<ものづくりの話 ガチせん>

<ものづくりの話 025>
高校生との商品開発一年目は素晴らしい「新」商品が完成した。
それは今でもその時期が来ると店頭に並ぶ。
ちょうどこの時期、センター試験や入試の時期の風物詩である。

その名も「ガチせん」
生徒たちが考えた商品案の一つに固いせんべいを困難に見立て、
それを噛み砕く事で困難を突破しようというアイデアが発表された。
ガチで甲子園を目指した野球部のキャプテンのアイデアだ。
それを採用し、「必勝祈願 みそ入大勝ちせんべい」という骨格ができた。
もう10年前のこと、その頃は「ガチで」というのは若者言葉で30代半ばのオッサンには距離のある言葉だった。
それこそちょっとやんちゃなギャルwのアイデアから生まれたネーミングだった。
同封のお札風というか、祝儀袋風の紙に願い事を書いて、勝負の日の朝、せんべいを噛み砕いて集中力アップ、気合を入れてことにのぞむ。
そんな楽しい企画提案商品なのだ。
中身はもちろん、ガチガチに固いみそ入大垣せんべいの四ッ折だ。
商品自体は何にも新しくない。
そこが素晴らしい。最高だ!

今まであった商品に違う角度から光を当てて、商品の新しい魅力を発見する。
素晴らしい知性だと思う。
売り手の私ではなく、高校生がやるから本当の価値がある。
こういう仕事がしたくて高校生のところに通った。
いろんな学校とのコラボ商品を見たけど、これほどセンスが良いのは見たことがない(自画自賛)。

飽和した商品市場、今こそこういう知性やセンスが求められてるんじゃないかと思うが、斬新全盛時代にはなかなか理解されない。


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