【ピリカ文庫】いつかの花風
「ねえ、今幸せ?」初対面の女性から開口一番こんな事を言われたら誰だってフリーズする。だが、「少なくとも今にも屋上から飛び降りようとしている人に聞くことではないですね」と返すと「それもそっか!」と彼女はケタケタ笑った。なんか…折角、覚悟を決めたのに興が削がれてしまった。
「一旦こっち来なよ」彼女に言われるがまま、再度フェンスを乗り越えて安全な場所に来る。分かる、こうなればもう死ねない。「ほら座って座って」と彼女は左手で床をパタパタと叩き催促する。僕が彼女の隣に座るや否や、彼女