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MELODY&NUTS #20 RESPONSE

町の外れにある
大きな運動公園
普段はジョギングや散歩を
楽しむ人たちが中心だ

人工的に作られた小高い丘がある
大きな芝のグラウンドが
年に一度
音楽フェスティバルの会場となる

毎年この時期が近くなると
街がスキップしたように明るくなる
クリスマスやハロウィンと
同列に皆
開催を楽しみにしているのだ

7月の太陽はサンサンと輝き
気温は30度を超えていた
溶けるような暑さも心地良い
キンキンのビールを取り扱う屋台には
行列が出来ていた

これから始まる
街の音楽祭を
今か今かと待っている
そんな熱気に溢れていた

今年の目玉は
なんと言っても
JAZZ界の帝王にして鬼才
東堂真一郎だ

その他にも総勢30組を超える
アーティストが演奏する

ステージは
MAIN・ANOTHER・FUTUREの3つ
それぞれに特色がある

MAINステージでは
全国各地のフェスで活躍する
アーティストが中心に
パフォーマンスを行う

ANOTHERステージは
アコースティックやインストゥルメンタルに
特化したライブが展開され
MAINステージで参加している
アーティスト同士の
意外な共演などもあり
コアなファンも多い

そしてFUTUREステージ
5つのCLUBが受け持つステージだ
各CLUBを代表するアーティスト達が
一同に集まりぶつかり合う
MELODYもこのステージに参加する

ジャンルを越え
年代を越え
世代を越え
様々なコト・モノが入り混じる
FUTURE ステージは
音楽の旅へと連れて行ってくれる
そんな場所だ

溜まりに溜まった
エネルギーを少しずつ
開放するかのように
各ステージでの演奏が始まった

『今日は暑いな
 スーツなんか着てくるんじゃなかった』
バックステージにある
出演者エリアでディーがぼやく

『本番までとりあえず
 コレに着替えておきなよ』
メロはフェスのスタッフ用Tシャツをディーに渡した

『ビール買いがてら
 会場を見に行こうか』
『そうしよう
 喉がカラカラだ』

出演者エリアを抜け
屋台へと向かう道中

『メロじゃん』と
DoAの仲間達が声を掛けてくれた

『まだボスは到着していないけど
 メンバーみんな
 自分のことのように嬉しいんだ
 今日はDoA全員で援護するから
 大船に乗ったつもりで行けよ』

『任せとけそのつもりさ』

メンバー全員と握手し
あらためてステージの重さを
痛感したのと同時に
目に見えない力が湧きあがるのも感じた

『仲間っていいな』
ディーが言う
『俺の仲間は
 ディーの仲間だよ
 そういう奴らさ』
メロの言葉を聞いてディーは振り返り

『メロのことは任せとけー
 最高の景色を一緒にみよう!』と
大きな声で手を振り
声を掛けた

それに呼応するように
『WOWOOOOOO』と
地鳴りが返ってきた

『なっ
 言っただろ』
ディーも見えない力を感じているようだった

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