星影 流

星影 流(ほしかげ ながれ)と申します。小説らしきものを書いて楽しんでおります。その他、詩や短歌(時々は長歌も)、五行歌を詠んでおります。 「言葉は心のサプリメント」と言いますが、誰かに届くサプリであればと思います。 拙文、拙作の段はご容赦を。よろしくお願いします🙇

星影 流

星影 流(ほしかげ ながれ)と申します。小説らしきものを書いて楽しんでおります。その他、詩や短歌(時々は長歌も)、五行歌を詠んでおります。 「言葉は心のサプリメント」と言いますが、誰かに届くサプリであればと思います。 拙文、拙作の段はご容赦を。よろしくお願いします🙇

最近の記事

詩「言葉の一滴」

何もない水面に 言葉を一つ 水面に触れたなら 瞬く間に 触れた所から 木々の緑や 花や蝶 鳥の囀りと動物達 めくるめく極彩色の 総天然色の世界が動き出す 空には数多煌めく星々の 甘く歌う吐息 その吐息が 星座を象って 銀河の果まで 飛び立つ人達 そんな何もない所から 始まる言葉を 僕は詩いたい 無から想像する幻想にも似た詩を 僕は詩いたい 揺らめく心を詠んでいたい 彗星の様に来ては去る季節を歌い 美しいままの森羅の そこはかとない刹那を切り取り 誰かに見せたい そんな

    • 「あの日の男」 星影 流

      こんな秋の、時は丁度今頃。 今は昔のお話を始めよう。  男は不思議なものを時々見た。それは影だったり気配だったりと姿はハッキリ見えてはいないが、「何か普通ではないな」と思ってきた。  秋もこの頃になると、学園祭の雰囲気が学校そばを通ると感じられる様になった、そんなある年の事。  男は継続的な不眠症に悩まされていた。原因は「気配」である。 大概の場合は、目を瞑るとその度に遠くから何かが飛んでくる気配がする。それが男を眠るのを妨げた。  何度目かの夜。それがどうやら「手」で

      • 時代小説『ひなげしの雫』(伍)

        第五回 子期の姓は「虞」である。呉が出身であった。父親は虞威と言う者だったが、野盗だった。ただ生来の野盗では無く、陳勝と呉広の乱に呼応して、春秋の英雄にかぶれて勢いでなったものだった。それまでは、秦の地方官吏をしていたが厳罰主義の秦の法制と己の無能さが故に秦を見限ると言う、なんとも日和見な父だった。 小さい頃から楚の項燕等の地元の英雄譚を聞いて育った。その熱の入り様は、時々は子期も呆れるほどでどちらかと言うと、虞威の方が夢中であった。 この野盗崩れの父は、己には才覚がないの

        • 短編小説『第三探偵』(解決編)

          〜対決〜 『やれやれ…』 事務所に戻った三月は、少し疲れていた。ドサリとソファーへ倒れるように座った。ソファーを占領して、歩いてくる甜に声をかけた。 『奴さん…なんだって?』 『焦っている感情を検知しました。効果的だったですね。さすが、センセー!』 普段は感情の起伏というものを表さない甜は珍しく饒舌であった。そうは言っても、普段よりは僅かに興奮気味だと言う程度であるので、三月の様に普段からよく知っていないとわからない程度の変化ではあるが… 『おぉ…珍しい反応で、ビックリ

          詩 「ネコの名は」

          トテチテ歩いて ポテポテ転ぶ ニーと鳴いたら ご飯の時間 ご飯を食べたら お尻をフリフリ 草のユラユラ 蝶のヒラヒラを狙って そう言えば 君をなんて呼べばいいかな 大体、ニャーと呼べばやって来る君を 家に来るかい? そしたら君の名前を つけたっていいかな? チュールの袋を穴だらけにする 噛みグセの強い君だから おかみさんと名付けようか 気に入らないかな? ニャンとか言ってよ 君の名前 〜星影 流〜

          詩 「ネコの名は」

          『紫の月の頃に』(三)

          〈五〉 『法力とは…想いの形の様なものだ。この幽月に入る事が出来たなら、法力の種を既に宿しておる…まずあぐらをかいて、手を降ろし…両の掌を合わせて軽く器の形にする…そうだ…雪人、そうじゃない。こう、だ…』 襲津は見た目に似合わず優しく教えてくれた。 『ん…ワシの言葉は古いかもしれぬ…弘樹殿、この者たちのわかり易い言葉で伝えてくれぬか?』 『襲津さん、教えるの上手いですよ?』 『そ、そうか?』 満更でもなさそうだが、やはり弘樹が教える事になった。 『ここまではいいね?

          『紫の月の頃に』(三)

          短歌(晩夏の海にて)

          ✼••┈┈••✼ ✼••┈┈••✼ ✼••┈┈••✼ 凪の海 終日夏は 終わりゆく    浜の足跡 折節名残る              星影 流 ✼••┈┈••✼ ✼••┈┈••✼ ✼••┈┈••✼  おはようございます🍀🌅💐星影 流と、申します🙇  このお盆の期間中、朝晩が過ごし易くなってきたと感じます。(あぁ…夏も終わりか…)と、足早に去っていく夏に少し寂しさを同時に感じます。  そんな中で、今日は仕事でして…。石川県は七尾市に向かって行く途中、富山県との境近く

          短歌(晩夏の海にて)

          「盆休」

          この盆休には きっと絵を描こうと企てた (簡単に、且つ、真剣に) イラストでも 人物でも 風景でも 何でもいい (単に気が多いだけなのを反省しながら) いざ 取り掛かろうと時間を作った 描く前の準備をしながら 描きたいものが浮かばないままだったのを思い出した (白紙の上に鉛筆が待ちぼうけしているのを、  一時間近く眺めている) 何も予定通りじゃなくてもいいじゃないか 無理に描くと 練習にはなっても 納得を得るまでのモノを描くなんて  遠い所を一分で目指すようなものだ (う

          「記憶の毛糸」

          ──死んでしまった母の思い出に 目を閉じて 浮かぶのは太陽や花と笑顔 周りの誰かをそっと照らしたひまわりの人 母は遠い過去の記憶の セピアの中に ふ、と隠れた あれは冬に向かう季節 母はマフラーを編んでくれた 手先が起用で 何より直向きだった 思春期は残酷だ  恥ずかしいやら、格好悪いだとか でもね、本当は暖かくて好きだった 編み物が好きで 毛糸やレースが 押し入れに住所を持って こんもりと団欒していた 夜になればまた編み始めて お休みをぶっきらぼうに言った後 肩

          「記憶の毛糸」

          「鬼灯のランプ」

          鬼灯の実が成っている あの夏にも今日にも変わりなく それぞれが想うあの人が 笑顔と風に揺れながら 鬼灯の実群れて立つ 夕が近づき光りだす 帰るすがらに迷わず 彼岸の彼方から見えるよう 鬼灯のランプはオレンジの 温(ぬく)い思い出灯す夜を 仄か滲みだす夜の縁(ふち) 灯された記憶は空から降る 蛍のような明滅飛び来たり おかえりなさいと迎え盆 たった三晩の帰省を 帰る頃には滲む薄暮 また来てください来年 来た時と同じ鬼灯は 変える道も照らしては 仄か仄かと侘び寂しい夜

          「鬼灯のランプ」

          「ラムネ水溶液」

          ラムネ水溶液 思い出の夏 あの空はラムネが溶けた水色 シュワっと弾けた泡は 青い時代の爽やかさ フワフワ浮かんで、 弾けて、消えて また浮かんで、 弾けて、消える 思い出の空と砂と海 そこに僕を立たせてみる ラムネの空に君を浮かべて 出来上がった 二人は クリームソーダー 夏の浜茶屋 ストロー2本 ラムネ水溶液の空と海 いつかの二人の夏景色 〜星影 流〜

          「ラムネ水溶液」

          「木漏れ日」

          木漏れ日に手を伸ばす 掴めなくて空振りするのを 不思議そうに やがてはムキになって ずっと空を泳ぐ様に 幼い君が 手に取りたかった 木漏れ日はずっとここにある 身を乗り出して 空を欲しがる君が いつか翔け回れるように 今は憧れていよう まだ空も翔べない君だから あの輝く木の葉の 間、一つ一つに 別々の空が有るから 今は憧れるだけにしよう その曇りない瞳に溢れるまで ずっと見つめていよう 瞳から溢れたら 今度は胸で掬って 大事に育てよう 〜星影 流〜

          「木漏れ日」

          時代小説『ひなげしの雫』(肆)

          第四回 いよいよ、と覚悟を決めて子嬰は玉座のある宮殿に向かった。すると項羽らしき人物と秦の皇帝の玉座にあろう事か女が座っているではないか。流石に激昂した子嬰は虞姫に向けて言い放った。 「そこの女。その玉座を何と心得るか!そこになおれ!斬り捨ててくれん!」 突然の怒号に虞姫も驚いて立とうとしたが、項羽が遮った。 「構わんぞ。そのまま治療を受けるのだ」 医官が虞姫の手当をしていたが、医官も項羽の威勢が恐ろしく、内心は玉座へ素性の知れぬ者を座らせている事を気にしながら治療

          時代小説『ひなげしの雫』(肆)

          暑いですね…五行歌を一つ…

          灼熱が滾って 空が溶けていた 蒼くただれた空は 暑さの上着を 要らないのにのし、と掛ける ✼••┈┈••✼ ✼••┈┈••✼ ✼••┈┈••✼ 暑いですね。今日も能登方面での仕事でした。 こんな灼熱の中、午後からは空調服の電池が急に無くなり…とても暑い思いをしました。 やれやれ…お昼にチェックした時は充分な残量だったのですが…おかしいな… 汗まみれな日常です。皆様、程よくお外にいるなら良いのですが、僕の様に一日中は外にいると危険ですので適度に涼んで…できたなら無理をしな

          暑いですね…五行歌を一つ…

          『有磯海眠気眼の虻が島夢見の海の睫毛にも似て』

          おはようございます🍀🌅💐今日も能登方面に来ております😌 通りすがりの氷見市の海岸線。写真は虻が島と言う小さな島です。目を閉じて睫毛がまだ下がっている海を思い浮かべました。タイトル部にあるのはそれを詠んだ短歌となります🤗 それでは、良い一日をお過ごしください☺️✨🙏🏼 〜星影 流〜

          『有磯海眠気眼の虻が島夢見の海の睫毛にも似て』

          短編小説『第三探偵』(事件編)

          〜序〜 2050年代に入ると社会は多様化を極め、消費傾向が著しく進んだ為に、2020年代では考えられもしなかった職業が乱立し始めた。 消費に傾いた…と言っても、人は働かなければならないのは、古今東西に拘わらず変わりはなかった。 大きく変わったのは、2034年に世界的な取り決めがなされた事だ。後に「世界法」と呼ばれるこの取り決めは、我が国においても「AI禁止制限法」を新たに発布させ、職業の減少や生産力の低下。自由資本の競争意識の改善と低下しつつあった就業意欲の減退に歯止めをか

          短編小説『第三探偵』(事件編)