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読書記録19 木曜日にはココアを

『木曜日にはココアを』作者:青山美智子さん

川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。そのカフェで出された一杯のココアから始まる、東京とシドニーをつなぐ12色のストーリー。卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……。小さな出来事がつながって、最後はひとりの命を救う――。あなたの心も救われるやさしい物語。

短編集だし、話題になっているようだし、やさしい気持ちになりたいし…と思い、去年の夏頃に本屋さんで即購入を決めた1冊です。

昨日、久しぶりに読んだので改めて感想を書きます。

表題作でもある『木曜日にはココアを』は、初めて読むときと2回目に読むときとでは印象がかなり違います。1度最後まで読んでいたので、最初から涙ぐむはめになりました。人の何気ないひとことで救われることってあるよなぁ…とうれしくなりました。

普段から、相手を考えることの大切さや、自分がしたいと思ったことを相手にすることの力を感じました。

全体を通して、この言い方が良いかはわかりませんが、私は「おしゃれな文章」だと感じました。言い回しや言葉の選択がなんだか心を綺麗に飾ってくれているような感覚になるのです。作者の青山さんがシドニーの日系新聞社で記者として勤務されていた時の経験が、そう感じさせるのかもしれません。読んでいて上品になれるような、それでいてスッと心に入り込んでくる親しみやすさも感じます。

私のお気に入りの話は、『木曜日にはココアを』と『きまじめな卵焼き』と『半世紀ロマンス』と『恋文』でしょうか。いや、どれも素敵なお話…。

それぞれの物語の登場人物がつながっているところが多いので、それぞれのつながりを楽しむのもこの作品の楽しみ方の1つかな、と思います。

なんだか自分でも新しい物語を作り出したくなるようなわくわく感も味わえました。

私はこの作品を読んで、結構本気で喫茶店で働くっていいなぁ、あこがれるなぁと思うようになった気がします。誰かにとって心地の良い居場所をつくれる人にあこがれるのです。

「誰かにとって心地の良い居場所をつくりたい」は、今の仕事にも通じる部分はあるのですがね。うーん。改めて思うと、どこで何の仕事をするかではなく、自分がどのように仕事をするのかが大事なのだと思えてきました。ただ、まだまだ仕事についてはゆっくり考える時期です。こうした心を潤す作品をたくさん読んで、自分自身をもっと豊かにしていけたらいいなぁと思います。

以前少しだけ感想を書いた『お探し物は図書室まで』も読み終えているので、近々感想をまとめたいです。

ありがとうございました。ぽくこ

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