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「20代で得た知見」を10代が読んでみた。【読書】
Buenas tardes.
時に刹那的で儚い、若さ故の独特の心情を
ここまで秀逸に書き綴った表現者がいまだかつていただろうか?
私は、言葉の持つ力を侮っていたかもしれない。
若者特有のモヤモヤを上手く言葉にしてくれた、「そうだ、私は今までこんな言葉が欲しかったんだ」と自分の求めていたものがクリアになる感覚。
今日は、Fさんの著作「20代で得た知見」を10代の(自分で言うのもアレだが)瑞々しく純粋な感性で読んだ感想を書き記すことにする。
「20代で得た知見」とは?
著者のFさんが「二十代の内に知っておいた方が良いこととはなんですか」と、様々なバックグラウンドを持つ数百名の方に訊いた、その断片を集めたもの。
本としてのジャンル分けは難しいが、短編のエッセイ集と言ったところだろうか。
このnoteでは、私が特に印象に残ったフレーズを引用し、それについての感想や考えたことを書き記す。
3.最も痛々しい思い出が、それでも一番美しい
好きな場所で、好きなことを、好きなだけしている、そんなあなたを好きになってくれる人をまず一番大切にしたらよろしい。背伸びした自分を好かれたって、もはや仕方ない。遠慮したって、いつまでも埒が明かない。等身大で、嘘を吐かず、隠れず、隠さず、堂々と暴れる。好き嫌い、はっきりさせる。それが二十代の大前提です。
シンデレラはいません。白馬の王子様もいない。
でも、どこかに特別な一人がいる。同じような魂を持つ、孤独な人がいる。
そんな一人に出会うまで、とりあえず一人で生き延びるとよろしい。
20代だけでなく、これは全年齢に言えることなのではないかと考えた。「等身大で」という箇所が非常に重要。好かれようと必死になったり、欠点をなくそうとしたり、憧れの誰かになりきろうとするよりも、ありのままの自分を好きでいてくれる人を大切にしたい。
忘れがちだが、至極当然のことに気付かされた。
10.過剰こそが唯一の正義
もし根暗なら、根暗であることを突き詰める。
オタクならオタクであることを突き詰める。
類は友を呼ぶ。ついでに恋人も呼ぶ。なんなら仕事も呼ぶ。
世界を中心としない。己を中心とする。
過剰で、素直。これが最も楽な生き方です。
世界や社会を中心とすると、それと自分のギャップに悩んで苦しくなることがあるだろう。
そんな時私は、この言葉通り、「己を中心とする」ことを大切にしている。
もっと言うと、「みんなはこうなのに私だけがおかしいんだ」が続くと精神衛生上よろしくないが、「みんな変だな〜。まぁ私が良ければそれでいっか」なら間違いなく心の平穏は保たれるであろう。そういうこと。
65.最後の砦を、死守する
「死にたくなったら、寝ろ。寝られなかったら、朝焼けを見に行け」と教えてくれたのは現代国語の先生でした。「もし心が先に死んでしまいそうなら、カメラを持ち歩け。外の世界への内面の感度を、強制的に上げろ」と教えてくれたのは職場の先輩でした。
彼らの台詞を思い出す度、私は嬉しくなる。
「それでも人間はしぶとく生きる。だから安心しろ。そして、絶望しろ」と言われているようで。
「死にたくなったら、寝ろ。寝られなかったら、朝焼けを見に行け」のフレーズにどこか安心感を覚えるのは私だけだろうか。絶望しながらでも、とりあえず生きてみる。その延長線上に、希望があったとしてもなかったとしても。
113.戦争文学の准教授の台詞
第一が「主人公はまず物語の冒頭に、なにかを奪われていなければならない」
第二が「すべての物語は、主人公が奪われたものを取り返すその葛藤と過程を描く」
第三が「しかし最後に取り返すものは、主人公が最初に奪われたものとはまた別の、幸福なものである」
こちらは見出しにもある通り、戦争文学の女性准教授が話した創作理論についての話だ。
典型的なV字回復物語の象徴的な書き方である。いや、物語というより人生そのものの摂理に近い。
156.我々が言うべきただ一つの台詞
努力すれば必死だと笑われる。なんにもしなければ無職だと後ろ指をさされる。
恋人がいればそんな奴で大丈夫かと言われる。恋人がいなければ寂しくないのかと言われる。恋人未満の関係は、とりあえずやめとけと言われる。やめとけと言われてやめられるようなら、そもそも始めていないのですが。
個性を突き詰めれば異性のウケが悪いと言われる。無難を極めると遊び心がないと言われる。結婚しなければ孤独死するぞと言われる。結婚すると子供の予定はと訊かれる。子供ができれば二人目はなどと訊かれる。引っ越さないのかと言われる。
なにを言っても、なにをやっても、槍は飛んでくる。クソリプは飛んでくる。
ですので、我々が言うべき台詞はたった一つです。
うるせえ。黙ってろ。
私は私の好きなように生きる。おまえもおまえの好きなように生きて死ね。
痛快な表現。私は本書の中でこの箇所が1番好きかもしれない。他人の人生にやたらと首を突っ込んでくるような輩に対しての怒りや鬱憤が晴れるような、そんなスカッとした感じ。
これからも忘れずに胸に刻んでおきたいフレーズ。
180.私の愛
忘れがちなことですが、もし好きな人がいたなら、褒めた方がよろしい。
寝顔が可愛いとか、寝言が面白いとか、怒ってるところも格好良い、とか。どうしようもないところを褒めた方がよい。なるべく色んな言葉を使い尽くして。なるべくふとした時に、言ってあげた方が良い。なぜならあなたもお相手も明日も生きている保証はどこにもない。本人が格好悪いと思っているところを守ってあげたらよい。
「そういうところがださいけど、最高に可愛くて、憎めないよね」と。
それがいつかお相手の自信になればいいと思っている。たとえ私がいなくなってもお相手の心を守るかもしれない。できれば私の言葉を思い出さなければいけないほど困り果てる、そんな瞬間がこの人には来なければいいなと祈りながら。
身近な人や好きな人を「褒める」って意外と難しい。というか改めて褒めるのは恥ずかしいと思ってしまう人も多いのではないだろうか?しかし、褒めること、言葉にすることは非常に大切で、その言葉が大切な人の心を救う、そんな日があるかもしれない。
最後に
人生というもの、人間というものは非常に複雑で、法則性があるわけでも、テンプレートがあるわけでも、お手本があるわけでもない。
そして、20代とはきっと、若さ故に辛いことや壁にぶち当たることも多く、迷いながら、もがきながら進む、そんな期間なのだろう。
時には、本書に書いてある「知見」が罷り通らない状況に出くわすことだってあるだろう。
それでも、日常を少しでも喜びのあるものに変えるため、私たちはなんとか生き続けているのかもしれない。
本書がくれる「ささやかな愛」が、いつかあなたを救ってくれることを願って。
Vi sees i morgen.
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