PEKO

楽しいを世界に♫ 架空の街を舞台にオムニバスで短編を書いています♫ どこからでもお読み頂けるので、是非ご覧ください♫ フォロー・スキして頂けるとやる気が出ます♫ たまに違う記事もアップします♫

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MELODY&NUTS #1 RULE

何度言ったらわかるんだ! そんなことだからお前はいつもダメなんだ! 毎日繰り返される父の叱責に 12歳の俺はもううんざりしていた 厳格な父と優しい母のもと 三番目に生を受けた俺は 奏(かなで)と名付けられた 自由奔放な性格は三兄弟の末っ子だからだろうか それとも生まれ持ったものなのだろうか どちらかはわからないし どちらも違うかも知れんない ただ一つ言えるのは 俺はどこにでもよくいる少年の一人だ なんでもこなしてしまう器用な兄と 末っ子の俺に優しい姉 いつも静かに見守

    • MELODY&NUTS #最終回 DELIGHT

      『最後の曲に行く前に  みんなちょっと聞いてくれ』 『これは俺の話ではない  ある友達の話だ』と切り出し ディーが手元のマイクを握り 語り始めた 何だか少し笑っているように見えた 『その友達は  ある日酒に酔っ払い  身の上話を俺にしてきたんだ』 『好きな女の子がいるんだけど  ウチは恋愛禁止でさ  お父さんとお母さんが怖くて  告白が出来ないんだって』 会場から笑い声が聴こえてきた メロもこんな時にディーは 一体何の話をしているんだろうと 笑っていた しかしここ

      • MELODY&NUTS #27 REVEALING

        メロはあまりの驚きに 自分の目を疑った 『これを使いなさい』 スッと差し出された サックス 困惑しながらも それを受け取る 使い古され 年季の入ったサックスには たくさん練習をして来た中で 付いたであろう小さな傷が 無数に付いていた 持った瞬間にメロにはわかった これが自分の使っていたサックスだと 『あなたの音楽は  お父さんの物じゃないの  あなたの人生は  お父さんの人生じゃないの』 『言わないように  我慢していたんだけど  さっき  あなたが今日ここにいる

        • MELODY&NUTS #26 SMILE

          各ステージの 終了時間は異なっている MAIN STAGE 20:00 ANOTHER STAGE 20:30 FUTURE STAGE 21:00 MAIN STAGEは間もなく フィナーレを迎えようとしていた 国民的人気番組の エンディングテーマにも 使われている 東堂真一郎の代表曲 〜微笑み〜 聖母マリアをイメージして 創られたこの曲は 真一郎が武者修行で訪れた イタリアで生まれた 聴けば誰もがわかる この曲だが 日本での演奏は実に 10年振りだ 演奏技術

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        MELODY&NUTS #1 RULE

          MELODY&NUTS #25 OVERFLOW

          FUTURE STAGE 19:40 MELODYの二人は 縦に横に観客を揺らしながら 絶好調でライブを進めていた 〜Dan Hartman / Relight My Fire〜 『将来の不安とか  これから何をしたらいいんだろうとか  自分を見失って  わからなくなることってあるよな』 『何年もずっと  暗いトンネルを歩かされているような   そんな気持ち  わかる奴にはわかると思う』 『だけど  絶対諦めるな  そのトンネルには必ず出口がある  頑張っていれば

          MELODY&NUTS #25 OVERFLOW

          MELODY&NUTS #24 CONDUCTOR

          MELODYがLIVEを始めた同時刻 MAIN STAGE 19:00 東堂真一郎 会場が期待感でざわついている 出演の噂を聞きつけて 全国のJAZZファン達が 会場に集まり 今か今かと その時を待っていた 世界を舞台に活躍する 東堂真一郎が 国内で演奏することは 年に数度だ コンサートのチケットは プレミア化し3倍以上の高値で 取引されることもある 今回の野外フェス出演は 異例中の異例で 真意も本人から語られてはいない 拍手が巻き起こる ステージに先に登場し

          MELODY&NUTS #24 CONDUCTOR

          MELODY&NUTS #23 ONE LOVE

          『これが俺たち  PRESSUREからの  ファイナルエントリー』 〜BOB MARLAY / One Love〜  『世界でもこの街でも  日々色んなことが起きている  ポジティブなことばかりなら良い  でも実際はそうじゃないよな』 『だからと言って  奪ったり  妬んだり  嫉妬したって  何も変わらない』 『変わらないどころか  歪みあって喧嘩して  仕舞には戦争まで起きている』 『これから先  そんな気持ちになることは  俺もお前も山ほどあるだろう  わかる

          MELODY&NUTS #23 ONE LOVE

          MELODY&NUTS #22 PRESSUR

          フェスも終盤を迎え どのステージも 熱気と興奮は最高潮を迎えていた FUTURE STAGEでは レゲエ・サウンド”PRESSUR"が 会場をロックしていた セレクターがダブプレートを巧みに使いこなし ディージェイが観客を煽る そのたびに湧き上がる 歓声とエネルギー まさに宴 シャーマンが神に捧げる 神聖な宴とはこんな光景なのだろう 盛り上がる会場を抜け 出演者エリアに戻ると ディーはすでに着替えを終え 最終調整に入っていた 『おうメロ  待ってたぞ』 ディーはボ

          MELODY&NUTS #22 PRESSUR

          MELODY&NUTS #21 DIALOGUE

          『MAINはやっぱ盛り上がってんなー  俺たちもMAINに呼ばれないかな』 『ディーならいつか立てるよ  きっと』 MAINステージを後にした 二人は ANOTHERステージへ向かっていた 近づくにつれ かすかに音色が聞こえてきた 『MAINとは違う雰囲気だな』 『そうだね  これはフランクの作品だよ』 『さすがおぼっちゃま  俺は知らない世界だ』 『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ  フランクの作品の中でも  演奏される機会の多い代表曲だよ  兄と姉が練習をしていた

          MELODY&NUTS #21 DIALOGUE

          MELODY&NUTS #20 RESPONSE

          町の外れにある 大きな運動公園 普段はジョギングや散歩を 楽しむ人たちが中心だ 人工的に作られた小高い丘がある 大きな芝のグラウンドが 年に一度 音楽フェスティバルの会場となる 毎年この時期が近くなると 街がスキップしたように明るくなる クリスマスやハロウィンと 同列に皆 開催を楽しみにしているのだ 7月の太陽はサンサンと輝き 気温は30度を超えていた 溶けるような暑さも心地良い キンキンのビールを取り扱う屋台には 行列が出来ていた これから始まる 街の音楽祭を 今か

          MELODY&NUTS #20 RESPONSE

          MELODY&NUTS #19 BLUE FLAME

          ピピピピッ ピピピピッ 普段は鳴らない目覚ましがなる 午前10時 眠たい目をこすり 珈琲を淹れる 煙草に火を付け スケジュール表に目を通す FUTURE STAGE 19:00 MELODY いよいよかと 心の中で呟く ディーとの待ち合わせには まだ時間があった 淹れたての珈琲を一口飲み 目を閉じる いつもより 心臓の音が大きく聴こえる 自分にとっての音楽ってなんだろう その答えは今日見つかるのだろうか 家を出てから ずっと蓋をしてきた過去と 向き合うチャンスを

          MELODY&NUTS #19 BLUE FLAME

          MELODY&NUTS #18 NEWS

          CRYの一件は ナッツの自首により 落ち着いた 世間も喉元を過ぎれば 忘れてしまう GOOD MORNING JAPANでは パンダの赤ちゃんが生まれた NEWSで持ちきりだ メロはディーに ナッツの想いと 自分の想いを伝え MELODYとして活動することを決めた 日々音楽と向き合うメロ 野外フェスは目前に迫っていた メロの野外フェス出演のNEWSは 思わぬところにも届いていた 東堂家だ 『奏が見つかったですって』 『お母さん落ち着いてください  私も驚いたんです

          MELODY&NUTS #18 NEWS

          MELODY&NUTS #17 PIZZA&BEER

          『今回の件は俺に任せろ』 『任せろってなんだよ』 『いーから俺に任せろよ  俺は家族も彼女も居ないし  居るのはメロ  お前くらいなもんだ』 『俺だってナッツと  大して変わらないさ』 『嘘つくんじゃねー』 ナッツは力強く言い放ったあと ポケットから紙を出した 『東堂真一郎  お前の父親だろ』 ディーが持ってきていた 野外フェスのチラシだ 『ディーに聞いたのか?』 『違う』 『じゃーなんで  知ってるんだ』 ポツポツと雨が降り始めた ナッツはサングラスを外した

          MELODY&NUTS #17 PIZZA&BEER

          MELODY&NUTS #16 RUN AWAY

          『運転手は違法薬物を  所持使用していた疑いがあります  警察の報告によると  涙型の青い錠剤が  ダッシュボードから出てきたとのことです  引き続き取材を続けていきます  現場からは以上です  続いてのNEWSです』 昨夜の交通事故のNEWSは 翌日TOP NEWSになっていた 『メロ!  おいメロ!!』 『なんだよ朝っぱらから  騒々しい  起きる時間は自分で決めるんだよ』 昨夜の酒のせいか 妙なチラシを見たせいか ひどい頭痛がする 最悪な目覚めだ 『大変なんだ

          MELODY&NUTS #16 RUN AWAY

          MELODY&NUTS #15 FATE

          『カンパーーイ』 『見たかよ  悔しそうなリーの顔  傑作だったな』 『取り立てリストまで  用意してたって言うんだから  相当期待してたぞ』 『なんだよそれ  俺も見たかったぜ』 ハッハッハー 『まーでも  ディーには本当に世話になった  ありがとう』 『気にすんなよ  俺も楽しかったから  仲良くなれて良かったよ』 ナッツがカバンから HIGHを見せる 『約束してたの持ってきた  これ全部持ってけよ』 『ナッツありがとな  これで当分お前たちに用はないな』 『俺

          MELODY&NUTS #15 FATE

          MELODY&NUTS #14 CURIOUS

          VANTA BLACKの一件から 風向きが変わり CRYは順調に売れ始めた それともうひとつ 変わったことがあった CRYを買う客がメロに 『この前のパフォーマンス、カッコよかったぜ』 『次の出番はいつだ?』 『メロディーは最高だな』と 声をかけるようになっていた メロはそれを嫌がっていたが ナッツは 『楽しみにしとけよー』 『次は俺がやるぜー』と 仲間の評判に陽気だった 毎晩CLUBへ仕事で 通うようになってから メロにも変わったことがある ディーの選曲への想いを

          MELODY&NUTS #14 CURIOUS