#47 「IgA腎症」を知ってほしい!
上記の記事で、僕は健康診断がきっかけで病気が見つかったことを書いた。
病名はIgA腎症。
指定難病とされている腎臓の疾患である。
noteで「IgA腎症」で検索すると約700件。
同じ腎臓疾患である「腎臓病」は約5000件。
やはり認知度はさほど高くないようだ。
そこで、少しでも多くの人にこの病気について知ってほしいという気持ちを込めて、できる限り平易な文章で伝えていきたい。
ちなみに今日これを書くのには、理由がある。
発症してから初めて、ある数値がよくなったのだ!
その喜びを噛み締めている今、書くしかないだろうと思ったわけである。
IgA腎症とはどんな病気なの?
まず、IgAというのはウイルスや細菌から体を守るタンパク質のこと。
そう、IgAというのは体を守ってくれる存在なのだ。
しかし、IgA腎症の患者のIgAは全く逆に作用する。
自身の腎臓を攻撃するのである。
それによって腎臓が炎症を起こし、血尿(いわゆる潜血反応)が現れ、さらには血液中のたんぱく質も尿と一緒に出してしまう(いわゆる尿蛋白)。
なので、尿検査で尿蛋白・潜血反応が出たことによって発覚したのである。
そして地味に怖いのは、全く持って自覚症状がないこと。
実際、僕も痛みなどを感じたことはない。若干心の方を痛めたくらいである。
これは言ってみれば、発覚するルートが2つしかない。
尿検査を受けるか。
あるいは、(自覚症状があるくらいの)腎不全になるかである。
そして、この病気は難病であるため、原因がわかっていない。
なぜIgAが裏切りやがったのかがわからないのだ……!
なので、いつ誰がなってもおかしくない病気だといえる。
どうやって治療するの?
僕の場合、4つのフェーズに分けられる。
人によっては2と3の順番が変わることもある。
腎生検を受ける
扁桃腺摘出手術を受ける
ステロイドパルス治療を受ける
服薬と日々の食事制限で様子見
1. 腎生検を受ける。
腎生検とは、腎臓の組織を取り出す検査のことで、この検査をしないと、お医者さんは「IgA腎症」の診断を下せない。
細かく言えば、背中に部分麻酔をして、大きな針を入れて、腎臓の組織を少しつまんで取り出すのである。
いたたたたたっ!!
と思うかもしれないが、全然痛くない。麻酔って素敵。
しかし、地獄がその後からだった。
背中に穴を空けたためそこから血が出るのを防ぐべく、
そこから24時間はベッドから起き上がってはいけないのである。
僕の場合は仰向けで24時間を過ごした。少しずつ足を動かせたり、寝がえりを打てたりするのだが、起き上がれないというのは本当にきつかった。
生検から24時間後……
久々に起き上がって、食べたコッペパンの味はいまだに忘れられない。
2. 扁桃腺摘出手術を受ける
喉が痛くなるあの扁桃腺?
と思われるかもしれないが、腎臓を攻撃するIgAはまさにこの扁桃腺で作られているのだ。
この扁桃腺摘出手術の体験記も気が向いたら書こうと思うが、他の人より僕はあまり痛みが出ずに済んだ。
それでも食事は固形物をしばらく食べられないのがしんどかった。
入院前半は液体しか口に入れられなかったので、お腹が満たされない。
そこで医者の許可を得て、プリンをしこたま食べた。
病院に併設されているコンビニのプリンは全部制覇したくらいに食べた。
扁桃腺摘出手術を受けた人はなかなか食べ物が喉を通らないので、お医者さんからはプリンを食べただけで褒めてもらえたのだ。
そしたらもう食べるしかない。
元・巨漢の力を発揮した入院生活だった。
3. ステロイドパルス
ステロイドとは腎臓の上部である「副腎」と呼ばれる箇所から作られるホルモンの一種のこと。
これを投与すると、炎症を抑えたり、免疫力を抑制させたりする。
人によってはとても辛い副作用があるけれど、僕はそこまで副作用が出ることはなかった。
この治療は、2時間の点滴を3日連続で行う。
さらにその3日連続を1クールとして、2か月ごとに3クール行う必要がある。
1クール目は大きい副作用に備えて入院をする必要があるのだが、もうこのときには、僕は入院慣れをしていた。
入院する準備よりも、入院中に読む小説選びに時間を費やしたほどである。
4. 服薬と日々の食事制限で様子見
あとは日常生活で服薬をしながら、食事に気をつけていく。
食事で気をつけるのは、塩分。
WHOでは1日あたりの食塩相当量を6gが基準としているようだが、日本人は味噌や醤油などをよくとるので、全体的に塩分が多くなってしまう。
……のだが、このWHO基準に合わせる必要があるのだ。
濃い味が好きな人にとってはきついかもしれない。
あとはタンパク質。
日本人は不足しがちと言われているが、これも制限する必要がある。
僕の場合はこれがきつかった。
筋トレしてプロテイン、というダイエット正攻法ができなくなってしまったからである。
しかし、これらを守りつつ、日々薬を飲みつつ生活をしている。
病気が発覚してから3年以上。
定期的に受ける検査で、幾度も尿蛋白反応、尿潜血反応が出ては、食事を変え、薬を飲み、日々努力してきた。
これからもこの病気と付き合いながら、健康的に過ごしていきたい。
健康だからこそ色々楽しい
病気になって何一ついいことがなかったかと言われると、そうではない。
健康に生きられることが当たり前ではない。
日々元気に働けることが当たり前ではない。
健康だからこそ、趣味に友達との会話に楽しむことができる。
それを骨の髄まで知ることができたのは、病気のおかげである。
何より、努力が実を結ぶという喜びも今日味わうことができた。
発病以来ずっと出ていた潜血反応がなくなったのだ。
病気の種類にもよるが、僕の場合は、付き合っていくものだと考えている。
病気と仲良くしていくことを、受け入れながら生きていく。
参考サイト
ステロイド治療|東京女子医科大学病院 腎臓内科
IgA腎症療養ガイド2023
以前の記事にも書いたが、この病気は見た目ではわからないもの。
この病気にかかわらずだが、見た目は元気だけど、辛い思いをしている人もたくさんいる。
この記事で、少しでもIgA腎症という病気を知ってくれたら、この上ない喜びである。