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私の母の記憶 | 3つエピソード。

 noteの記事を読んでいると、お母さんへの想いをつづっている方と多く出会う。

 私も何度か書いているが、きちんと書いておこうかなという気持ちになった。

 極めてプライベートなことだし、母のことを書くのは気恥ずかしい。


 人のことを語るとき、3つのエピソードを語ることが分かりやすいかな、と思っている。母との思い出で印象深かった出来事を3つ挙げてみようと思う。
 いずれも遠い昔のことだが。。。



(1) 流血事件

 これは以前書いたある。

 幼稚園の頃、父が出張中だったときのこと。
 私は乗れるようになったばかりの自転車に乗っていた。坂道が多い場所に住んでいた。
 母が買い物か何かで出掛けたときに、私は自転車に乗りたくなって外へ出た。
最初は平らな場所で乗っていたが、少しスピードを出したくなって坂道を走った。けっこうスピードが出てきて、少し怖くなってブレーキをかけた。しかし、その反動で、道路脇の2mくらい下の畑の中に落ちた。
 柔らかい土に尻餅をついたのはよかったが、乗っていた自転車が頭の上から降ってきた。頭の皮膚が切れて、自転車のカゴが真っ赤に染まった。
 たまたまその時、母が買い物から帰ってきたときで、すぐに駆けつけてくれた。
 坂道の下には、母の知り合いの家があったので、すぐに病院に電話してもらうように駆け込んだ。
 知り合いの方が用意してくれた、黄色いタオルの上に頭を置く。みるみる血で赤く染まっていく。

 「あきら、大丈夫?」と、母や知り合いのおばさんがしきりに尋ねる。目の前に指を見せて「これ、何本かわかる?」と互い違いに聞かれた。私は「二本」、「三本」とすぐに分かったが、「なんでこの人たちは当たり前のことを聞くのだろう?」という気持ちで、いっさい答えなかった。「大丈夫?なん本か分かる?」

 詳細は覚えていないが、救急車ではなく、タクシーで病院に行った記憶がある。振り返ってみると、当時の母は30代半ばだった。きっと気が動転したことだろう。けれども、機転を利かせて、考えうる限りの最善の処置をしてくれた。仮に自分が逆の立場ならば、きちんと対応できただろうか?
 後遺症はないが、なん針か縫ったので、今でも怪我をした箇所が分かる。


(2) 朝顔の開く瞬間を一緒に見た


 朝顔が開く瞬間を朝早く起きて、母と一緒に見たことがある。
 当時の私が書いた日記帳より。小学一年生の時の出来事。

7がつ10にち もくようび
あめ、はれ

ぼくのかぶとむしは、とてもげんきで よるになると きちんとふたをしていても どこからかでてしまいます。かぶとむしがぶんぶんへやのなかをとびまわっていました。おとうさんがつかまえて けいすにいれました。とけいをみると3じ50ぷんでした。きゅうにあさがおがみたくて そとにでました。つぼみのねじれがすこしゆるんでいるところでした。 もうすぐさくとおもい、おかあさんとぼくで、はながひらくのをみていました。 かさをさしてみていました。ほんには、40ぷんでひらくとかいてありましたが、ぼくのうちのあさがおは、つぼみからはながひらくまで1じかん10ぷんもかかりました。おかあさんがもう5じだねといいました。すると5じちょうどにふわっとむらさきいろのはながさきました。 ぼくはやったとおおきなこえをだしました。あきら あさがおみられてよかったねと、おかあさんがいいました。それからまたねました。


(3) 一休さん事件


 中学1年生の出来事。
 当時わたしの住む町では、中学生の男子は丸刈りすることになっていた。
 小学生までは床屋で髪を切ってもらっていたが、中学生になってからは、バリカンで母に五分刈りにしてもらっていた。

 ある日のこと、いつものように母に五分刈りにしてもらおうとしたのだが、母がバリカンのアダプターをつけ忘れてしまった。

 頭の中央に、名刺くらいの「無毛地帯」が出来てしまった。そこの部分だけ、カミソリで剃ったようになった。

 すぐに気がついて、母は手を止めたが、時、すでに遅し。

「あきら、ごめん」

「えっ、なにが?」

 鏡をみて唖然とした。

「どうしてくれるの?」

 それからイロイロ考えた。短くなりすぎたところに「焼きのり」を貼ってみたり、黒の「折り紙」を貼ってみたり。

 しかし、かえって違和感が大きくなるばかりだった。

「アデランスに電話してよ」とか、「部分カツラないかなぁ」とか、いろいろ考えたが結局、頭全体をアダプターなしでバリカンすることになった。

「あらぁ、一休さんになっちゃった👨‍🦲」

「一休さんじゃないよ。どうしてくれるの?」

 その後、母の白髪染めを試してみたが、意味がないのは明らかだった。

 頭を包帯でグルグル巻き🤕にしようとか、さんざん考えたが、あきらめるよりほかなかった。

 次の日、学校にいくのがイヤだった。
学校へ行くと、さいわい、みんな「えっ?!」とこちらを見たが、ほとんどのクラスメートは何も触れなかった。でも、一週間くらいの間は生きた心地がしなかった。

 今になってみると、笑い話なんですけどね😊。



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