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読書 | 胡蝶、カリフォルニアに舞う

 多和田葉子穴あきエフの初恋祭り」(文春文庫)。この本には、表題作「穴あきエフの初恋祭り」をはじめ、7つの短編小説が収められています。
 
 いちばん最初に収められている「胡蝶、カリフォルニアに舞う」しかまだ読んでいないのですが、とても面白かったです。
 
 「胡蝶、カリフォルニアに舞う」を私は、普通に現実的なお話だと思って読み進めていったのですが、だんだん「何かがおかしい」と思う気持ちが強くなっていきました。
 物語の最後になるにつれて「あり得ない」「おかしい」という気持ちがマックスになったところで、最後のパラグラフを読んで、「な~んだ、そういうことか!」と思わず笑ってしまいました。

 「でも、そうだよね。だいたいタイトルが『胡蝶』なのだから」と妙に納得する私がいました。
 最後まで読めば、「なぜ主人公の名前が『I』(アイ)なのか?」という疑問も氷解するのですが、ネタバレになるので書けません。


 この前、積ん読状態だった「尼僧とキューピッドの弓」という多和田葉子さんの作品を読んで感想文を書きました。

 初めて読んだときは、言葉遊び的な箇所に馴染めなくて、本を閉じてしまったのですが、多和田葉子さんの作品はハマるとすごく面白い。

 ご存じの方も多いと思いますが、多和田さんはドイツを拠点に活動されている芥川賞作家です。

 日本語だけでなく、ドイツ語で執筆した著作も数多くあります。日本語で小説を書いたあとに、多和田さん自らドイツ語に翻訳するパターンが多いようです。
 私自身はドイツ語で多和田さんの作品を読んだことはないのですが、単に日本語で書いた作品をそのままドイツ語に翻訳しているわけではなく、翻訳の過程で加筆修正も行われているようです。


 基本的には同じ内容の著書が、日本語でもドイツ語でも読める、というのはなかなか稀有なことですね。


 日本語で書かれている作品では、特にドイツ語の知識がまったくなくても読めるのですが、「多和田語」は日本語でありながら普通の日本語ではありません。

 好き嫌いはあるかもしれませんが、これはちょっと私には病みつきになりそうな文体です。

 普段私は、現代作家はあまり読まないのですが、多和田葉子の作品はゆっくり味わいながら、少しずつ読んでいきたいと思います。


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