学芸大学駅とストーリーズ
この街とも、気づけば長い付き合いになりました。若き日、大失恋した夫が1人暮らしをしていたのが、ここ学芸大学駅。徒歩17分、環七沿いの5階まで階段で上がる、エアコンもなくカーテンもない部屋は、直射日光であり得ない暑さに。窓を開ければ車の騒音で何も聞こえない、電話するのも大変だった。
数少ない同期、同じ頃に会社を辞めた仲間で、あの頃は若さだけ。先行きも見えない、本当に何もなかったなぁ。
当時の夫は、百円均一で買ったあずき缶のフタを舐めて舌を切ると言う、悲しや貧乏極まる話あり(笑)その後 渡米した私との腐れ縁的な遠距離、結婚から子育て。まさかまさかの連続に気づけば「縁」あって再びこちらに舞い戻って十数年、あの時のニ人が(かな〜り老けましたが)まだ、この街に暮らしている。わからないものです。
☆ 学芸大学附属高校
駅名にもなっている学芸大学は、かなり前に多摩へ移転して、現在は附属高校の古い校舎だけが残っています。
「冬の教室は、外より寒い」
多分本当。
駅の両側に商店街があり(タクシーは入れないから不便)散歩に最適な公園もある。特に広い昔の豪邸などは見当たらないが、今まだバリバリに働く人のいる一軒家が多い住宅街の印象。駅までに大きな道路に分断されない、坂のない平坦な土地は都内では珍しく、学生街だった治安の良さとアクセスの便利もあるので
「この駅、なんか落ち着く」
渋谷や中目黒からわざわざ来る若者が口にしたりする。
薄ら ですが、目立たない穴場的な人気がありました。
☆ 地元の公立中学校
場所柄、幅広い職種の親を持つ生徒がいました。
入学してほどなく、生徒達に職業をよりよく理解してもらうイベントが校内で行われ、父母がボランティアで参加してブースに分かれ実技や質問などが行われます。
ミュージシャンがエレキギター演奏したり、有名店のケーキ職人が技を見せたり、人気カメラマンのレクチャーも。中学生達はボンヤリ欲なく見てますが、まぁ贅沢な体験です。
あまり歩いてる所は見かけませんが、著名人が多く住んでる。〇〇ちゃん家の隣は〇〇が住んでるとか、週刊誌に出てたの〇〇のお父さんとか聞く。
娘が3年時、現在の大河女優がまだデビュー間もない頃、長崎から転校して来た。とびきり可愛いけどフランクで、お笑い好きの話などしていて、すぐにクラスに馴染んでいた。誰もいじめない都会の中学生のクール?
へぇ、素晴らしい。
あ、ただ、父兄参観日の父親の出席率の異常なる高さ(笑)
「え、なに、女優がいる?」
お父さん達、心のハリキリがダダ漏れですから。
本人は当日眼鏡をかけて、目立たないようにして。賢い。
☆ ポポット
愛想の全くない店だが、ここのクレープは、本当に感動する。まさにパリ!いや、パリ以上かも。以前は週末だけの行列だったが、何かに掲載されましたね。平日の昼過ぎでも、必ず外で数人待っています。
でも他が浮かばないほど、ここ一択の美味しさなんです。是非。
☆ 碑文谷公園と 子ども動物広場
碑文谷公園と隣接する子ども広場。ポニーに乗ったり、うさぎなどに触れたりできます。(無料)
☆ スィング碑文谷
目黒通りの正面は目立たないのだが、駐車場が沢山あって高級車がひっきりなしに出入りする、奥に広いセレブな打ちっぱなし練習場。ま、でも私の回りは誰も 行ったことがない。近いだけで、全く縁がない。はは。
☆ 新しいゴルフショップ
駅から逸れて、狭いバス通りのサウナの入ってる古いビルの下、目立たない入口を覗くと、ビックリ。つい戻ってミーハー心で写メ。人脈の華やかさ、オーナーは誰?
☆ マッターホーン
学芸大学駅と言ったらマッターホーン。美味しさもあるが、リーズナブルな価格もファンから長く愛されるところだ。(自社ビルで家賃がかからない。あ、極狭駐車場も2台あるっちゃある)年末や繁忙期はバウムクーヘンが追いつかず、買えなくなる。店内で製造する優しい味に終日、客が途絶える事はない。
◯ 喫茶
奥の喫茶スペースは、夕方早々に閉まるし広いテーブル席も少ない。甘いメニュー以外ないが大人気、週末などは進みの遅い長い列を作っている。
パティシエが1人 交代で喫茶の担当になる。朝10時開店と同時に毎日来る(定休の火曜以外)名物おじさんがいて、毎回ダミエ(バタークリームの伝統的なケーキ)とチョコレートケーキとバナナパフェの3品を判で押したように必ず注文。「朝から食べ過ぎ。病気にならない?」まわりの心配をよそにテニスの仲間を連れて来たり 1人でも毎日来るので、喫茶スタッフ(女性達)は おじさんにちょっと優しい。
でもある日
「あれ、バナナが小さいんだけど」
おじさんがクレーム。
多忙で、小さく切ってしまった?パティシエがドキドキ。すると出て来た
オーナー夫人の一喝
「バナナは全部 同じ!」
怖っ。強っ。あわあわ。
「ああ、おじさん もう来ない?」
心配してたら、翌日フツーに来た。
よかった。ホッ。
◯ お土産 おススメ
◎ お祝い行事はここ一択
☆ 町中華「二葉」
座敷席もある狭くて、駅から数歩のビックリするくらい古〜い町中華。フジテレビの汚ナシュラン人形あった。オムライスが人気って驚く。
このドラマみたいな異空間に私はキョロキョロ、でもウチの夫はどんな店よりしっくり似合う。あはは。
私「楽しかった、また来よね」
夫「おお」
☆ 甘味カフェ ひいらぎ
あんこ大好きの夫や友達と、散歩がてらに時々来ます。和スィーツのイートイン店があるって嬉しい。
◎ サニーボーイブックス
☆ BOOK AND SONS
◎ わけわからん?もいっぱい
◎ よく見りゃ面白い店たち
☆ サーティワン学芸大店
2023 7月閉店
娘達が長年バイト、お世話になってました。繁盛してたのに、なぜ?
サーティワンという会社にはテナントオーナー(自腹で)に「10年に1度リフォーム(2000万?)義務」があるそうで、それを返済するのには10年の月日がかかる。いつも働きづめで、妻(子はいない)を留守番させ続けている店長(65歳)
「あと5年はやりたかったけど、10年は自信がないな」
その上、ビルのオーナーから申し出
「家賃を10万アップしたい」
急遽、閉店の決断に。
昔のバイトやら(ウチの2人も)駆けつけ、最後は笑顔で賑やかに
「ありがとうございました」
我家の母の日、父の日、誕生日は必ずバイト帰り片手に このアイス。「ついで感」ハンパないけど美味しかった。
もう、厳し過ぎない?アメリカ資本チェーン。
☆ 要人ポリスボックスの警官
夫は自宅仕事の自由系おじさん、午前中にいそいそ特売目当てにスーパーへと出かける。閑散としている住宅街のポリスボックスの警官達(時間交替制)とも、住民は会釈を欠かさない。でも確かに、あの手は目につくのだと思う。エコバッグを抱えてスーパーから帰宅した夫が憤慨する。
夫 「ちょっとあれ、ホントやめてほしいんだよ。俺を見つけると、無言であいつら、あの(二拍子の足揃え➕腕45°➕真顔)敬礼して来るんだぞ」
私 「え、踊る捜査線みたいじゃない。やっだ、かっこいい」(爆笑)
夫 「毎回、全員だ。やられてみろ。俺は大根とネギ持ってんだぞ」
その後、要人が病気で亡くなり、長年そこにいた警官は、あっという間にいなくなった。いつもの景色が変わった事に、なかなか慣れない。
夫 「なんだろう、寂しくなった」
私 「そうね」
夫 「次はどこに行ったのかなぁ」
日々を過ごしていると、小さな寂しさは、何度も何度も訪れる。年を取って簡単にかわせるように なるわけでもなくて、わずかな痛みはいつまでも染みて困る。
若い頃はとにかく煩わしかった出会いや人間関係も(数が減ったからか)今はフワリと抱きしめられる。
変化するこの街との関わりも、付かず離れずの併走感、ゆっくり長く過ごしていきたいです。どうぞよろしく。