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自社株買い、続けるべきですか?


先日、岸田総理が新しい資本主義を実現する観点から自社株買いの規制について言及しました。

ネット上では否定的な意見が散見されますが、日本企業は既に十分な株主還元を行なっていること、自社株買いが会社の経営の安定性を損ねることから、自社株買いの規制は的を得ている主張なのではないか?と私は思います。


そもそも自社株買いとは何なのか?



自社株買いとは、会社が株主から自社の株式を買い戻すことです。

自社株買いが発表されると、企業が大量に買い注文をし、短期的な利益を求める株主も株を買おうとするため、株価が上がることが予想されます。

つまり、株主は企業に株を買い戻してもらうことと、上がった株価で株を売ることで儲けることができます。その点で、株主還元の一種として捉えられています。

旧商法では、資本充実の原則から自社株買いの取得及び保有を禁止していました。

資本充実の原則:「企業は、株主が拠出した資本は維持し、儲けた利益からしか株主還元を行なってはならない」という経営の安定性を保つための原則

しかし1994年から自社株買いの一部が解禁され、2001年の商法改正においていっそうの規制緩和が行なわれました。

新商法では、定時株主総会で所定の決議を行なえば会社による自社株買いが認められています。しかも、以前のように処分時期や数量が制限されることなく、自社株を保有し続けることも可能になってしまいました。

自社株買いとは資本の払い戻しに他ならず資本充実の原則に反する行為であるため、たとえ株主還元のためであろうとも、無制限に会社の資本を減らす行為は規制されるべきではないでしょうか?


自社株買い、必要?


日本企業の有配率は90%を超え、十分に株主に還元を行なっています。付加価値の分配状況を見ても、その十分さ、いや、異常さは明らかです


付加価値の分配状況


図表:1960年を基準とした付加価値の分配状況

それなのに、どうして資本を払い戻してでもさらなる株主還元を行なおうとするのでしょうか。

簡単に言えば、自社株買いとは、株を売って株主ではなくなる人に現金を渡して、株価を上げる政策です。あくまでも学生の直感に過ぎませんが、企業は株主ではなくなる人にお金を渡してどうするんだ!と思います。


自社株買いは、短期売買目的の株主に対する、小手先の株主優遇政策に思えてなりません。


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