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【水木しげる記念館レビュー】妖怪の街で出会える、不気味カワイイ物々。
帰省ついでに、鳥取県に飛びました。
お目当てスポットは、境港市にある水木しげるロードと水木しげる記念館。
今回のnoteはその感想です。
鬼太郎やその他の妖怪が好きな人、水木しげる先生に興味がある人に、少しでも参考になりますように〜
※水木しげるロードと記念館の若干のネタバレ(?)を含みますので、気になる方はご注意ください。
さて、旅の計画を立てるまで知らなかったのですが、今回の目的地である境港市は、鳥取県の中でも端っこにあります。
(下地図で濃いピンクの所)
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大型の砂州である弓ヶ浜半島の北側に位置し、日本海側の重要湾港として栄えてきたそうです。(※Wikipedia情報)
まずは新幹線で鳥取駅に降り立ちまして、
鳥取駅→米子駅→境港駅
と電車を乗り継ぎます。
鳥取駅から境港駅までは、ノンストップで行くと特急を使って2時間30分ほど。
そこそこ長旅のようですが、乗ってしまえばあっという間でした。
米子駅に降りると、すでにホームが妖怪一色!
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いやー、なんとも驚きのクオリティ…。
米子駅はお土産屋さんもあり、近くにはイオンもあるので、かなり栄えていて立ち寄りやすい駅です。
駅のベンチにも、ねずみ男が寝そべっています。
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私が鬼太郎にハマったのは小学生の頃で、主にアニメと映画で追っていました。
その時の推しキャラは、なんと言ってもねずみ男。
ねずみ男は不潔で守銭奴で嘘つきというとんでもないキャラですが、当時は面白くておちゃめなおじさん?のように見えて、謎に憧れたりしていました…(笑)
そうこうしているうちに…
来ました〜〜鬼太郎電車!!
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水木しげる作の妖怪絵が描かれたラッピング電車には、いくつか種類があるようです。
どの電車に乗れるかも、楽しみの一つですね!
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このときは、前の車両が鬼太郎列車、後ろの車両が目玉おやじ列車でした。
悩みましたが、目玉おやじ列車に乗ることに。
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電車の中も妖怪まみれで、すごくかわいい!
この電車で40分移動するのですが、ずっと乗っていたいと思える居心地の良さでした。
そして個人的に、めちゃくちゃ面白い工夫だな〜と思ったのがこちら。↓
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米子駅〜境港駅までの16駅には、なんと別名として、それぞれ妖怪の名前がついているんです。
米子駅は「ねずみ男駅」。
なるほど、やたらとねずみ男が多かったのも納得です。
各駅のホームには、水木先生の絵が描かれた看板があるので、一駅ずつ窓から覗いてみるのも楽しいですね。
鬼太郎の声で流れる車内アナウンスを聞きながら窓の外を見つめているうちに、気づけば目的地終点。
「鬼太郎駅」改め、境港駅です!!
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駅に降りるとすぐ、大きな鬼太郎の看板が見えます。それから山と海が近い!!
あ〜ここで水木しげる先生が育ったのか…と思うともう感無量です。
改札を抜けると、水木先生と鬼太郎たちの銅像が。
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絵を描いている水木先生を、鬼太郎やねずみ男が眺めている構図ですね。すばらしい…
さて、境港駅から水木しげる記念館までの800メートルに及ぶ道を、水木しげるロードと言います。
目立つ予告もなくぬるっと始まるので、歩き始めてしばらくしてから「あ、もうロード始まってるのか!!」と気付きました。
道沿いには、数々の妖怪たちのブロンズ像が。
全部で177体(!)いるようで、本当に目がいくつあっても足りません。
すべてを写真に収まるのはなかなか難しいと思われますので、ぱっと目についた子との一期一会の出会いを楽しむのがいいかもしれません。
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交番やら理髪店やら、妖怪たちの絵が至るところにあります。
街並みも昭和レトロで、歩いていると何とも言えない懐かしさに襲われました。
そしてこちらは「河童の泉」↓
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河童など水に関係する妖怪たちや、池を泳ぐねずみ男がいます。なんてのどかな…
こちら↓のねずみ男は、等身大なのか、かなり大きい。
握手ができるので、ねずみ男ガチ勢の方に限らずぜひ写真撮影を!
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本当に歩いているだけで楽しい街です。
街全体が妖怪テーマパークと言ってよく、異世界に来たようでワクワクが止まりません。
もちろん、道沿いには水木しげる先生に関するショップも沢山あります。
ソフトクリームや妖怪饅頭など、食べ歩きもできますよ。
こちら↓のお店の中には、なんと等身大のぬりかべがいました。気になる方はぜひ〜
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楽しくて、あっという間の800メートルでした。
ゆっくり歩いて30分ほど。
ついに…!
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水木しげる記念館に到着!!
2024年4月20日にリニューアルしたばかりで、外観もとても綺麗でした。
ちなみに「妖怪ガイドブック」は、水木しげるロード沿いのお店には大抵どこでも売られています。
スタンプラリーを楽しめるので、ぜひチェックしてみてください!
記念館に入ると、大きな鬼太郎がお出迎え。
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親父さんにお湯を注いであげています。
この原作に近い鬼太郎の顔、味があってめちゃくちゃ好き。
チケットは事前にネット購入もできますが、館内の一階でも当日券が販売されています。
もしかしたら混雑シーズンは売り切れなどあるかもしれませんので、訪れる際は公式サイトを要ご確認ください!
そして結論からお話ししますが、この記念館の展示、誇張抜きで、ほんっっとうに素晴らしかったです。
ここでは大きくネタバレはしませんが、水木先生の生い立ちが
・幼少期
・戦時中
・復員、漫画家になるまで…
という風に分かりやすく解説されていて、水木先生自身が描かれた絵を見ながら、その生き様に触れることができます。
戦争で片腕を失くされた、というのは有名ですが、その直前にマラリアに罹ったり、激戦地に飛ばされて仲間が全員亡くなったり、復員してからも極貧生活が続いたりと、思わず絶句する出来事が立て続けに起こります。
でも、そんな凄惨な体験の中でも、水木先生らしいマイペースさ、ドンと構えた大らかさが表れた面白いエピソードも沢山あり、その人柄に強烈に惹かれると同時に、こんな濃い人生があるだろうか…とただただ畏れ慄きました。
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展示の写真は、こちらだけ。
水木先生のありがたいお言葉。
期待以上の展示に胸がいっぱいで、冗談抜きで「ああ、今日まで生きてきてよかった」と思えました。大好きです、水木先生。
グッズを購入して記念館を出た後、せっかくなのでこちら↓を食べました。
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記念館のすぐ横のお店で買える、目玉おやじの練り切り。一本500円。
食べる予定はなかったのですが、いざ見ると可愛すぎてつい買ってしまいました。
外はツヤツヤ、中には甘さ控えめのあんこが入っていて、何個でも食べられるおいしさ。
見た目、味ともに120点です。
帰りも、水木しげるロードをぶらぶら。
ふと前を見ると、モノクロカラーの猫が一匹歩いていました。
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妖怪の街と猫。なんだか合いますね。
周りに人もいなかったので、距離を取りつつ少しついていってみると、「妖怪神社」で水を飲んでいました。
妖怪が気ままに暮らしているような街での散歩は、普段雑踏の中を下を向いて歩いているような人間には、とてつもない幸福です。
境港駅周辺に戻ってきました。
ここのポストには鬼太郎がいます。
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本当に名残惜しいですが、帰りましょう。
旅は、帰る所があるから旅なんです。
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必ずまた来ます。
そう誓って、惜しみながら電車に乗って、境港駅を去りました。
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お土産には、ステッカーとアクスタ、ポストカードなどを買いました。
中でもイチオシは水木先生の自伝本で、タイトルは『ほんまにオレはアホやろか』。
買ってすぐに読んでしまいましたが、これはすごい。全人類が読むべき、超傑作でした。
水木先生は、子どもの頃から試験の類はてんでダメで、就職してもすぐにクビ。その意味ではいわゆる「落ちこぼれ」だったかもしれません。
でも、水木先生の強みは、その圧倒的な生命力。
私のような温室育ちの軟弱者には想像もできないですが、何度も死の危機に遭いながらも生き残った豪運は、その生命力によって引き寄せられたのではないかと感じます。
命の危機にさらされる状況なんて、今の時代よほどのことがないと巡り合わないですよね。
それはもちろん幸せなことだけど、水木先生の壮絶な体験と生に対する姿勢は、今の私たちが生きていく上で絶対に役に立つ大切なことを教えてくれる気がします。
まったく説教臭くなく、グロい描写もほとんどなく、何なら笑いながら読める本です。
本当に、明日を生きるための元気をもらいました。
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暑い日が続きますが、「人間やるの疲れたな…」も思ったら、ぜひ妖怪の街に行ってみてくださいね。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました〜🍀
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