#短歌|記念日を詠む(6月)
6/1 写真の日
はいチーズ、あなたが切り取る一枚がいつか私の遺影になって
6/2 裏切りの日
裏切りは蜜の味だしコーヒーに溶かしていつか笑い話に
6/3 測量の日
正確に測量をするこの土地もきっと何かの墓なのだから
6/4 虫の日
この恋はスーパートルネードスロー大きく手を振りお別れをした
6/5 ろうごの日
ゆるやかに若さを消費した先のわたしの光 吾子の二の腕
6/6 楽器の日
ギター、チェロ、ピアノ、マリンバ、バイオリン、きみのはなうた、琴、ガルモーニ
6/7 母親大会記念日
自分より大事な人よありがとう私を母と名付けてくれて
6/8 世界海洋デー
海を見て綺麗と思うのはきっと故郷を見た感覚なのだ
6/9 ロックの日
葬式でロックを流して 遺影には隠し撮りしたものを使って
6/10 ミルクキャラメルの日
キャラメルに銀歯のかたち刻まれて不可逆性の過去ほど甘い
6/11 傘の日
大きめの傘をグングニルって呼ぶ少年ずっとそのままでいろ
6/12 恋人の日
奇跡とかそんなんじゃなくて私の努力がゆえの両想いだし!!!
6/13 小さな親切運動スタートの日
自分では気づかないほどの親切がやがてだれかの星空になる
6/14 手羽先記念日
いつまでも好きでいるよと手羽先を指切りげんまんするように食む
6/15 生姜の日
煩わしいほどに愛する母だった さばの味噌煮の生姜のつよさ
6/16 麦とろの日
平穏な日々などなくて弟はとろろごはんで死ぬこともある
6/17 砂漠化および干ばつと闘う国際デー
オアシスを求めたカフェのマスターが常緑みたいに微笑んでいる
6/18 海外移住の日
母国語が通用しない土地に来て人の温もりだけは共通
6/19 朗読の日
窓際で眠る犬へと朗読をしたいと思う詩歌があるのだ
6/20 ペパーミントの日
モヒートが運ぶ爽風 目頭の熱を、この感傷をなぞって
6/21 スナックの日
ポテコもとんがりコーンももう指に入らないけどちゃんと美味しい
6/22 かにの日
いつか嫌いになっちゃうのかなソフトシェルクラブでずっといてほしいけど
6/23 オリンピック・デー
感動を与える人に金メダルあげたいこれを見ている人にも
6/24 ドレミの日
音階を正しく刻み歌う ドはどうしようもなくかなしいのド
6/25 住宅デー
百年のローンを組んで買う家に百年住まないみたいな定め
6/26 雷記念日
暗くした部屋が光って雷のように希望が見える絶望
6/27 日照権の日
日に当たることは権利でそれによる影を愛することも権利だ
6/28 パフェの日
完璧なパフェを崩したスプーンが銀に光って免罪符かよ
6/29 佃煮の日
小魚を煮た保存食 元気なら別に成功しなくてもいい
6/30 ハーフタイムデー
折返し地点としての死があってゴールで生まれ変われるはずだ
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