システマ クワン・リー@横浜セミナー クワンの強さは人をも強くする
クワン・リー(クォン・リー、Kwan Lee)師の横浜セミナーに参加しました。テーマはフルネス(充実感)とパワー。
会場は中華街のど真ん中にある学校で、開場前にクワンが参加者一人ひとりと笑顔で握手してくれたのですが、そのフレンドリーな握手がすでに溢れんばかりのパワーでフルネスでした(笑)。
2日間通してのクワンの印象ですが、こんなに「強さと優しさを併せ持つ」という言葉が似合う人はいないなと思いました。動きも考え方も迷いがないのでシンプルに強いし、強いからこそ余裕があり、優しさも溢れ出ていました。
クワンが言っていたこと
・リラックスからすぐパワーになるのではなく、グラデーションがある。リラックス→フルネス→パワー。
・息を吐く時は口を閉じる(ブルブル唇を震わせる感じだった)
・拳の重さを感じるには、2歩で吸って2歩で吐く(プッシュアップ後)
・足の重さを感じるには4歩で吸って4歩で吐く(スクワット後)
・歩く時は歩幅を狭く、足の重さを移動させるように引きずる感じで歩く(スウィングさせる)
・服や靴の内側で体を動かさずに呼吸して体の内側をストレッチ、日常生活で歩いてる時や座りながらでもできる
・スクワットもプッシュアップも重力を使って上げ下げ、余計な筋肉は使わない
・自分を守るのは自分なので、強くあること、より良くなろうとすることは自然な考え
・ワークする相手を友達だと思って接する。相手を傷つけるのではなく、痛みによってテンションを教えてあげるなど相手がより良くなるようにサポートしてあげる気持ちを持つこと。握手をするようなフレンドリーさでストライク。
・ストライクをされる時は、打たれる前、打たれる時、打たれた後もしっかり相手を見る。
クワンにストライクを打たれて思ったこと
全体的にマーシャルアーツ的なワークが多くて結構ハードでした。痛いのが苦手なので、終始ビビりまくっていたのですが、ペアワークでのビビり顔と全身の硬直をちょうどクワンが見ており、そのままクワンのストライクを受けることに(笑)。
クワンが横に立ったのですが、ストライクを打たれる恐怖でフリーズしました。その様子を見たクワンは笑顔でこう話してくれました。
「痛みはいずれ終わるし、自分はその痛みに負けないと自分を信じること。ある程度の痛みは受け入れる必要がある。それに負けないことがわかっていればいい」
こんなニュアンスでしたが、私の表情や状態から思考までを全部読み取ったかのような言葉ですごく刺さりました。なんならウルッときました。その言葉と笑顔で、クワンは私の弱さを克服する手助けをするためにここに立ってくれているのだという確信がありました。
その時気付かされたこととして、私は臆病な性格なので、物理的な痛みに限らず脅威自体を完全に排除しようとするクセがあるということです。でも、日々の生活で完全排除なんて不可能なので、困難に直面した時はフリーズするし、時には逃げてしまいます。
年齢を重ね、自分の限界を決めて、「これ以上は無理をしないぞ」と自分に言い聞かせているところもあるなと。それも大事ですが、ここぞという場面で踏ん張らないといけないときもあります。その、ここぞの場面で負けない気持ちを教えてもらった気がしました。
クワンは、私の準備ができるまで待ってくれました。それはストライクが来るぞと構える準備ではなく、私が自分を信じる準備です。
クワンの笑顔を見て、その言葉を聞いて、自分の中に覚悟、決意のようなものが芽生えてくるのがわかりました。その変化は自分でもわかりました。開き直ったので(笑)、姿勢も呼吸も整いました。
ニコニコ顔のクワンが、「ほら、今あなたに変化が起きましたね」と言って、私がうなづいて笑顔を返した瞬間にストライクが来ました(笑)。タイミングが絶妙で、ストライク自体も見えないので防御反応は出ません。
痛いのは痛いのですが、クワンのことも自分のことも信じていたので、視線や意識が明後日の方向を見ることなく、まっすぐクワンを見て感じることができました。クワンはストライクを打つという短い時間の中で、とても深く濃く本質的なコミュニケーションをしてくれました。
この経験──本当なら逃げだしたい場面だけど、自分を冷静に保って、自分を信じて、その場で起きたことをそのまま受け入れて、対処して、回復した──という一連の経験は、私にとっては一つのチャレンジになりました。
この年齢になってもこういう形でチャレンジできることがあるんだと驚いたし、自信にもなりました。
まだ痛みの伴うハードなワークは怖さが多く残りますが、マーシャルアーツとしての楽しさを教えてもらった2日間でした。ペアワークでも、組んでくださった方から多くの学びがあり、みなさんに感謝です。例えば、ストライクを打つ側の時も緊張からか、視線をそらしたり、横に逃げたり、距離感が合ってなかったりなどです。
セミナーでの気付きをもとに、また日常生活をサバイブしていこう、そんなことを考えました。