「詩」蝉の夢
土くれの隙間から
漏れる光の一差しが
暗く湿った私の部屋を照らし出す
ここから出たら
時雨のように生命を叫び
ひと夏を生きるのだろう
私は今年も一人土の中
夏は巡り日も巡る
昨日も今日もまた一人
星空に向かい飛び立った
私はまた夢を見る
丈夫な羽を陽に煌めかせ
大空を行く夢を見る
この萎びた羽根は
いつになれば開こうか
私はまた夢を見る
羽根の無い蝉の世界
そこで私は一人だけ
羽根を持って土をでる
私は笑みを溢す
夢の中でも一人きり
拗ねたように一人きり
見送る私も飛びたつ私も
誰に憧れるわけでなく
かけがえのない命を讃えてる
私は今日も夢を見る
date 2020年7月23日
title 『蝉の夢』
taiti
イラスト モリコハル様 『海の底』 #404美術館
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