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詩の作成日記

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2023年8月の記事一覧

「見上げた空に星が光る」11

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褐色の大地に赤き大陸が広がる
人々は古よりその赤き光に神を見たのか

神住まう山がそこに聳え
月をいくつも所有する

王が舞い降りし赤き星の荒漠な大地は
虚空が世界を食らい尽くした跡のようだ

かつて風が吹き荒れ
雨が踊り狂っていたのだろうか

隕石が降り注いだように傷痕を残している
それは岩さえも粉々に砕く まさに神の手足のように
世界を滅ぼす刃となろう

その残り薫は極北に取り

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「見上げた空に星が光る」11

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それは水の足跡
かつてここに水があった時
かつての地球の姿に似ていたかもしれない

水がそこにあったという確かな跡は何を物語るのか
失われた楽園はどこに消えたのか

それは虚無ばかりが続く大地
そして砂塵舞う嵐が降り注ぐ
赤き星は全てが砂漠と化した荒漠の世界
星とはこんなにも孤独なのか

だがその孤独な星さえもまた
かつては生命が繁栄した時代があったとしたらどうだろう

生命は絶滅

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「見上げた空に星が光る」10

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赤き星が羽根を広げるその間近に
空の彼方の点のように小さな星
それは獄炎に曝された星

光が降り 灼熱の嵐が吹き荒れる
影が注ぎ 極寒の氷に閉ざされる

二つの地獄が相反して混在している

両者の狭間に矛盾と混沌が広がる
だがその世界の狭間に 果たして楽園はあるのだろうか

水なき星 それは 冥界と地獄を繋ぐ橋
否―この地獄の境目に 生命宿りし水が―存在し得るのかもしれない

Be

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「見上げた空に星が光る」9

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赤き光の球から羽ばたくのは炎の渦
それはまるで生まれ出た鳥のようであり
翼を広げ宇宙の闇を飛び立つ蝶のようだ

ここは不死鳥の宿る墓

沸々と赤い脈動のような閃光が飛び散る
桜のように 嵐のように 波濤のように

それは無音に叫び声を上げる断末魔のようだ
あるいは闇に伸ばす手のようだ
だがその手に触れるものは塵へと消える

渦を描く
終わらない苦しみがあるように
永遠の輪廻を思わせ

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「見上げた空に星が光る」8

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燃え散らすほどの紅の光と全てを掻き消す白い光が鬩ぎ合い黄色に輝き
その背後は褐色に濁り 黒き影が蠢き そして闇が踊る

それは力の迸る激流の嵐
遠くに見る汝の輝きが
恵みの光注ぐ天使の微笑みであるなど誰が言えよう

これを間近で見るなら
それは悪魔住まう地獄の口が開いたかのよう

光と闇が絶え間なく螺旋を描き
嵐の如く瞬いている

創造の女神が微笑むためには
破壊の王の玉座が必要な

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「見上げた空に星が光る」7

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それは地球の未来の姿だろうか
大気の温度は上がり
熱は暑い雲に閉ざされ囚われ
その温度に海は蒸発し
そして灼熱の世界が覆う
女神という名を冠したこの星で
その微笑みがこの星にもたらしたものは
戦慄するほどの美しさと
息をのむほどの死の世界なのか

煌々と照らす星の光に それは包まれている

between

温暖化がこのまま進んでいくと、いつしか金星のようになるのでは
という記事を

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「見上げた空に星が光る」6

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それは運河のようだ
大地が描く運河のようだ

いや それは奔流する川のようだ
いや 大地はもともと荒れ狂う灼熱の海ではなかったか

大地は海を隔てて別つのではなく
むしろそこから生命の進化のように
在り方を変えて世界を形作る造形の神秘なのだ

雷のように迸り
うねる雲のように流動的に脈打つそれは
火山の噴き出すマグマの力に象徴されるように
世界を闇に変え
そして海から大地を生み出す

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「見上げた空に星が光る」5

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生命の本流はどこから流れ着いたのか
それは宇宙の果てからだろうか あるいは銀河の彼方だろうか
一体どれほどの旅を経て 闇の中を彷徨い 光に貫かれ
ここまで来たというのだろうか

水は果てしなく
遠いところから
運ばれてきたのかもしれない

水が水として存在することが
すでに生命の軌跡であるのかもしれない

Between

生命と水の関連をもう少し補足できないか

生命の本流はどこ

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「見上げた空に星が光る」4

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例えば
大地に刻みつけられた傷跡が
生物の形を模して 動き出すとしたらどうだろう

大地は生命であり 生命は星そのもの

命を形作る大地にとって風は血脈であり
そして命を宿した時 地上に現れ 生命活動を始めるのだとしたら
それは彼方の星さえも 生物の原型となるだろう
そこには石碑が刻まれているかもしれない

それはその星にあって見つけ出されるのではなく
彼方の星にあって 宇宙そのも

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「見上げた空に星が光る」3

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金色に輝く星

海底の水は干からび 水圧が重力のように奔流し
大地を赤く焦がし 灼熱の地獄が広がる
硫酸の雨が降りしきるこの星は地獄の果てだろうか
白く輝き金色に瞬き描く螺旋の渦に

サソリは徘徊し その毒尾を蛇の頭のようにもたげる

星々の唄が宇宙に響き渡る時
地球の生物はその調べを模して生まれてきたのかもしれない

爪痕のような渓谷が広がり
山脈の峰が傷痕のように奔る
それは人

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「見上げた空に星が光る」2

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それは渇いた楽園
虚無のオアシス
凍てついたマグマ
死に神の土地 天使の墓場
淡々と岩肌の続くだけの土地に虚無を見るだろうか
そこに絶望を見るだろうか
その果ての地球は何と鮮やかに輝くだろう
月の冷たい輝きが魅せるのは死そのもの
ならばその美しさは何と残酷なことだろう
月だけではない――宇宙の闇は死を現している
だから月は消えては蘇り
太陽と背中合わせに世界を照らす

時に取り残さ

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「見上げた空に星が光る」 1

第1章

「見上げた空に星が光る」



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雲は輪を描き
世界に羽ばたく翼となり
海は紺に地表を染め
大陸が 緑に そして褐色に輝く
縁に水色の浅瀬が光る
大地の脈々と続く鼓動はうねり 奔り 迸るように山脈を築く
氷の大陸は白き腕を伸ばし
風はその白き指先に触れるものを全て凍らせてしまう
凍てつく波動がなびく それは大地が白き雲を抱き寄せるかのようだ
大陸の裂け目に藍の湖が埋もれ

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宇宙の彼方の物語 序章 0

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夜の彼方に届いたなら
この声は世界に鳴り響いてきっと雨を降らせるでしょう
それは流れ星の煌めきを宇宙に散りばめる
放ったのは私の叫び声
いつかの私 それは忘れてしまった過去を乗せて
過去は星のように私の心を周り
助けを求めながら 光り輝いている
それは 私を照らす光のように

Between
やや前作が駆け足だったので、今回はゆっくりやっていきたいところだが、どうだろう
客観的な描

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終曲―人類の産声

終曲―人類の産声

「人類の発祥」

人類が猿から始まったのなら
猿は森から始まったのだろう
そして森から出た人類は一体どこに行ったのだろうか
大地は氷河と溶解を繰り返し
荒れ狂う風が吹くなら
凍てつく吹雪が吹き荒れる時代もあっただろう
その時人はどこへ行こうというのか

人が地表に救いを求めたなら
極寒の大地は容赦なく命を抱き留めただろう

だが人は地下に求めたのだ
洞窟は人類の聖地であったのか

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