問題集・参考書レビューvol.01 「理系数学 入試の核心 標準編」
noteのアカウントを取得して約1年。せっかく取得したアカウントだし、うまく活かせないかなと考えたとき、「少しずつ記事を投稿していった結果、データベースのように後々参照できる何かになってるのが理想だな」とふと思いついた。そんな思いつきのもと、だったら問題集や参考書のレビューを少しずつしてみようかと、その第1号記事をここに投稿する。
今回紹介する問題集・参考書は
「理系数学 入試の核心 標準編」(Z会出版編集部)
である。
【掲載問題数】 150題
この問題集の掲載問題数はジャスト150題で、3題を50回分にまとめてある。内訳はIAIIBまでで93題、IIIだけで57題である。「本書の構成と利用法」のページにも、1日1~2回分を50日~25日に分けて、残された時間に応じて使うと良いと記載されている。1回あたり解くのに1時間、復習するのに1時間で、およそ2時間をみておけば良い。
【分野の網羅具合】 全範囲を最低限網羅
各分野で「これは押さえておきたい」という問題が最低限掲載されている。問題数を150題に限る関係から、完全に必要なものが網羅されているとは言えないが、受験数学の対策を本格的に始める段階や、今まで身につけたもので抜けや不足がないかを手早く確認する分には差し支えない程度の網羅具合である。
【問題の難易度】 標準的(典型的な問題多数)
標準的な難易度の問題が多数で、その多くが典型的なテーマや考え方に基づく問題である。難関大(国立大や早慶・私大医)受験者は最終的にこれくらいのレベルの問題をきっちりと点数に結びつけられるようになってほしい。その意味では、教科書と入試本番の問題のレベルを橋渡しするちょうど良い問題が多いと言える。
また、そこそこ難しい問題も数回に1回ぐらいは掲載されている。挑戦しがいのある問題であり、そこまでの内容がちゃんと定着していれば太刀打ち可能なレベルなので是非とも余すことなくやり尽くしてほしい。
【解答・解説の詳しさ】 とても詳しい
問題の解答がしっかりしているだけではなく、「プロセス」を傍記することで何をしようとしているかがわかりやすくなっている。また、解決の発想に至る「考え方」もまとめられている。さらに、一般に通ずるテーマとその対応が「核心はココ!」というキャッチフレーズとともに明白になっている。
別解はそこまで多くないのだが、典型的な問題に寄っている問題集であることから、この点は仕方がないとも言える。
【特筆すべき点】 「プロセス」の傍記
問題を解き進める中で、それぞれの段階で何を目的として手を動かしているかを意識することは極めて重要である。しかし、目の前のことを処理していくうちに、全体の流れが意識できず「何がやりたかったのか」を見失うことがよくある。この問題集は解答に対してプロセスを傍記することで、解答を読む中で読者が道を見失わないようにしようという優しさが感じられる。また、このプロセスが明記されているおかげで、自学自習に向いている問題集になっている。
【オススメする対象】
この問題集は、以下のような人に対してオススメできる。
・これから本格的に受験勉強を始める人で、一通りの分野は既習の受験生
・2ヶ月程度で全範囲を軽く網羅し、基本部分での抜けがないかをチェックしたい人
・定期テストでは点数が取れているが、模試などでは点数がいまいち伸び悩んでいる人
【注意すべき点】
この問題集「だけ」では、理系数学の学習としては圧倒的に足りないのが最大の注意点である。あくまで「全範囲を最低限」触れられる程度なので、この問題集を取っ掛かりとして他の問題集へステップアップする必要がある。
また、「核心はココ!」の部分は体得すべき考え方や知識ではあるが、これをただ覚えるだけではほぼ意味がないことにも注意が必要である。問題を解く中で重要な考え方であることは間違いないが、手を動かす中で意識できなければ意味がない。ぜひとも考え方を「知っているか」ではなく「使えるか」に目を向けて演習してほしい。