ふぃりっぷ

某予備校の数学講師が、幅広く数学について投稿していきます 【主な投稿内容】 ・大学…

ふぃりっぷ

某予備校の数学講師が、幅広く数学について投稿していきます 【主な投稿内容】 ・大学受験にむけた高校数学 ・大学で学ぶ教養数学 ・世代を問わない豆知識としての数学

マガジン

  • 問題集・参考書レビュー

    市販の問題集・参考書のレビューをまとめていきます。

最近の記事

問題集・参考書レビューvol.07 短期集中ゼミ 数学IAIIB

今回紹介する問題集・参考書は 「短期集中ゼミ 数学IAIIB」(福島 國光) である。 【掲載問題数】 160テーマ 問題数は160テーマで、テーマごとに例題・解答・アドバイス・「これで解決!」・練習問題がおよそ1ページに1テーマまとめられている。アドバイスが問題の方針や考え方の説明になっており、覚えておきたいポイントが「これで解決!」にまとめられている。  【分野の網羅具合】 IAIIBの全範囲から入試頻出を網羅 IAIIBの全範囲を対象に、入試頻出のテーマを厳選して1

    • 数学の勉強法

       私の2021年度が間も無く始まろうとしている。  毎回この時期になるとこれから迎える新たな生徒たちや授業に対する期待と不安でたまらない気持ちになるのだが、今年は例年よりも期待の方がまさっている気がする。そんな気持ちの表れなのか、毎年配布している「数学の勉強法」にも手直しを加えて新規リニューアルしたものを配布することに決めた。  今日はまさにその「数学の勉強法」の中身をここにごっそりと(コピー&ペーストして)掲載しておこうと思う。内容的には去年の5月に投稿したものとほぼ類

      • 問題集・参考書レビューvol.06 理系数学の良問プラチカ

         今回紹介する問題集・参考書は 「入試精選問題集5 理系数学の良問プラチカ 数学I・A・II・B」 である。 【掲載問題数】 153題 掲載問題数は合計153題で、そのうちIAが45題(うち何題かはIIBにもかぶる)という内訳である。また、153題のうち30題がやや応用的な問題である。  この問題集の使い方については、表紙にも記載がある「1日3題・2ヶ月完成」という使い方が良いだろう。どれも典型的な問題であるから、1問1問しっかりと理解を深められる使い方が理想的で、一例と

        • 2020年 東北大AO入試のあの難問

          話題自体は去年の入試のものだが、東北大のAO入試でとある難問が出題された。それが次の問題である。 (1)はド・モアブルの定理から比較的容易に解決できるのだが、この(2)がかなりの難問であった。話題になっていたこともあり当時の自分も挑戦してみた。だが、解き切るのに数時間かかったし、そのうえスマートとは言えない超泥臭い力技(極値が正であることを示すために階差を2回とる)で解決したものであった。 さて、そんな問題もあったなぁと忘れかけていた先日のこと、ふとしたきっかけでこの問題

        問題集・参考書レビューvol.07 短期集中ゼミ 数学IAIIB

        マガジン

        • 問題集・参考書レビュー
          7本

        記事

          問題集・参考書レビューvol.05 数学I・A チェック&リピート

          今回紹介する問題集・参考書は 「Z会数学基礎問題集 数学I・A チェック&リピート」 である。 【掲載問題数】 307題 問題数は307題であり、問題・チェックチェック・解答解説の順に載っている。「チェックチェック」がいわゆる問題の考え方・方針や基本的知識の確認をする部分であり、ここを理解した上で解答を読むことが前提となる。  解き進め方はシンプルに「解く→チェックチェックをヒントにいけるとこまで手を動かす→解答を読む→解けなかったり間違えたりした場合は何も見ないで解けるか

          問題集・参考書レビューvol.05 数学I・A チェック&リピート

          問題集・参考書レビューvol.04 「数学I・A 標準問題精講」

           今回紹介する問題集・参考書は 「数学I・A 標準問題精講」(麻生 雅久) である。  なお、一部「基礎問題精講」のレビューと重複する点もあり、『基礎問題精講と同じく』というフレーズで説明を簡略化している点がある。是非基礎問題精巧のレビューも参考にしながら読んでいただきたい。 【掲載問題数】 101テーマ 掲載されている問題のテーマが101テーマであり、テーマごとに例題+演習問題がセットになっている。そのため、実質的な問題数は200題を超える。  基礎問題精講と同じく、以

          問題集・参考書レビューvol.04 「数学I・A 標準問題精講」

          問題集・参考書レビューvol.03 「数学I・A 基礎問題精講」

           今回紹介する問題集・参考書は 「数学I・A 基礎問題精講」(上園 信武) である。 【掲載問題数】145テーマ(例題と演習問題のセット)+α 掲載されている問題の数、というよりもテーマの数が145である。1つのテーマにつき、「例題 → 精講 → 解答 → ポイント (→ 参考) → 演習問題」のサイクルで掲載されており、1テーマにつき20〜30分程度で無理なく学習が進められる。使い方として 1:各テーマの例題を、下の解説部分を隠して解いてみる。 2:例題が解けなかった場

          問題集・参考書レビューvol.03 「数学I・A 基礎問題精講」

          問題集・参考書レビューvol.02 「理系数学 入試の核心 難関大編」

          今回紹介する問題集・参考書は 「理系数学 入試の核心 難関大編」(依田 賢) である。 【掲載問題数】60題 他の問題集と比較しても、かなり少ない部類の問題集になる。1回につき2問ずつ、1問辺り25〜45分を目安に解き進めて一ヶ月で終えられる程度である。ただし、問題を解くのに2問で60〜90分、解答などを見て復習するのに60分程度、合わせて2.5時間〜3時間程度を継続して確保できるなら、という条件付きになる。急がないのであれば、1時間強で1問をじっくり学習するのを二ヶ月継続

          問題集・参考書レビューvol.02 「理系数学 入試の核心 難関大編」

          問題集・参考書レビューvol.01 「理系数学 入試の核心 標準編」

           noteのアカウントを取得して約1年。せっかく取得したアカウントだし、うまく活かせないかなと考えたとき、「少しずつ記事を投稿していった結果、データベースのように後々参照できる何かになってるのが理想だな」とふと思いついた。そんな思いつきのもと、だったら問題集や参考書のレビューを少しずつしてみようかと、その第1号記事をここに投稿する。 今回紹介する問題集・参考書は 「理系数学 入試の核心 標準編」(Z会出版編集部) である。 【掲載問題数】 150題 この問題集の掲載問題数

          問題集・参考書レビューvol.01 「理系数学 入試の核心 標準編」

          2021年 共通テスト数学IIB 感想戦

          今となっては時期を逸したと言わざるを得ないようなタイミングだということは重々承知の上で、共通テスト数学IIBの感想戦を行おう。数学IAの記事を作成してから約1ヶ月半遅れての投稿となるが、IAのときと同じくかかった時間を目安として残しておく。 IIB第1問[1] 三角関数(合成・最大最小) (2分16秒)三角関数の合成と最大値を求める問題が繰り返される。途中、cosへの合成が必要となるが、誘導として「加法定理を用いると」という文言があるためそこまで難しくない。ただし、慣れ具合

          2021年 共通テスト数学IIB 感想戦

          2021年入試 東京大(理系数学)の所感

          現在、今年の国立大の入試問題(数学)を少しずつ解き進めている 覚書の意味も込めて、各大学の大問ごとの解答の方針や所感をまとめていく 第1問 二次関数の通過領域曲線の通過領域を求める問題で(1)が完全な誘導になっていた (1)は2曲線の式を連立し、2次方程式の解の配置問題として処理するのが王道 (2)は(a,b)の方程式の解が(1)の範囲に存在する(x,y)の条件を作る逆像法でOK 場合分けは若干多いが、落ち着いて一つずつ処理して領域を図示すれば良い 難易度としては平均的で

          2021年入試 東京大(理系数学)の所感

          2021年 共通テスト数学IA 感想戦

          先日、共通テストが実施された。 数学科講師として数学IA・数学IIBを解いた訳だが、せっかくなので思ったことを書き残して置こうと思う。ここではまずIAの感想戦を行う。あとは、自分で解いた時にかかった時間もメモとして残しておく。かかった時間でおよその難易度の目安になるかもしれない。 IA第1問[1] 未知数cを含む二次方程式(4分13秒)具体的なcの値に応じて二次方程式を都度解いていく前半と、解が有理数になるようなcの個数を数える後半との構成。前半のただの計算はともかく、後半

          2021年 共通テスト数学IA 感想戦

          数学の記述答案を見るたび思うこと

          自分の所属している予備校では、毎年前期・後期に数回ずつ、東大志望の理系生を対象に演習テストが実施される そして、テスト答案の採点を(一部ではあるが)私も担当している ちょうど先日、前期分の採点業務が一区切りついたところであり、また今年も同じようなことをぼやきながら赤入れをしているなと振り返っていた ふと、せっかくだしどんなことをぼやきながら普段採点しているかをnoteに残して見るのも良いかと思い立った結果が、この記事である あくまでも1個人のぼやきではあるが、これらのぼやき

          数学の記述答案を見るたび思うこと

          この夏から始める勉強計画

          私がnoteを始めたのが5月頭で、年度の切り替わりからやや遅れるという微妙なタイミングであった そのため、学習計画の立て方などの話を全くできていなかったことをつい先日思い出した しかし、今更年間の計画の立て方を指南されたところで「時すでに遅し」である なので、今日は「この夏から始める受験数学の勉強計画」と題し、今からでも間に合う(かもしれない)指針の立て方を紹介しようと思う この計画は、4月から計画的に進めてきた人には正直参考にならない 想定している対象は、部活の引退などを

          この夏から始める勉強計画

          映像授業とライブ授業の違い(数学)

          現在、所属している予備校はライブ授業を実施できず、映像をオンライン配信して自宅学習を奨励している この対応自体になんら不満はなく、今できることとして最善手だと思う しかし受験生からしてみると、映像授業を一方的に提供され自分で学習を進めよ、というのはなかなか大変なことだ 「予備校の教室に赴いて授業を受ける」という空間的な強制力が働かないことは、ただでさえモチベーションが低下しがちな近況と照らしてみても自力で学習を進める大きな障害になりうる それに、内容的にライブ授業と映像授

          映像授業とライブ授業の違い(数学)

          受験数学の勉強法

          今日は本職の仕事関係で、数学の勉強法について発信してみたいと思う これは毎年度開始時にプリントで配っている内容の2020年度版であり、想定しているのは大学受験を控えている高校生や浪人生である 全体の概観としての勉強法であり、個別の問題集の使い方などについては触れていないことはご承知いただきたい(後々別のnoteとして記事を作成しようと計画している) 1:高校における数学とは高校で学ぶ数学は「定義を元に定理 · 公式 · 性質を導き、それらを応用して個々の問題を解決する」

          受験数学の勉強法