女の朝パート8
あらゆる場所に移動する女にとって、
自分が今何処にいて、これから何処へ行き、何をするのかを知って置くことは、
未来を創造する為には必要不可欠な事である。
何故ならば、身体(姿勢)作りもそれに近いから‼️
スタバに来た女の第一声は既に決まっていたようだ。
暗転
女はパニックになったつもりでいた。
何故ならば、
自分の意思とは関係のないところで自分の肉体が宜しくない反応を起こした事が一つと、
さっきまでざわついてた店内が、突としてシーンと静まりかえり、不気味さを漂せるような空気に変わってしまった事も一つと、
何よりも、ワタシと女が今、この場所で同じ言葉を同時に発したからだった。
しかし、恐れる事など何もない、と呟き、
いつもの幻聴だと思い込むと、気持ちが楽になり、何だか呼吸をする事さえも愉しくなった気がした。
しかしここにたどり着くまで、ワタシは、多分哀しみのほうが大きかったと思う。
しかし、今になってみるとワタシの過去の記憶とは、何処か不安定で不確かな事も多いと思った。
とりあえずワタシは、いつものように写メをとり、液晶画面に指を這わせる。
どうしても伝えたいことも、報告します的なことも何もないけれど、
いつの頃からか、ワタシの指はここに来ると震え始める。
今日のここは、JR 東日本山手線沿いにある田端駅の駅ビルアトレ2階にあるスタバ。
大型連休GWの初日を迎えた今日の天気は曇りで肌寒い。
日にちは4月27日土曜日。時刻は間もなく9時。
今日はここに向かうまで、途中の新宿駅まで息子と一緒だった。
電車の中では、一言も会話がなく、
わざとワタシと距離をとる息子の姿にワタシの胸はキュンとし縮んだ。要するにワタシはあの時、悲しかったと自覚をした。
あの頃の愛らしさは何処へ行ってしまったの??
ワタシのガラガラを率先して持ってくれた優しさは?
スタバにも沢山来たよね?
このスタバにも!
溢れだす想いは暴走をやめなかった。
上へ下へと飛び上がり、
誰かが掴んでないと暴れているホースのようだと思った。
暗転
女は、大体いつもと同じ席に座る。
白い陶器のマグカップに並々と注がれた、←(マグカップでお願いしたのに紙のカップになった)
湯気のたつ香り高き珈琲を飲みながら、
窓の外に拡がる景色を恍惚とした表情で眺める。
そして、このあとの女は、
誰に言うでもなく、どうでも良い事を、このスタバと言う場所で一人呟き始めるのだ。
そして、もう時期そろそろその時間はやってくるはずだ。
女はきっと、自分の息に、柔らかく、光があり、
色彩をも放つような数々の単語を並べたいと思っている。
だから、
花の香りを漂わせるような時もあり、
排気ガスを撒き散らすトラックのような時もあった。
女は女の声に耳を済ませる。
ワタシは座った。
今日もこのスタバに。
いつものように写メをとるとぼけっとする。
何故だか解らないけれどぼけっとする。
意味もなくぼけっとし続けると、
スタバの椅子と自分が固い絆で結ばれてきた気がしてきた。
語り尽くせない青春の日々。
時には喜び、時には傷つき、
画面を叩きあったあの日び。。。。バイ長渕剛。。
女は、ここまで呟くと、
珈琲の、中身がないことを気がつき、半ば強制的にここを終着駅に定める事にした。
話は過去に戻るけれど、
身体造りをする者とって必要不可解な事は、この場所でぼけっとすることなのだ。
ここには、過去も現在もない。
未来しかない気がするから。
完