幻の未刊行作が絵本に!『くまの子ウーフのたからもの』誕生ストーリー🐻
長年愛され続ける、ポプラ社を代表するロングセラーシリーズ「くまの子ウーフ」。1969年刊行の『くまの子ウーフ』(神沢利子/作 井上洋介/絵)にはじまり、童話集や幼年童話など様々な形で多くの読者に親しまれています。
そしてこの度、新刊絵本『くまの子ウーフのたからもの』(神沢利子/作 広瀬弦/絵)が完成しました! 秋の山を舞台とした、この季節にぴったりのお話です。
ウーフの手がかわいく添えられた帯には「いちばん ふるくて いちばん あたらしい」という言葉が。一体どういう意味なんでしょう?
ウーフはもともと「ウー」だった!?
それはウーフの本が刊行され始めて50年が経った、2019年のこと。
東京都三鷹市の「神沢利子研究会」メンバーの方のご尽力により、とある未刊行のウーフのお話が発見されました。
そのタイトルは、『ウーのたからもの』!
1968年に神沢利子さんは雑誌にて、「ウーのたからもの」を含め3篇のくまの子のお話を発表していました。
その後「ウー」は「ウーフ」と名前を改め、翌年に童話集『くまの子ウーフ』が刊行されます。しかし、この本に「ウーのたからもの」は収録されていなかったのです。
そのまま長い年月が流れ、作者の神沢さんご自身もいつの間にか忘れていたというこのお話。幸運にも出会えた、この幻の作品を今度こそ本の形にしたい!
そこでタイトルを『くまの子ウーフのたからもの』にして、この度絵本として刊行されることになりました。
新・ウーフが誕生するまで
長年「くまの子ウーフ」シリーズの絵をご担当された井上洋介さん(1931年ー2016年)に代わり、今回ウーフを描いてくださったのは、画家の広瀬弦さん。従来の愛らしい面影を残しつつ、新しいウーフが生まれました。
既に幅広く認知されているキャラクターだからこそ、どんな絵を描こうか悩んだという広瀬さん。本の挿絵やぬいぐるみを元にスケッチを進めるも、納得のいく「くまの子」にたどり着くには、試行錯誤があったようです。
そんなとき、広瀬さんが手にしたのが「粘土」。グニグニとこねてみると楽しくて手が止まらなかったのだとか!
丸二日間も粘土をこね続け、ついに完成したのがこちらのウーフ人形。
「自分でも惚れ惚れするくらいのくまの子ができた」とおっしゃる広瀬さんは、この人形からイメージを膨らませ、色鮮やかで楽しいウーフの世界を描き上げてくださいました。
私のたからもの、そして、みなさんへの贈りもの
こうしてついに出来上がった『くまの子ウーフのたからもの』。作者の神沢利子さんは、なんと来年1月に99歳のお誕生日を迎えられます。
早速見本をお届けすると、神沢さんは1ページずつじっくりとウーフの絵をご覧になり、「やさしいウーフになったね」「かわいいね」と本の完成をとても喜んでいらっしゃいました。
刊行によせて、神沢さんからはこんな素敵なメッセージも届いています。
ウーフの世界の原点とも呼べる、神沢利子さんからの大切な贈りもの。どうかみなさんに楽しんでいただけますように!
(文・長谷川舞)
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