安田短歌展提出作品について

安田短歌展(2018.10.11~16)跡地です。以下猛省文。


なんやかんやあってまさかのユニット参加することになりました。粘土をこね、鶴を折り、造花を染め、「ナイス死~~!!」と恐らく前例の無い歓声を上げながら「喪われた恋人」を共謀。お外は秋晴れ。廃墟は薄暗くひんやりとしており絶好の安田日和。私は夜目が利かないくせにアホみてえな標高のヒールを履いておりあちこちで死にかけました。
何をどうしてもエモくなってしまう廃ビルスタジオは福岡県は直方市のアニマニヤ様(@animaniyacos )また行かねば。

さて、拙作「廃墟の記」。安田短歌の存在を知った衝撃のあまり読んだ初期3作を下敷きにしております。

終局は君の目をして視ていよう浄化宣言革命前夜

燃え尽きた11月なら捨ててゆけ「声を最初に忘れる」という

神凍る町の平坂かけおりて無人列車をもう一度だけ

この他の諸々の過去作もしれっと読み込んでいます。リサイクル精神です。
生き残った人々の「手向け」と「許し」、悼むこと、式典、喪服の群れ、鎮魂、献花台。ずっと安田短歌ムーブメントに乗っかってきた私なりの途中式です。11月7日はゴジラ禍とかゴジラ忌とか呼ばれるんでしょうか。而して拙作の安田は立ち直りもせず泣きもせず悲しみのあまり踏み外すことも出来ず、ゆきゆきて3年目の殺人。ごめんな安田。安田って誰だ。

そしてSS名刺メーカー使用の2首。飛び道具は楽しいですね。「海の底から教会の鐘」は会期中に観劇した「チルドレン」に大いに影響されてます。舞台は大地震津波原発事故を経た英国。メルトダウンを起こした原子力発電所の建設に関わり、今は一線を退いた物理学者たちの会話劇。危険の伴う事故処理に率先して向かおうとするローズはかつての営みを飲み込んでいった海から教会の鐘を聞いたと言います。「見えない死者と繋がること」「生き残った者たちの責任の取り方」、人工の廃墟で慣れないカメラを操作しながらぼんやりと考えていたことを繋いでくれた作品でした。

「今なら分かる。世界が完全に崩壊しないためには、わたしたち、ただ欲しいからって、何もかも手に入れるわけにはいかないんだって。」

最後に、「安田の恋人に(性別容姿年齢等)姿を与えないこと」を個人的な鉄の掟としていたのですがこの度バキ折れたことをご報告いたします。喪われた恋人のひとり、モカくんありがとう。ナイス死。

来年も何かします。恐らく「恋人を喪った安田」関連でも。何卒よろしく。