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Qosmo Lab

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「Qosmo Lab」では、Qosmoのメンバーの実験的な取り組みやプロジェクトの技術解説、制作の裏話などを個性豊かに配信しています。 Medium (English) htt…
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記事一覧

Qosmo AI-Generated Barrier-grid Animation New Year's Card 2024 – 生成AI(ControlNet)とバリア・グリッド・アニメーションを用いた年賀状の制作

About card あけましておめでとうございます。 また、能登半島地震で被災された方へ心よりお見舞いを申し上げます。 さてQosmoでは毎年、年始めにGreetingをお送りしており、昨年は生成AIタイプフェイスを用いたオリジナルカレンダーをご送付しました。 今年は封筒から、年賀状を取り出しながら新年のメッセージを読んでもらう年賀状をご送付しています。取り出した後にはメッセージは隠され、封筒に入れた時にだけ読めるような仕組みになっています。 昨年も生成AIによる様々

Neutoneを使うミュージシャンの声(3) ー 音楽制作の未来における偶然性 【音楽プロデューサー Scott Young 】

Qosmoで開発されているAIを用いた音色変換プラグイン、Neutoneを実際に使用しているミュージシャンの声を届ける企画の第三弾。 2023年9月、Scott YoungがQosmoオフィスに訪れて開発チームに対するフィードバックを提供してくれた。 Abletonによるインタビュー記事でも触れられた、彼がNeutoneを使用して作ったアルバムA Model Withinについて及び、今後の音楽業界の展望に関する彼からのコメントを以下に掲載する。 “A Model With

Neutoneを使うミュージシャンの声 (2) ー RAVE bird モデルは、クラシック音楽で鳥のさえずりを使う歴史の論理的な進歩【作曲家 Darragh Kelly】

Qosmoで開発されているAIを用いた音色変換プラグイン、Neutoneを実際に使用しているミュージシャンにインタビューを行う企画の第二弾。 AIを使った作曲を多く行なっているDarragh Kelly に、AIをクラシック音楽の文脈で用いることにおける可能性についてインタビューを行った。 ➖DarraghはこれまでAI用いて多くの作曲を行なってきましたよね。なぜ自身の作曲にAIを用いているか、また、AIを用いるようになったきっかけなどについて、詳しく教えていただきたいです

Neutoneを使うミュージシャンの声(1) ー AIを使うことで起こった、新しいゲームチェンジ。グラニュラー以来の全く違う種類のシンセシス方式が出てきたな、という印象だった。【サウンドデザイナー 中岡将二郎さん】

Qosmoで開発されているAIを用いた音色変換プラグイン、Neutoneを実際に使用しているミュージシャンにインタビューを行う企画の第一弾。 サウンドデザイナーとしてご活躍されている中岡将二郎さん(https://linktr.ee/shojironakaoka)に、Neutoneをご使用になっている経緯や感想についてお話を伺った。 ➖中岡さんの普段のご活動について、教えてください。 自分の作家活動もしながら、依頼を受けて、映像コンテンツ、デジタルサイネージ、アプリケーシ

AI DJ Project#2 Ubiquitous Rhythm — A Spontaneous Jam Session with AI リアルタイムに音楽生成するAIとの即興演奏

<<< 2021年にQosmoのwebサイトで公開された記事を転載 >>> PERFORMANCE OVERVIEWAI DJ Project#2 Ubiquitous Rhythmは、AIを用いてリアルタイムに音楽を生成しながら行う即興的なDJパフォーマンスです。音楽のシーケンスを事前に用意することなく、その場でAIが作曲(生成)した音楽をDJがコントロールし、AIがそれに反応することで、一連のパフォーマンスが展開していきます。複数のAIモデルとDJが織りなす複雑な相互

Qosmo Webデザイン・アップデート — タグライン変更と編集的デザイン手法

タグラインのアップデート「AI Creativity&Music Lab」タグライン「AI Creativity&Music Lab」への更新にあわせてQosmoのWebサイトのデザインをアップデートしました。Qosmoは2009年の設立当初からAIを中心としたアルゴリズムを用いた創造性の拡張に焦点を当ててきました。最近はAI技術の進歩もあり、いよいよAIがアーティストやクリエイターの創作プロセスや社会に影響を与え始めています。 このタイミングで、Qosmoの立ち位置を明確に

最新のAIオーディオ埋め込みモデルの評価と比較 — 2022年度版

要約2022年は、これまでのAIの歴史の中で最も劇的な年でした。4月にOpen AIから発表された「DALL-E 2」は、7月にプライベートベータ版が発表されました。Twitter 上では、シンプルなテキストプロンプトから生まれる新しい刺激的な画像が溢れました。いわゆるプロンプトエンジニアリングは瞬く間に流行し、9月には同様のモデル、Stable Diffusionがオープンソースで発表され、パソコンさえあれば誰でもアクセスできるようになって、世界を驚かせました。 Stabl

NAMM2023にて、Neutoneの展示を行いました。

4月13日から15日にかけてアメリカ、カリフォルニア州のアナハイムで開催されたNAMMショーに、Qosmoとして初めて展示に参加してきました。NAMMショーは、楽器やレコーディング機器、音楽ソフトウェア関連の展示会として世界最大といわれる展示会で、会場となったアナハイム・コンベンションセンター(幕張メッセをさらに大きくした会場を想像してください)には、ドラムやギター、ピアノから、シンセサイザー、DJ機器、音楽ソフトウェアから、スタジオ家具、ライティング機材まで、音楽の演奏や曲

Making of "Emergent Rhythm" — リアルタイムAI音響合成を用いたライブ・パフォーマンスの裏側

AIを用いてこれまでにない音楽体験を作り出せるか。本稿では昨年12月8日 MUTEK Japan (渋谷ストリームホール)で私たちが行ったパフォーマンス、「Emergent Rhythm — AI Generative Live Set」の裏側、技術的な詳細、パフォーマンスの実現に至った流れや動機などを解説します。 なお、MUTEKでのパフォーマンスのビジュアル面については、担当したQosmoの中嶋亮介が詳しい記事を書いています。イームズ夫妻の映像作品『Powers of

「しっくりくる」をAIでモデル化

AIの活用は多くが、人間が感覚的にやっていることや、専門家でなくてはてはできないような熟練を要する意思決定をデータを使って解決するケースです。一方で、実際にAIの予測の対象になっているものは需要予測だったり、与信だったり、故障検知だったり、最終的には正解の存在する問題であることが多いのが特にビジネスにおける傾向です。このような問題は明確に定義し、データ化しやすく、結果も検証しやすい特徴がある一方で、答えが一つではないような問題も世の中には沢山存在しますし、そのような問題をAI

Qosmo AI-Generated Rabbit Phase Calendar 2023 – 画像生成AIを用いたカレンダー・デザイン

Introduction あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 毎年、Qosmoではグリーティングとしてささやかではありますが、贈り物をお届けしております。一昨年、今年とコロナ禍ということもあり、Qosmoオリジナル・マスクを制作いたしました。今年は年のはじめに必要なもの、兎年ということで、Qosmoオリジナル・カレンダー「 AI-Generated Rabbit Phase Calendar」を制作いたしました。古代より日本やアジア圏では月の模

画像生成AIを活用したオーディオビジュアル表現 - MUTEK.JPでの開発事例

12/8(木)に行われたMUTEK.JPにて、Nao Tokui — Emergent Rhythm (AI Generative Live Set) のビジュアルを担当しました。 「Emergent Rhythm」は、AIによってリアルタイムで生成された音のみを用いて構築される即興パフォーマンスです。音の生成にはSpectrogram GANやQosmoで開発しているNeutoneを使用し、それらを手懐け乗りこなす生成的なライブセットです。サウンド面の詳しい説明については

Dawn Patrol EP — AI音楽生成モデルとのサーフィン

ここ数年の私のAIを用いた音楽制作の試みをまとめた作品として、12インチのレコード、Dawn Patrol EPが発売になりました!以前そのリリースをアナウンスして、プレオーダーを開始し始めてから一年近くが経過した今日...ようやくレコードが手元に届きました。コロナ禍によるプレス工場の作業の遅れと予想外のレコード需要の高まり、ウクライナ情勢の悪化による原材料などのロジスティクスの問題。さらにはレコードのプレスの手配を頼んでいた仲介会社の倒産(!!)と度重なる不運に見舞われ、遅

「生成AIはビジネス・デザイン・アートをどう変えるのか?」セミナーレポート(2日目)

こんにちは、Qosmoのシバタアキラです。ここのところ生成型AI技術が飛ぶ鳥を落とす勢いで進化していますね。画像の生成においては8月末にオープンソース化されたStable Diffusionがきっかけになって、数多くのイノベーションが生まれています。私のブログでもそのへんの経緯を先日まとめさせていただき、多くの方に読んでいただきました。 また、このような進展はテキストの生成や音楽の生成などにも波及していて、特に音楽に関しては今年Qosmoから技術動向をまとめたホワイトペーパ