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問題集・参考書レビューvol.02 「理系数学 入試の核心 難関大編」

今回紹介する問題集・参考書は
「理系数学 入試の核心 難関大編」(依田 賢)
である。

【掲載問題数】60題

 他の問題集と比較しても、かなり少ない部類の問題集になる。1回につき2問ずつ、1問辺り25〜45分を目安に解き進めて一ヶ月で終えられる程度である。ただし、問題を解くのに2問で60〜90分、解答などを見て復習するのに60分程度、合わせて2.5時間〜3時間程度を継続して確保できるなら、という条件付きになる。急がないのであれば、1時間強で1問をじっくり学習するのを二ヶ月継続してもよい。

【分野の網羅具合】微積は多め・数列と複素数平面が少なめ

 各分野の典型的な問題や考え方は身についているという前提で構成されているのか、各分野テーマはかなり絞られている。そのため、分野が網羅されているとは言い難い。ただし、この問題集は網羅型の問題集ではなく、一問一問をしっかりと考え、計算し、研究するべき問題集であるといえる。そんな構成の中で分野ごとに問題の多寡を比較すると、数列・複素数平面が4題ずつと少なく、微積が18題と最も多い。なお、難関大学では微積の占める比重が多い大学も見られること、分野的な広がりが他の分野と比べて広いこともあり、問題数がこの構成になるのも納得である。
 また、背景となるテーマは大学入試では時折見かける有名なものが多く、背景の説明は「研究」という形でしっかりと解説されている。数学が得意な人ならば知っておいてほしい背景を盛り込んだ問題集、とみればこの問題集は程良い網羅度と言えるかもしれない。

【問題の難易度】やや難しい・数学が得意な人、得点源にしたい人向け

 この問題集は、先述の通り典型的な題材は学習し終えた人がワンランク上の問題に挑戦するための問題集になっており、問題の難易度は高めに設定されている。数学が得意な人でさらに力を伸ばしたい、ライバルに数学で差をつけたい、といった場合に是非とも解けるようになってほしい問題がここに掲載されている問題たちであると考えれば良いだろう。
 また、この問題集には「解法暗記」では対応しきれないレベルの問題が掲載されている。大学受験における数学中級者を脱却し、上級者へと足を踏み入れるための登竜門的問題集と言えるだろう。

【解答・解説の詳しさ】とても詳しい・「研究」が充実している

 この手の難しめの問題を題材とする場合、「ある程度はわかっている」という前提で解説がシンプルになることが多い。しかし、この問題集の解説は「標準編」と同程度に詳しく説明されている。解答の前に「考え方」が掲載されており、「なぜそう考えるのか」の足がかりが掴みやすくなっている。そのため、自力では解けなかった問題でもしっかりと復習することで、問題解決に至るまでのプロセスをしっかりと身につけられるだろう。
 また、「研究」という形で問題ごとの背景や定理が紹介されているのも評価すべき点である。物によっては大学教養程度の知識も「研究」という形で紹介されているが、今まで数多の大学で背景として出題されたことのあるものが大半なので、数学が得意な人であればこの程度は知っておいて損はないだろう。
 問題を自力で解けた場合でも、別解を研究することで問題を多面的に捉える訓練は欠かせない。この問題集の解説はその点もニーズにしっかりと答えてくれる。「別解」が豊富に用意されているため、解けた問題からでも学べることが多くなっている。

【特筆すべき点】別解・研究の豊富さ

 本書の特筆すべき点は、なんといっても「別解」と「研究」の豊富さにある。ひとつの問題から学べることが多く、たった60題しか掲載されていないとは思えないほどの広がりや奥深さがある。
 数学の問題を解けるようにするために最終的に必要なのが「多面的な見方」と「一つ一つの深い理解」、これらを結びつける「論理的思考力」である。この問題集にちゃんと取り組めば、これらの力を正しく養成していけるだろう。

【オススメする対象】

 この問題集は、以下のような人に対してオススメできる

・東大、京大、東工大などの最難関国立大や、早慶などの難関私立大志望の受験生
・数学が得意で、得点源にしたい人
・典型的な題材は学習し終えており、過去問以外で実践力をつけたい人

【注意すべき点】

 全分野を勉強し終えた上、さらに「標準編」のような典型的な題材も一通り学習済みの人を対象とした問題集になっているため、受験勉強に入った直後では手も足も出ない。もしも6問くらい解いてみて全く手も足も出ないときは時期尚早であると判断して撤退すべきである。
 また、考え方をインプットするための問題集ではなく、身につけた全てで初見の問題にどう太刀打ちしていくかを身につけていく問題集なので、一問一問じっくりと取り組めないのであればせっかくの素材が台無しになる。計画性を持って腰を据えて取り組める状態にあるのかを見極めて取り組んでほしい。
 さらに、難問を扱っているとはいえ、60問という掲載数はやはり少ないことは否めない。同レベルの問題を扱った問題集としては
・ハイレベル理系数学
・大学への数学 新数学演習
・理系の難問 徹底攻略
・上級問題精講
などの問題集があるが、これらは150〜300題程度掲載されている。先述の「計画性」と照らしあわせたり、解説の詳しさなどを比較した上で、どの問題集にじっくりと取り組むかを選択する必要があることは忘れてはいけない。

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