vol.10 もし配当を1%下げられたら、皆が幸せになる。
(※始めから学問的に知りたい!という方は、こちらの『関経連レポート』をお読みいただければと思います👇※)
皆さんこんにちは!今日もお越し頂きありがとうございます。
前回は、”学生への仕送り減少から見る、家計所得の停滞”についてお話ししてきました。まだお読みになっていない方はコチラから👇
そして最後に”ある新制度”について少し触れて終わりましたが、今回から複数回に分けて、詳しく解説していきます。ぜひ、最後までお付き合いいただければと思います!
株主配当を、1%だけ減らしてみる
仕事でいえば、給料が上がったときや、頑張りが正当に評価されて対価が受け取れたときに、人は遣り甲斐を感じられます。
とはいえ、給料が上がるとか、対価とか、一体その財源はどこなのか?新しく資金を調達する?生活のどこかにしわ寄せがくる?そう不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、”新制度”においてそれらの不安はご無用です。なぜなら、こちらのグラフで異常なまでに伸びていた赤線、”株主還元”を1%下げてやるだけで、この新制度が完成するからです。
――株主還元を1%下げる、とは?
会計指標に、DOE(株主資本配当率)というものがあります。
株主資本=株主からの当初の拠出資本+その後の獲得利益の社内留保分
DOEとは、株主資本に対してのお礼として、株主に1年に何%の配当をするか、という数字です。
~具体例~
当初の拠出資本(by 株主):800億円
その後の獲得利益の留保分(利益剰余金):200億円
株主資本:800+200=1000億円
DOE(株主資本配当率):6%
この場合、株主へのお礼は、1000*6%=60億円ということになります。そして、「株主還元を1%下げる」とは、DOEを1%下げるという意味を表しています。
先ほどの例でいうと、DOEを6%から5%に下げ、お礼を50億円に抑えるということ。つまり、60ー50=10億円の余剰が生まれるのです。
知っておくべき!「自己株買い」とは?
DOEは、(配当+自己株買い)/株主資本で示されますが、ここで、「自社株買い」について少し説明を加えておきます。
自社株買いとは、会社が自社の発行した株式を取得することをいいます。2001年の改正商法によって、原則として自由に取得、保有及び処分できることになり、配当とならび株主還元の1つとして利用されます。
本来、株主還元は、株主が払った資本のおかげで発生した利益の中からおこなうべきですよね。しかし、自社株買いとは、資本の払い戻しに他なりません。
本当は、この自社株買いこそ懐疑的になるべきです。
「XX社が自社株買いを行い、株価回復」といったニュースを耳にしますが、コロナ禍で大変なのに、資金をはたいて自社株を買って、どうするのか?
そう、株主還元です。
経営が苦しくて、従業員への給料も上がらなくて、でも、自社株買いまでして、株主に還元を行おうとする企業があるのです。
各業種、どれくらい還元を行っているか?
ここで、東証市場第一部に上場している全銘柄(TOPIXの構成銘柄)を、業種別に17区分した”TOPIX-17”を用いて、各業種がどれくらいの株主還元を行っているか、皆さんに知っていただきたいと思います。
こちらの図表をご覧ください👇
赤色の棒グラフは(配当+自己株買い)/株主資本、青色の棒グラフは配当/株主資本を示しています。
提案する新制度では、「通常の配当DOE」マイナス1%で生まれた余剰額を、まずは役員に分配します。そしてまだ残りがあるので従業員に。さらに残った分を事業そのものに分配します。
分配の結果、実際にどれくらい給料が増えるのか?こちらについては、次回、実際の金額を用いてご紹介することにします。
次回👇