現役早大生が見る経済@単行本執筆中

付加価値の適正分配で、日本経済の持続的発展を。役員も、従業員も、投資家も、みんなが生きやすい世の中に! Twitterもやってます!

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最近の記事

東証CEO「英仏ではほとんどの企業が四半期開示を続けている」との発言に関する調査

四半期開示制度の見直しは、岸田政権の「新しい資本主義」の、当初から一貫した重要な政策の一つでした。企業の中長期視線での経営を促進しないとの理由で、制度の見直しが検討されていましたが、最近では見直しをしないという論調が支配的になったことがメディアでも話題になっています。 今回は、私たちが独自に調査を行なった、欧州での四半期開示制度の現状についてお話しします。 四半期開示制度見直しの機運が高まった経緯 岸田政権成立前、金融庁ディスクロージャー・ワーキング・グループ(DWG)

    • 利益の最大化とは、費用≒従業員給料の最小化

      日本では、当期純利益が高い企業ほど優良企業であるように報道されます。そして毎年当期純利益のランキングがつくられ、就活生はそれを見て企業の安定性や将来性をはかっています。 ではここで、皆さんが当期純利益が高い企業の従業員になったとしましょう。その恩恵は給料の増加として享受できると思いますか? 当期純利益の増加は、給料の犠牲のもとに? 1991年から、企業の売上は高止まりしています。そんな状況下で、売上-費用=利益が固定化されたPLフォーマットを使うとしたら・・・? 利益

      • 分配と再分配、全くの別物です

        2021年9月に岸田内閣が発足し、適正分配が実現する機運がさらに高まっています。今回は、混同されて使われることが多い「分配」と「再分配」の違いについてご紹介します。 一般に「分配」というと、富裕者層の課税によって一度政府に渡された税金(付加価値)を、社会保障制度などで弱者に還元するというイメージがあります。 しかし、これは「分配」ではなく「再分配」であって、岸田政権が主張する「分配」とは全く異なります。 再分配とは、例えば税金のようにお金を集めます。そしてそれを公共サー

        • 自社株買い、続けるべきですか?

          先日、岸田総理が新しい資本主義を実現する観点から自社株買いの規制について言及しました。 ネット上では否定的な意見が散見されますが、日本企業は既に十分な株主還元を行なっていること、自社株買いが会社の経営の安定性を損ねることから、自社株買いの規制は的を得ている主張なのではないか?と私は思います。 そもそも自社株買いとは何なのか? 自社株買いとは、会社が株主から自社の株式を買い戻すことです。 自社株買いが発表されると、企業が大量に買い注文をし、短期的な利益を求める株主も株を

          市場を再編しても、何も変わらない!

          東京証券取引所では、2022年4月から新しく「プライム・スタンダード・グロース」という三つの市場に再編することが決定されました。 当初、プライム市場では上場する企業を絞り、海外投資家を呼び込むために利益最大化を続ける大企業とそれ以外とに分類するはずでした。 しかし、投資家企業からの反対でどんどんプライム基準が緩くなり、結局、東証1部上場の頃と変わらなくなってしまいました。 新市場は、変われない日本の象徴のような存在になってしまったのです。 プライム市場においては「グロ

          市場を再編しても、何も変わらない!

          日本企業の有配率を見よ!

          先日、自社株買いの規制に関して懐疑的な意見を示す記事が発表されました。 日本企業の株主還元が低すぎるという主張、これは、配当性向の比較だけに基づいた主張です。 そもそも日本とアメリカの市場は大きく異なるため、同一の指標を用いて優劣をつけることはナンセンスです。 例えば、Floyd et al. (2015)、Brown et al. (2018)、Michaely et al. (2021)の研究より、米国上場企業における有配率は、全体市場の30%~40%です。 一方、

          新しい資本主義、実現はいつ?

          自民党は「新しい資本主義」を掲げて、9月の末の総裁選と10月末の衆院選で大勝しました。 しかし、「反・新自由主義」と「分配と成長の好循環」の主張は、具体的な政策として実行されていません。それらを推進する「新しい資本主義実現会議」の実績も、世間に広く認知されていません。 新しい資本主義実現会議での「緊急提言案」では、 という主張がなされました(11月)。この主張は、私たちが早稲田の授業で議論した内容と一致しています。 岸田総理は分配戦略に関して、 ①民間部門における分配

          新しい資本主義、実現はいつ?

          vol.18 DS経営は、決して夢物語ではない!

          日本の成熟した経済社会下、高品質で安価な財・サービスが溢れ、人々の欲望は満たされた。しかし企業の売上はもはや頭打ちで、かつ株主や投資家が極めて多くの付加価値を支配しているために、従業員の給料が上がらない。 この現状を打破すべく提案されたのが、『付加価値分配計算書:DS』を用いた経営。DS経営によって、役員・従業員・事業・投資家に適切な分配ができることをこれまでご紹介してきました。 皆さんこんにちは!今日も、お越しいただきありがとうございます。 これまで、『付加価値分配計

          vol.18 DS経営は、決して夢物語ではない!

          vol.17 DS経営によって、政府への分配と株価の上昇は充分に見込まれる

          (※始めから学問的に知りたい!という方は、 こちらの『関経連レポート』をお読みいただければと思います👇※) 皆さん、こんにちは!今日も、お越し頂きありがとうございます。 前回まで、早稲田大学生はDS経営企業に期待している!ということについてお話ししてきました。今回は、政府への還元や、投資家の好感の可能性についてご説明していきます。ぜひ、最後までお付き合いいただければと思います。 政府への分配は増え、投資家の好感まで得られる? DS経営によって、役員や従業員への分配が増

          vol.17 DS経営によって、政府への分配と株価の上昇は充分に見込まれる

          vol.16 早稲田の学生は、DS経営企業に就職します③ー就活生は、企業のここを見る!

          皆さんこんにちは!今日も、お越しいただきありがとうございます。 前回と前々回、早稲田大学生はDS経営企業に期待し、意志を持ってDS経営企業を選んだということを明らかにしてきました。 今回は、得られた定性的なデータを定量的なデータに変え、学生が新しい経営に期待するようになった根拠をお見せしていきたいと思います! 就活生は、企業選びでここを見る! 早速、こちらの表を見てください👇 企業選びの際に重視する理由・要因・基準を24の項目に分けたものです。ここから学生(就活生)

          vol.16 早稲田の学生は、DS経営企業に就職します③ー就活生は、企業のここを見る!

          vol.15 早稲田の学生は、DS企業に就職します!②

          皆さんこんにちは!今日も、お越しいただきありがとうございます。 前回、早稲田大学生320人に取ったアンケートから、学生は、従来のPL経営企業よりもDS経営企業に魅力を感じ、期待している、ということについてお話ししてきました。 まだお読みになっていない方はコチラから👇 ここまでのアンケート結果は、大学の授業内で集められたものです。 「学生にとって、成績評価という観点からバイアスがかかっているのではないか?」と思われた方もいらっしゃったかもしれません。 そこで、授業が終

          vol.15 早稲田の学生は、DS企業に就職します!②

          vol.14 早稲田の学生は、DS経営企業に就職します!①

          皆さんこんにちは!今日もお越し頂き、ありがとうございます。 これまで『付加価値分配計算書:DS』を用いた新たな経営についてご説明してきました。新たな経営と言っても、この『付加価値分配計算書』は ①従来のPL(損益計算書)から大きくフォーマットが変わるわけではなく、 ②法律の強制を受けるわけでもなく、 ③業界全体で強制して行わなければならないこともない、 ということがポイントでした。 また、PL(損益計算書)経営下において最大化が目標とされていた利益に制限をかけて、

          vol.14 早稲田の学生は、DS経営企業に就職します!①

          vol.13 役員も、従業員も、事業も、政府までも豊かになる!

          皆さんこんにちは!今日もお越し頂きありがとうございます。前回まで、『付加価値分配計算書:DS』を用いた新たな経営について解説してきました。 まだお読みになっていない方はコチラから👇 皆さん、vol.11でお見せした、自動車業界のシミュレーションを覚えていますか?今日は、上場企業17業種ごとのシミュレーション結果を用います。 DS経営によって生まれた余剰が、どれほど役員・従業員・事業・政府に再分配可能かお見せしていきたいと思います。 従来比130%の給料!? こちらの図

          vol.13 役員も、従業員も、事業も、政府までも豊かになる!

          vol.12 従業員を不幸にするPL→DSへ

          (※始めから学問的に知りたい!という方は、こちらの『関経連レポート』をお読みいただければと思います👇※) 皆さんこんにちは!今日もお越し頂きありがとうございます。 これまで、DOE(株主資本配当率)を1%下げて生まれた付加価値の余剰を役員・従業員・事業に再分配することで、働く人の遣り甲斐や士気を高められるという話をしてきました。詳しくはコチラから👇 そして、この制度は『付加価値分配計算書:DS〈Distribution Statement〉』を用いて行われるものです。

          vol.12 従業員を不幸にするPL→DSへ

          vol.11 岸田文雄氏の『所得倍増』の根拠はこれだ!

          皆さんこんにちは!今日も、お越しいただきありがとうございます。 前回、株主還元の指標であるDOE(株主資本配当率)を1%下げることができれば、その余剰分を関係者に適切に分配できるということについてお話ししてきました。今回は、実際の有価証券報告書のデータを用いたシミュレーション結果をお見せします。 かつてはトリクルダウンが機能しなかった まずどうして、これまでこんなに危機感を煽って、現状を見直し、改善するべきだと主張し続けているかをお話しします。 新自由主義のアベノミク

          vol.11 岸田文雄氏の『所得倍増』の根拠はこれだ!

          vol.10 もし配当を1%下げられたら、皆が幸せになる。

          (※始めから学問的に知りたい!という方は、こちらの『関経連レポート』をお読みいただければと思います👇※) 皆さんこんにちは!今日もお越し頂きありがとうございます。 前回は、”学生への仕送り減少から見る、家計所得の停滞”についてお話ししてきました。まだお読みになっていない方はコチラから👇 そして最後に”ある新制度”について少し触れて終わりましたが、今回から複数回に分けて、詳しく解説していきます。ぜひ、最後までお付き合いいただければと思います! 株主配当を、1%だけ減らし

          vol.10 もし配当を1%下げられたら、皆が幸せになる。