Qosmo AI-Generated Rabbit Phase Calendar 2023 – 画像生成AIを用いたカレンダー・デザイン
Introduction
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
毎年、Qosmoではグリーティングとしてささやかではありますが、贈り物をお届けしております。一昨年、今年とコロナ禍ということもあり、Qosmoオリジナル・マスクを制作いたしました。今年は年のはじめに必要なもの、兎年ということで、Qosmoオリジナル・カレンダー「 AI-Generated Rabbit Phase Calendar」を制作いたしました。古代より日本やアジア圏では月の模様はウサギを連想させるものでした。月の周期とウサギ、そして今年大いに盛り上がった画像生成AI、Stable Diffusionを用いたカレンダーとなります。
Technology
今回、タイプフェイスの生成にあたってはStable Diffusionを使用しました。Stable Diffusionは一言で言えば入力テキスト(プロンプト)から画像を生成するモデルで、今年の8月に公開されて以降、様々な研究者やアーティスト、エンジニアやデザイナーによって多くの活用法が開発されてきました。Qosmoでも、先日行われたMUTEK.JPにてStable Diffusionを活用したオーディオビジュアルパフォーマンスを実践しました。詳しい内容はこちら。
Stable Diffusionは上述した通りテキストから画像を生成するモデルですが、他にも様々な機能があり、その一つにimg2imgと呼ばれる機能があります。img2imgではテキストに加えて画像を入力し、その画像をテキストの内容に従って変換することが可能です。そこで、このimg2imgを使用し、ベースとなるタイプフェイスとウサギのイラストレーションを組み合わせる実験を行いました。以下は、既存のフォントをテキスト指定によってウサギフォントへと変換した例です。
生成AIの強みとして、バリエーションを大量に出すことができる点が挙げられます。Stable Diffusionでは生成の種となるシードを変更することで様々な結果を生成することができます。今回は大量にバリエーションを生成し、人の目によって選別するというプロセスを経てデザインを厳選していきました。
また、img2imgでは入力画像に対してどの程度テキストの内容を反映させるか、その強度をパラメータによって指定することができます。以下は、その強度を徐々に変化させていくことでグラデーション的にタイプフェイスを生成した例になります。上述した通り、この強度(ウサギ度)を月の満ち欠けに見立ててカレンダーの構成要素としていきました。
Design
さて、デザインではいくつかのスタディを経て完成にいたったので経緯を振り返りながら、お話ができればと思います。
1st proof
ウサギのタイプフェイスを使用することに決まりました。
2nd proof
セリフとサンセリフのフォントをベースにスタディをしました。サンセリフのほうが数字が残っていて、セリフはオーガニックな形状でイラストレーションに近く、文字からは少し離れてしまう印象がありました。可読性を確保しサンセリフをベースにと決めました。またひとつひとつが別個になっていて、関連性がもっとほしい。であるならばと月とウサギで月齢カレンダーにするのはどうか、と考えました。
Final proof
最終段階です。月の満ち欠けの周期は約29.5日なので満月-新月への移行は約14.75日。日付:1-31日それぞれのフォントにウサギ度を近似値である15段階に設定し、それを6種類のスタイルで合計2,790のタイプフェイスを生成しました。たとえば新月の場合ウサギ度は0に、満月の場合ウサギ度は15に設定されます。こうしてウサギ・タイプフェイスによる月齢カレンダーが出来上がりました。
さいごに
画像生成AIを用いた実験的なカレンダーでありましたが、喜んでいただけましたでしょうか。今年もQosmoからデザインと画像生成AIの成果をお見せできるとおもいますので、ぜひご期待ください。今年もよろしくお願いいたします。