きぬごしは、寝坊をしたことがない。
愛犬のきぬごしは、いつだって早起き。
リビングで寝ているきぬごしは、とびらのまえでお座りをして、飼い主が起きてくるのを待ちわびる。
わたしたちがとびらをあけて
カーテンを開けると、日が当たるところで、ひなたぼっこ。
くちを開けてベロを出して笑っている。なんだか嬉しそうで、わたしがほほ笑む。
『暑いだけだよ』
多分、きぬごしはこころで、こうつぶやいている。
台所で、朝ごはんを作っているわたしをずっと見ている。わたしは、気まずくなり、きぬごしの朝ごはんを用意する。
がらごろ、がらごろ
きぬごしは、ドッグフードの音がするとゲージに入り、いただきますの準備をしている。
パパが、朝ごはんを食べ始めると、正座する横にきぬごしがぴったりついて、うらめしそうに見ている。もう、朝ごはん食べたのに。
すぐ根負けしちゃうパパは、食パンの耳とヨーグルトを指にのせて、わたしの目を盗み、きぬごしのくちもとへ運ぶ。でも、ママは台所からみてるから、知っているんだけどね。
♪ ぴーぴーぴー
洗濯物ができあがる。ベランダの前できぬごしが、スタンバイする。この音がすると、ベランダに出れるから楽しいんだよね。
でも、きぬごしは、干し終わってもなかなか、部屋に入ってくれない。
諦めて、ほっておくと洗濯物と一緒に、太陽と風を浴びながら、スヤスヤ寝ている。
きぬごしの白いからだが、あさイチの澄んだ太陽に照らされて、やわらかいお豆腐みたい。
ねぼけまなこの、きぬごしを抱きかかえて部屋へ入る。
部屋に入ったきぬごしは、だいすきなブランケットに包まれてて、また寝る。
きぬごしは、いつも早起き。わたしたちの、朝のたのしみ。
いつも、待っていてくれる。
きぬごしも、たまには寝坊すればいいのに。
むぎあじ。
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