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(Re:)三十一文字の返信―『#恋人を喪った安田短歌』の狂気と優しさ
1.恋人を喪った安田短歌とは何か
『恋人を喪った安田短歌』(以下、安田短歌)とは、映画『シン・ゴジラ』[i]に登場する安田龍彦文部科学省研究振興局基礎研究振興課課長(以下、安田)の恋人が作中時系列の2016年11月7日午後18時30分[ii]に巨大不明生物・通称ゴジラが口から放出した放射線流に巻き込まれて死亡したこと(太字・架空設定)に立脚し、作中時系列・世界線の前後内外を問わずに、安田や恋人、
023. #恋人を喪った安田短歌 について その2 16年10月~12月
みんなの作歌ペースも落ち着きこのまま収束していくかと思われた2016年10月、安田短歌に彗星のごとくまほぴさんが登場した。10月12日にまほぴさんが発表した連作「11桁」があまりのエモさによって安田短歌タンカラー内で大ヒット(世にいう「安田タンカラー総辞職ビーム」)。これに刺激を受けて再び安田短歌を詠み始める人が再び増えはじめた。
この流れに追い風を吹かせるべく、僕はアンソロジー第二弾を制作。
033. #恋人を喪った安田短歌 について その3 「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」
2017年の年明け早々、安田短歌の有志で本を作ろうという話が突発的に出て、あれよあれよという間に制作がスタートする。この辺りは安田短歌本の編集長である神山君の手腕によるところが大きい。以前からちょっとしたノリとして「安田短歌はそのうち本にまとめたいねー」などと口走ったりはしていたのだが、まさか本当に作ることになるとは。
収録内容については、早々に僕の方で草案を作った。
まずは参加者による自作短歌
069. #恋人を喪った安田短歌 について その4「ジ・アート・オブ・ヤスダタンカ」
安田短歌本第一弾「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」の文学フリマでの頒布から約2か月後の2017年7月、神山君とTwitterでやりとりしているうちに、「じゃあ、安田短歌本2やるか」という話になった。相変わらず、ノリと勢いで「やる」と決めてしまったわけだ。
さて、安田短歌本1が作品・年表・座談・評論・小説が混ざった総合誌だったのに対して、第2弾は「詠み手がそれぞれ別の詠み手の短歌10首をセレ
082. #恋人を喪った安田短歌 について その5 短歌以外の創作物
「恋人を喪った安田短歌」はTwitter上でクラスタを形成できるほどの詠み手が集まった企画だった。とはいえ元々、「恋人を喪った安田」というアイデアを「短歌」という規格に当てはめると表現しやすいのではないか、という発想の元生まれたハッシュタグだったこともあり、別に「短歌以外でも表現しちゃえばいいよね」という発想が僕の中にはあった。
そのうちの一つが「恋人を喪った安田音響」だ。最初は「恋人を喪った安
あいまいに喪われたものたちへの鎮魂曲
※この文章は,安田短歌本2「ジ・アート・オブ・ヤスダタンカ」に掲載されている論考です。
夢は短い精神病であり、精神病は長い夢である。 −ジークムント・フロイト
わたしは、安田タンカラーではない。なぜなら、わたしはほとんど安田短歌を詠んでいないからだ。
そもそも安田短歌以前はほとんど短歌に触れたこともなく、安田短歌ムーブメントを少し離れたところから観察していた一人のファンだった。純粋に「#恋人
「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」 巻頭言に代えて
あなたは『恋人を喪った安田短歌』を知っていますか。「安田」とは映画『シン・ゴジラ』の登場人物、安田龍彦(演:高橋一生)のことです。彼の恋人がゴジラの放射熱線によって、2016年11月7日18時30分頃に亡くなってしまったのではないか、という妄想を通して詠まれた短歌群が、『恋人を喪った安田短歌』です。この短歌群が、具体的にどういったものなのか、どういった文脈上にあるのかということについては、本書を
もっとみる020. #恋人を喪った安田短歌 について その1 安田短歌の最初期
「恋人を喪った安田短歌」とは、映画『シン・ゴジラ』に登場する文部科学省研究振興局基礎研究振興課課長・安田龍彦(演:高橋一生)が、ゴジラの放射熱線で恋人を喪ったのではないか、という妄想の下で詠まれた短歌のこと。簡単に言うと「架空の設定をプラスした二次創作短歌」だ。
この短歌はTwitter上で「#恋人を喪った安田短歌」というタグ付きで広がっていき、発足した2016年9月19日から今までの間に、数千首
安田短歌と〈私性〉―恋人を喪った安田龍彦とは誰なのか
以前、twitterのハッシュタグ「#恋人を喪った安田短歌」から派生した同人誌、『安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?』にこのような文章を寄稿しました。思えばこれは、安田短歌というムーブメントに乗っかる形で、僕が自分自身のために整理した〈私性(わたくしせい)〉論であり、二次創作短歌論でもあります。
安田短歌を知らない人でも、特に前半は普通の短歌論として読んでもらえるのではないか、そう思ったので
「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」対談記事アウトテイク
5月7日に、東京文学フリマにて頒布する #恋人を喪った安田短歌 の本「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」の対談記事「安田短歌の作り方」に収録しきれなかったアウトテイクです。本の詳細はこちら。
・映画『シン・ゴジラ』の特殊さ
Ryota 安田短歌をきっかけに、映画を元に短歌できるじゃん、と思って、ある作品を題材に作ってみたんですけど、やっぱり作品そのものに準拠しちゃうと全然作れなくて。この
#恋人を喪った安田演劇 決定稿(安田短歌本2頒布記念)
0.観客たち開演前、客席に座っているAとBが話している。
A「(自分のスマートフォンの画面を見ながら)え、え、何これ」
B「ん、何?」
A「いや、あのTwitterでね」
B「うん」
A「なんか、海に、デカいのが出たって騒ぎになってて」
B「デカいの? え?」
A「いや、なんか、生きてるやつ。画像とか上がってて」
B「(画像を見せられて)え、何これ、合成じゃないの?」
A「いや、
【再掲:連作短歌】恋人を喪った安田短歌2018展「それでも明日はやってくるから」
悲しみと愛欲疼く新宿の熱量/光線、どっちが熱い?
知らぬはずなのにまつげの重みとか似ちゃってるから仕方ないよね
体温を人と交換する度に笑顔の君の画素数荒れる
「やすだくん」って呼んで欲しいなんて言う気持ちの悪いお願いでした
『恥ずかしいからこっち見ないでよ、安田くん。すっぴん可愛い? それ悪口ね!』
沈黙の業火に焼かれ夢に見る それでも天国、憧れてますかね
薄暗いベッドルームでしか煙草
安田短歌展提出作品について
安田短歌展(2018.10.11~16)跡地です。以下猛省文。
なんやかんやあってまさかのユニット参加することになりました。粘土をこね、鶴を折り、造花を染め、「ナイス死~~!!」と恐らく前例の無い歓声を上げながら「喪われた恋人」を共謀。お外は秋晴れ。廃墟は薄暗くひんやりとしており絶好の安田日和。私は夜目が利かないくせにアホみてえな標高のヒールを履いておりあちこちで死にかけました。
何をどうしても
小説「poco a poco acceel amorosamente」(恋人を喪った安田短歌展2018より再掲)
息が吸えない感じがつらいので、よれたスーツの内ポケットからぐしゃぐしゃになった煙草を取り出した。頑張って頑張って禁煙したはずなのに、いつだって復活はたやすい。吹き付ける冷たいビル風に追われて、そっと火を灯そうとするけど、出てくるのは火花ばかり。いつ買ったんだっけ、このライター。まあ、どうでもいいんだけどさ。
「あーあ、まっじいなぁ」
久々に吸ったマルボロは、葉が湿気っていたせいか、なんとも言えな