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#敗者の街シリーズ
【有料記事】敗者の街 ― Happy Halloween VI ―
※敗者の街シリーズ未読の方はネタバレ注意です
「よく集まってくれた。そろそろ、俺たちが恋しくなってきた頃じゃねぇかい?」
ハロウィン。
生と死の境界が曖昧になる日。
僕とロッド義兄さん、アン姉さん、オリーヴの四人は、レニーさん、レヴィくんからの呼びかけによって、再び集まることになった。
場所は「繋がりやすい」という理由でロッド兄さんの仕事部屋。ちょっと狭苦しくは感じるけれど、これでも人
【有料記事】ある「少年」の独白【「敗者の街」番外編】
さて、今年もハロウィンがやってきたな。
残念だが、今回はお祭りはナシだ。
大人には事情ってもんがある。毎年毎年盛り上がるって訳にもいかねぇのさ。
来年はどうなるか知らねぇがな。
おっと、俺は「大人」じゃねぇだろうって?
見かけに騙されちゃいけねぇぜ。こう見えて中身はとっくにオッサンだ。
祭りが休みとはいえ、何もねぇってのも味気ねぇ。
そこで、だ。今日は俺の話を聞いていかねぇか
【敗者の街番外編】I want to live.
時々思考が苦痛に塗り潰されて、訳が分からなくなって、自分を見失う。
時間の流れも、今立っている場所も曖昧になって、俺が誰なのかわからなくなって、心がばらばらに砕けていく。
ぼんやりとした夢の中に逃げ込めば、苦痛も苦悩も曖昧になる。
だから、それで良かった。
いいや、本当は良くなかった。
でも、耐えられなかった。
だって、それくらいあぁあぁあ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛
【敗者の街番外編】たとえ死んでも逃がさない
君を愛していた。
そのことに、嘘はないよ。
でも……そうだね。
君に愛されたかった。
その気持ちの方が、強すぎたのかな。
好色で、身勝手で、束縛が激しくて……そんな君のことは、正直邪魔だし鬱陶しかった。
まあ、でも、「どうせ他の男にも同じことを言ってきたんでしょ」って思ったあたり、僕も大概独占欲が強かったのかもしれないけど。
君はいつだって邪魔で、鬱陶しくて、愛せるような
【敗者の街番外編】遺されたもの
失われたものについて、悔いたことも、嘆いたことも、なかったわけじゃない。
いびつな状態での「存在」を、喜ばなかったと言えば、嘘になる。
亡霊として、時折自我や記憶を揺らがせながら、それでも笑いかけてくれた彼と、私だって共にいたかった。
「……でもね、分かっていたの。このままじゃ先に進めないって。だから……そうね。忘れはしないけど、大切な『過去』として、思い出に留めることにしたのよ」
【敗者の街番外編】2018年 冬
たまたま見つけた本の作者名に、既視感があった。
とりあえず買ってきてざーっと目を通し、後書きを見る。
……やっぱり、知ってるペンネームがそこにあった。
『これ、Rodの新作?』
Skipeでチャットを飛ばし、本人に確認する。
いつもの如く、数週間経ってから返事が来た。
『……まあ』
いや、何その微妙な返事。
『買ったよー。サスペンスも書けるんだ?』
『……おう』
えっ、何
【敗者の街番外編】敗者の街 ― Happy Halloween Ⅲ ―
さて……今年もハロウィンがやってきたぜ。
時系列? 設定? そんなモン気にしなさんな。面白けりゃそれでいいんだよ。
……と、念の為だが、「敗者の街」第一部までのネタバレにゃ気を付けな。なんならURLでも貼っといてやるよ。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889605493
てなわけで、楽しんでいってくれや!
***
「今回は新入りが来る
【敗者の街番外編】獣は神に祈らない
汗の雫が頬を伝い、シーツへと落ちた。
首輪をつけた「ペット」は、隣でくたびれて眠っている。
私が頭を撫でると、安心したように微笑んだ。
ㅤああ、すっかり懐いてしまった。
ㅤこれでは、また代わりを探さなければならない。
彼は家出少年だと聞く。家庭の話は話半分に聞いていたけれど、まあ、少なくとも探すような両親じゃない。
それなりに可愛い子だし、「需要」ならいくらでもあるだろう。適当な