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松の炎に包まれたムール貝──フランスのワイルドな味覚体験


松葉が燃え上がる瞬間、ムール貝が変わる

食べ終わる頃には、手が真っ黒。

でも、それ以上に心が満たされるのが、

フランス・シャラント=マリティーム県の名物

(エグラード・ド・ムール)」です。

この料理を初めて見たとき、びっくりしました。

炭火焼きでも蒸し焼きでもなく、大きな板の上にぎっしり並べられたムール貝に、乾いた松葉をたっぷりかぶせて火をつけるんです。

すると、一気に炎が上がり、松の香りをまとったムール貝がじっくり蒸し焼きになっていきます。

シャラント地方の伝統、エグラード・ド・ムール

このワイルドな調理法は、シャラント=マリティーム県、特にオレロン島やロワイヤン地方で親しまれている伝統料理。

松林が豊富なこの地域ならではの知恵なのでしょう。

薪や炭ではなく松葉を使うことで、スモーキーな香りがプラスされ、ムール貝の味わいがぐっと深まるのです。

食べ終わる頃には、指先は炭まみれ

テーブルにワイルドにどーんと!

火が落ち着いたら、いよいよ実食。

手づかみで貝を開いて食べると、貝殻の表面にはほんのり炭がついています。

気にせず夢中で食べているうちに、指先は真っ黒。

でも、それもまた楽しみのひとつ。

潮の香りと松の燻し香が絶妙に絡み合ったムール貝のジューシーさが、どんどん食欲をそそります。

食べ終わった後

ワインと楽しむ、フランス流ムール貝の楽しみ方

この料理にぴったりなのが、白ワイン。

例えば、ミュスカデやソーヴィニヨン・ブランなどの爽やかな味わいのワインは、ムール貝の旨みを引き立ててくれます。

海のミネラルとワインの果実味が絶妙に調和し、口の中で素晴らしいマリアージュを生み出します。

白ワインとともに味わえば、この料理の魅力がさらに引き立つこと間違いなしです。

地元で味わうならここ!おすすめのレストラン

もしエグラード・ド・ムールを本場で体験したいなら、オレロン島の「Chez Sylvie & Dominique(シルヴィ&ドミニク)」がおすすめです。

この家庭的なレストランは、オレロン島の美しい自然に囲まれたロケーションで、新鮮なムール貝を伝統的なエグラード・ド・ムールのスタイルで提供してくれます。

松葉の炎でじっくり蒸し焼きにされたムール貝は、香ばしく、まさにここでしか味わえない逸品。

素朴で温かい雰囲気の中、地元のワインと一緒に楽しめば、忘れられない食体験になること間違いなしです。

詳細はこちら:Chez Sylvie & Dominique - Tripadvisor

炎、煙、旨み──五感で味わうムール貝

調理前のムール貝

エグラード・ド・ムールは、ただの料理ではなく、まるでイベントのような体験。

燃え上がる松葉の炎、広がる香ばしい煙、そして手で食べるというワイルドなスタイル。

こんなムール貝、なかなか味わえません。

指先の炭を拭きながら、「またこの味を楽しみに旅に出たいな」と思わせてくれる、そんな特別な一皿です。


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