<ものづくりの話 勘違いした斬新>

<ものづくりの話 021>
この時期になると思い出すことがある。
高校生と5年間商品開発の授業をやっていた。
最初に先生は高校生の斬新なアイデアで商品開発しませんか?
とお誘いに来られた。
笑って、はいとお答えしましたが、内心はバカにすんなよとw
それってホントに斬新?? 
こちとら年がら年中、四六時中、煎餅のことばっか考えてるんだ。
パッと来た高校生が考えそうなことを思いついてないとでも

学校から授業は数回でいいと言われたけど、そんなわけもわかってない生徒のアイデアで、はい新製品ですって田中屋の名前で商品出したくなんかなかった。
ですので、ほぼ毎週行きました。年20回弱。ほぼ無報酬。
商品ってなんぞやから始めて、いい商品ってどんなの?
なぜ新商品を共同開発するのか? 前提になることを座学10時間以上やって
ようやく商品のアイデアへ。
それでもやっぱりモノを買う経験値が圧倒的に不足してる。
煎餅に対する知識、熱量も高いわけじゃなく
なかなか私が首を縦に振るようなアイデアは出ません。
種になるものをほんの一粒でいいんです。
高校生にしか言えない何かが、私が同じこと言っても説得力ない一言があるんです。
それを教室全体で見つけて行く旅なんです。
先生は私で先導者のように見えますが、高校生自身が迷い戸惑いながら道を見つけていく修行のような旅なんです。
とにかく考える。正解がないことを自分の頭で考える。
自分たちの意見で次回の授業内容も道のりも変わっていくし、
どんな商品ができてくるかが決まっていく。
長い学校生活でそんなこと先生に求められたことないから、
自分たちの意見を言うこと自体が高い高いハードル。
1年目は最高に知性の高い商品が生まれた。
2年目の生徒たちとは申し訳なかったけど見つけられなかった。
4年目はサクッと決まったけど、そこから先の販売するイメージまで求めちゃって失敗した。
5年目の生徒たちは最後の最後まで粘ってギリギリで商品ができた。
それくらい熱くなってこないとこちらだってやれない。
3年目の生徒たちの最後の授業では生徒たちの成長っぷりにあまりに感動して金八先生ばりに号泣してしまったこともあった。
ちなみにその授業には文科省や県の偉いさんたちが見学に来てて今でも伝説になってるらしいw
毎年それぞれにドラマがあったので、これだけでも10回分くらい書けるぞ。
高校生相手だからって手を抜かず、それくらい本気でやってきました。
ちょうど今頃その開発が佳境に入って、ひいこら言ってたなあとトオイメ。

本題にたどり着く前が長かったな。次回本題へw


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