心の健常は「更新」
悩みを抱える人を毎日のように観ていると、そんな人には共通していることがある。
心を更新出来ない、更新しない、更新する気がないなど同じ状況に留まろうとするのである。
それは厳密には誰にでもある心理傾向なのだが、固定されたかのように思い込んでいると心の病にまで進んでいくこともある。
たとえば食事が不味いという状況を変えるならあなたならどういった対処をするだろうか。その対処法はいろいろあるはずだ。
心が病に陥りやすい対処法は「我慢して食べ続ける」ことである。食事をする度に「不味いな、不味いな」と同じものを食べ続け、明日も明後日も不味いことがわかっているのに変えられない。そのうちに想像しただけで食べられなくなるのである。
以前に記事にしたように「お先真っ暗は抑うつ気分に陥る」というのは真実であり、それを解決するには新しい体験を学習することだ。更新するということである。
それが出来ないといつまで経っても現状のままであり、助言に対して「でもね」を繰り返す。
やらない理由を延々と述べるが次第に誰も近づかなくなっていき「誰も私のことをわかってくれない」と言いだす。立派な抑うつ気分の出来上がりである。
脳の栄養は刺激であり、可塑的変化によって更新されていくというのが健常であり、停滞や固定は不調を招くことがわかっている。この生理学的な説明はとても重要で心身共に当てはまり、生物学的な基本とは何かを教えてくれる。
頭が良いとか悪いとかではなく「更新する」というのはいつでも誰でも出来る生まれついての機能である。やるかやらないかの意志に少し訓練がいるだけだ。