絵本『もしぼくが本だったら』を読む
▼本が好きな人は、「本についての本」を集め始める場合がある。筆者の本棚には「本についての本」や「読書についての本」、「ことばについての本」が30冊ほど差してある。
そのなかの一冊。
▼去年買った「本についての本」で、最も心に残ったのは、雨の日に青山ブックセンター本店で買ったポルトガルの絵本だった。13言語で翻訳されているそうだ。
『もしぼくが本だったら』。文=ジョゼ・ジョルジェ・レトリア、絵=アンドレ・レトリア、訳=宇野和美。アノニマ・スタジオ、2018年。原著は2012年。
▼すべての頁が「もし ぼくが本だったら」という一言から始まる。
最初の頁は、
もし ぼくが本だったら
つれて帰ってくれるよう
出会った人にたのむだろう。
▼こういう本は、絵の好みが合う、合わないがあるのだが、筆者にとってはしっくりきた。だから、薄いのに2000円弱もする高い本だが、買ってしまった。
本は、人に似ている、と書いたのは、詩人の長田弘だったか。その言葉が思い出される絵本だ。
▼絵本についてあれこれ書くのは苦手だ。あと二つだけ、「もし ぼくが本だったら~」を紹介しておこう。
もし ぼくが本だったら
だれかをしあわせにできるなら
どこへでもゆこう。
もし ぼくが本だったら
〈忘却〉という言葉を
なによりおそれるだろう。
▼気になった人は、どうぞ絵とともに味わってください。
(2019年3月7日)