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せんべい王子の未来を発明する日々

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2019年1月の記事一覧

<ものづくりの話 オイシサクエスト>

<ものづくりの話 031>
みそせんべいと新製品は全く別の方法を採っている。
ゼロ地点から100点満点の美味しさに一直線に駆け上がっていくような明確なゴールがあるわけじゃなくて
不味いと不味いの間から美味しいを右往左往しながら探し当てるイメージをしている。

どこに行って、何をやってもいい。
どんな材料で、どんな作り方をしてもいい。
誰もたどり着いたことのない場所を探す。

ゼロベースのスタート地

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<ものづくりの話 美味しくなる道筋>

<ものづくりの話 030>
代表銘菓である「みそ入大垣せんべい」を受け継げなかったという話は以前書いた。
これは不幸と言えるのか?
否、もしかしたら強制的に再発見する道を歩ませてくれたのではないか?と考えたい。
まあ、幸不幸はどっちでもいいし、どうでもいい。

先代に教わった通り何も変えずにやっています。
時代の変化があまりない時代ならともかく、これは相当身体性が同期化していないと難しい気がしてい

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<ものづくりの話 県岐商1年目>

<ものづくりの話 029>
高校生との授業では毎回毎回、毎年毎年が真剣勝負。
本当に伝えたい思いはなかなか見つからない。
見つかったら見つかったでそれを煎餅でどう表現すればいいのか?
おいそれとできるものではない。

5年ぶり3度目の商品開発の担当となった県立岐阜商業高校(1、2回目は大垣商業高校)でのエピソード。
毎度のことながら年度終了直前で商品がようやく完成し、
翌日に地元GMSでの最初で最

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<ものづくりの話 コラボする理由>

<ものづくりの話 028>
そもそも、なんで高校生と田中屋せんべいがコラボするんか?
これを理解してもらわないといけない。
加えて、私がどんなスタンスで商売をしているのか?
これを理解しないで商品開発などできません。
消費者が消費者のまま商品開発するって、なめてんのかと。
生産者の目線も理解した上で商品開発しようよとね。

常識的に考えて、初めてのお客さんにいきなり斬新なお煎餅考えたんで作ってくだ

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<ものづくりの話 いい商品とは>

<ものづくりの話 027>
高校生関連ネタがいくつか続いたので、勢いでエントリー。
マヨネーズネタをした次はいい商品ってなんだ?を考えてもらう。
いい商品って言っても、いろんな価値観があるので私が考えるいい商品限定。
課題は2つ。①小さい頃からずっと好きで食べ続けてるもの。
②長く愛用してるもの。をそれぞれ発表してもらう。

基本的に授業では自分の意見を発表する場を設けるようにしている。
最初はも

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<ものづくりの話 アイデアって大事?>

<ものづくりの話 026>
「アイデア出してやったから売上の1割よこせ」
なんて冗談の会話はよくある。

そもそもアイデアってそんな大事かよって。
商品ができるためのプロセスの中でアイデアなんてほんのわずか一部。
アイデアを出すためにはそもそもの「問い」があって、その問いの質の方がよっぽど重要。
だから高校生が問いもなしにいきなり新しい煎餅考えました〜ってアイデアが上滑りしたものになってしまうです

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<ものづくりの話 ガチせん>

<ものづくりの話 025>
高校生との商品開発一年目は素晴らしい「新」商品が完成した。
それは今でもその時期が来ると店頭に並ぶ。
ちょうどこの時期、センター試験や入試の時期の風物詩である。

その名も「ガチせん」
生徒たちが考えた商品案の一つに固いせんべいを困難に見立て、
それを噛み砕く事で困難を突破しようというアイデアが発表された。
ガチで甲子園を目指した野球部のキャプテンのアイデアだ。
それを

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ものづくりの話 最初の授業

<ものづくりの話 024>
高校生との最初の授業でやるつかみの鉄板ネタがある。
キューピーのマヨネーズ10種類がどこでいくらで売られていたかというクイズだ。

ほとんどの人がマヨネーズに驚くほどのサイズバリエーションがあることを知らない。
お弁当につける用の細長い個包装パック、60gほどの小さなもの、1kgの業務用巨大パック、200g、230g、250g、300g、400g、500gとそれほど変わ

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<ものづくりの話 〇〇つくり>

<ものづくりの話 023>
焼きたてって特別感ありますよね。その一瞬しかないから。
新鮮さは時間とともに劣化し、減価していく。
みそせんべいの焼きたてもお店でしか食べられないので人気があります。
これはこれで美味しいのでぜひ大垣にお越しください。
でも、本当はある程度時間が経って味が落ち着いて馴染んだ方が美味しい。
敬愛する巖邑堂の内田さんもどら焼きは1日経ってからの方が美味しいんだけどね〜って言

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<ものづくりの話 斬新考>

<ものづくりの話 022>
最近の傾向として斬新って言われてるのは
デザイン(形状、色)とかコンセプトとかマッチングが多い印象。
和菓子も出尽くした感がある。いやいや、まだまだ可能性はあるかな〜
和菓子屋さんは多いし、開発意欲も高くて競争激しいから大変だと思う。
その点、煎餅では同業他社には申し訳ないが独壇場に近い。
盛り上がりも少ないが、まだまだブルーオーシャン。

世の中になかったものの理由と

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<ものづくりの話 勘違いした斬新>

<ものづくりの話 021>
この時期になると思い出すことがある。
高校生と5年間商品開発の授業をやっていた。
最初に先生は高校生の斬新なアイデアで商品開発しませんか?
とお誘いに来られた。
笑って、はいとお答えしましたが、内心はバカにすんなよとw
それってホントに斬新?? 
こちとら年がら年中、四六時中、煎餅のことばっか考えてるんだ。
パッと来た高校生が考えそうなことを思いついてないとでも

学校

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<ものづくりの話 宝の露>

<ものづくりの話 020>
毎年年末に宝露せんべいを作る。
宝露せんべいは「ぼうろ」と読む。
宝尽し文様が12種類、打ち出の小槌、米俵、七宝、千両万両小判、丁子、隠れ蓑、隠れ笠、金嚢、宝鍵、宝巻の形の可愛らしさにズッギューンきた。
昭和3〜40年代に作られた人形焼の型を倉庫で発見したのがおよそ8年前。
人形焼ではなく、なんとか煎餅にしたいと思った。
2012年末に迎春用のお煎餅としてデビューしたが

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