科学的根拠に 基づいたケアを 提供する「エビデンス・ベイスド・ナラティブケア」
【基本的な考え方】
介護は、本人の生活を支援することを主目的としています。
「個々の人生・生活の語りに基づくケア(ナラティブ・ベイスド・ケア)」と「科学的根拠に基づくケア(エビデンス・ベイスド・ケア)」の両者を合わせた考え方「エビデンス・ベイスド・ナラティブ・ケア※」が重要です。
※エビデンス・ベイスド・ナラティブ・ケアは上記の意味を含めた造語です。
【一人ひとりの生活・人生に合ったケアを科学的に根拠のある方法で行う】
介護は、利用者の生活を支援するために行われるサービスです。
一人ひとりの生活はさまざまであり、今までの人生、これからの人生もさまざまです。
したがって、利用者の生活を支援するためには、その人のこれまでの生活や人生、現在の生活を理解して、将来の生活、人生を推測すること、本人の人生のストーリー性を大切にすることが重要になります。
このようなストーリー(語り)を基盤にしたケアを「ナラティブ・ベイスド・ケア」と呼びます。
同時に介護は、人に対して直接的に実施されるサービスです。
したがって、安全かつ効果的に実施されなければいけません。
行き当たりばったりの介護や単なる思いつきで行うのではなく、きちんとした理由・理論にのっとった上で実施されるべきです。
こういった科学的根拠に基づいて行われる介護のことを「エビデンス・ベイスド・ケア」と呼びます。
介護では、車の両輪のようにこの両者が必要となります。
一人ひとりの人生というストーリーを大切にかつ尊重して、科学的根拠に基づいた介護技術を提供することが求められています。
【エビデンス・ベイスド・ケア】
医療分野で起きた「正しい方法論に基づいた観察や実験結果に基づいて、治療法などの選択をするべきである」という考え方を基に、1990年にGordon Guyattにより、EBM(Evidence Based Medicine)という概念が提唱されました。
日本では「根拠に基づいた医療」と訳されます。
この考え方をケアに応用したものが【エビデンス・ベイスド・ケア】です。
類似の言葉として、EBN(Evidence Based Nursing)などがあります。
(例)
釣り竿を上げるために必要な肘の屈曲の力をつけるためのトレーニング
肘の屈曲の筋肉増強トレ−ニングを行う際、トレーニングの抵抗を現在の筋力の2/3以上の強さで行う。なぜなら筋力増強には最大筋力の2/3以上の負荷量でなければ筋力増強にはならないため
→きちんとした理由・理論に基づいた安全かつ効果的な介護
→科学的根拠にのっとり行われる介護
【ナラティブ・ベイスド・ケア】
科学的実証主義の医療であるエビデンス・ベイスド・メディシン(Evidence Based Medicine: EBM)の精神医学領域での限界を克服するために、その対抗概念として提唱された考え方が、ナラティブ・ベイスド・メディシン(Narrative Based Medicine : NBM)です。
この考え方をケアに応用したのが、ナラティブ・ベイスド・ケアです。
(例)
魚釣りが好きな利用者を魚釣りに釣れて行くこと
・これまでの生活・人生を理解する
・現在の生活を理解する
・将来の生活・人生を推測する
→個々の生活暦などの違いに対しストーリー・語りを基盤にしたケア
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