、一気にこの絵が好きにな

【器のはなし】大皿コーナーに「今日は私です」と言ってる奴がいた

一週忘れてて飛ばしたかと思ってたら、今週更新予定だった。な〜んだ。 秋っぽくなってきたから秋っぽい器あるかな〜馬とか良いかもな〜と思っていたら、大皿コーナーに「今日は私です」と言ってる奴がいたから秋らしさとか諦めてそっちにした。 「私です」 良いですね。本当にかっこいい。初めて見つけた時からずっとかっこいい。この皿を見るたびに自分のセンスの良さを実感する。おそらく色絵素地で、この後で色絵が施されて完成品になるはずだったと思われる。 径30cmあってちょうど尺皿のサイズ

【器のはなし】いつか直したい器たち。捨てたくないし使いたいんだよなあ。

二週間くらい前、おかずを盛り付けた器をレンジで温めて、机に運び置いた瞬間、ヒビがガッツリ入る音がした。このタイミングで、まさかこのまま割れるなんて言わないよなあ?と指を離すと、まだ分裂はしていなかった。しかし油断は出来ない。入ったヒビが深く、貫通している場合、おかずの汁が滲み出てしまう。……それはまあ食べ終わってから机拭けばいいか。 という顛末があった器がこれだ。 なぜまだ取っておいてあるのかというと「いつか直そう」と思っているからだ。正直捨てるか迷った。かなり。この器は

【器のはなし】かわいいもので心を救う。かわいいは疲れに効く。

何もしてないのに暑さで疲れる夏よ。いまさら熱中症対策でタブレットと粉アクエリを買ってきた。軽い熱中症に一度なった後遺症が続いている。春雨スープに浮いているお花の具材の可愛さに救われるんだから、可愛いものを見せて他人の心を救うのは、今、まさに今、求められていることのはずだ。 今回は、私が実際に何度も元気づけられた器を紹介する。 ざっくりしたゆるゆるの絵付けに良い予感を感じる。まあね、とりあえず一周分の写真をご覧ください。 これ!この背中のこれ!!雀!!!何度見ても良い〜〜

【器のはなし】納涼のための青磁。みずみずしいエメラルドグリーンだ。

本来は昨日が更新日だったが、あまりにも疲労が溜まりすぎていてやる気にならなかったんで、今日に移動。前回に引き続き、今回も涼しげな器をババっとやっていくぜ。青磁じゃ。 青磁はエメラルドグリーンや白濁した黄緑や水色っぽい色をした釉薬がかかった磁器で、目をひく美しさがありつつも使いづらそ〜なカラーリングなので買うかどうか悩む。釉薬を何度も塗り重ねて色を付けるので、厚みがあって重たいものが多い。 まずは白菜を。これは気に入ってるから何度か出しているような、二回目かもしれないな。