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映画レビュー【映画の中の人生】

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悩み事だらけの私は、映画で描かれる人々の生き方を観て、励まされ、救われ、生きる術を学んできました。そして、わずか2時間前後のストーリーに凝縮されたキャラクターたちの人生から、本当…
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2023年4月の記事一覧

セントラル・ステーション(1998年)

セントラル・ステーション(1998年)

孤独な中年女性と少年の絆を探す旅
驚きと感動のブラジル製ヒューマンドラマ

ベルリン国際映画祭で金熊賞(最優秀作品賞)、アメリカのゴールデングローブ賞で最優秀外国語映画賞を受賞するなど、高い評価を受けたブラジル映画。

リオデジャネイロの中央駅(セントラル・ステーション)で代筆業を営む中年女性と、孤独な少年との心の交流を描いた、笑と涙のヒューマンドラマです。

描かれるのは、ドーラとジョズエのロー

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ティファニーで朝食を(1961)

ティファニーで朝食を(1961)

目にも楽しい映画的な魅力が詰まった
オシャレでコミカルなロマンティックコメディ

“銀幕の妖精”と呼ばれた清純派のオードリー・ヘップバーンが小悪魔的なヒロインを演じたロマンティックコメディです。

原作は実際に起こった殺人事件を題材にした『冷血』('66年)など、独創的な作品で異彩を放ったアメリカの作家、トルーマン・カポーティの中編小説。映画は原作とはまったく違うようですが、映画ならではの演出が見

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小さな命が呼ぶとき(2010)

小さな命が呼ぶとき(2010)

難病の我が子を持つ父親が起こした奇跡
どんな困難でも克服できると信じさせてくれる希望の物語

治療薬がなく、いずれ死に至る難病の子ども2人を持つ父親が治療薬開発の先頭に立つ――。我が子を思う父親の凄まじい執念が不可能を可能にした奇跡の実話の映画化です。

我が子のために一心不乱に突き進むジョン、難病にもめげず強く逞しく生きるメーガンなど、クラウリー家の面々は実に人間的で魅力的です。

物語の中心に

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空白(2021)

空白(2021)

他者への理解が希薄な現代社会に問う問題作
古田新太が狂気の父親に魂を吹き込む

現職政治家たちの不正に迫った『新聞記者』(‘19年)、実際に起きた祖父母殺人事件に着想を得た『MOTHER』(‘20年)など、衝撃的な社会派ドラマを手掛ける映画会社スターサンズが再び問題作を放ちました。

『ヒメアノ~ル』(’16年)、『愛しのアイリ―ン』(‘18年)の吉田恵輔監督がオリジナル脚本を手がけた本作は、ある

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