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『いま、働きたい』を、諦めた話。
”諦める”っていう言葉の語源を知っていますか?
諦める。
それはとても
悲しい色を帯びた言葉で
心臓をぐるぐる巻かれるような
おなかに小石を投げつけられるような
ぎゅっと ちくちくと
いつまでも胸に 身体に残る
たしかな痕跡。
生方美久さん という脚本家さんがいます。
『silent』『いちばんすきな花』『海のはじまり』などを描いた方です。
もともとは、フジテレビ ヤングシナリオ大賞の出身だそうで、
FOD(フジテレビオンデマンド)で受賞作品を鑑賞しました。
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そのワンシーンを 一部紹介します。
諦めるは、明らかと同じ語源です。
つまびらかにする、はっきりさせるって意味です。
やめるとか、放棄するとか、
そんな意味はもともとはありません。
諦めるっていうのは、ポジティブな言葉だと思います。
もう叶わないって 自分の実力が明らかになったからやめる。
それが諦めるです。
~中略~
夢を諦めたら、
また次になにか 夢と呼べなくても、
目標とか 抱負とか、そういうの決めて、
無理矢理でも、適当でも意地でもいいから決めて、
生きてかなきゃいけない。
ただ、ただね。
夢を追ったことがある人間だけの特権っていうのがあってね。
それは、夢を追いかけたっていう事実です。
挑戦したことだけは、褒めてあげられます。
~中略~
だから大丈夫。
みんな 夢が「これはもう無理だな」「叶わないな」って明らかになったときは、
どんどん諦めてこう。
諦めて次に進んでこう。
踊り場にて』 脚本:生方美久
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今年の8月、
長年勤めた職場を退職しました。
病気を患い、毎日通うことが難しくなったからです。
とても好きな職場でした。
とても好きな仕事でした。
休みたくて休んでいるわけじゃない。
本当は、今すぐ働きたい。
好きな場所に、戻りたい。
それでも、私は諦めました。
働くこと、戻ること、
好きな場所で生きること。
悲しみと悔しさだけが残って、辛かった。
そんなときに観たのがこの作品です。
そうか。
諦めるって、前向きな決断なんだ。
『いま、働きたい』を諦めて、
『いつかまた働きたい』という新しい目標ができた。
振り向くと。
そこにはたしかに痕が遺っている。
でも、私は今、
前を向いています。
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