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「記憶の毛糸」
──死んでしまった母の思い出に
目を閉じて 浮かぶのは太陽や花と笑顔
周りの誰かをそっと照らしたひまわりの人
母は遠い過去の記憶の
セピアの中に ふ、と隠れた
あれは冬に向かう季節
母はマフラーを編んでくれた
手先が起用で 何より直向きだった
思春期は残酷だ
恥ずかしいやら、格好悪いだとか
でもね、本当は暖かくて好きだった
編み物が好きで 毛糸やレースが
押し入れに住所を持って
こんもりと団欒していた
夜になればまた編み始めて
お休みをぶっきらぼうに言った後
肩にカーディガンを掛けてあげた
少し涙ぐんでいたっけ
ふ、と旅立った母だから
同じように帰ってくる
こうして 記憶の毛糸を辿って
帰ってくる
その毛糸 今、この僕が
母の愛情と 一緒に編み込んでいる事に
気付いたんだ
出来の良くない僕だけど
やっぱり、あなたの子供だなと
本当の毛糸は編めないけれど
記憶の毛糸を編んでいるよ
〜星影 流〜
※亡き母の誕生日が間近な、8月猛暑の迎え盆に。
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