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怪物の友―モンスター博物館
博物学者、荒俣宏さんの「荒俣節」全開の本です(^^)
実在しない怪物たちと、実在する怪物たち(!)とを取り上げています。
「実在する怪物」というのには、三つの意味があります。
一つは、実在しない怪物と、同じ名で呼ばれる生き物です。例えば、ヒヒなどがそうです。
「ヒヒ」とカタカナで書いた場合には、普通、実在する動物を指しますね。サルの仲間のヒヒです。マントヒヒ、ゲラダヒヒなど、いくつかの種があります。
しかし、この名は、もともとは、実在しない怪物の名でした。こちらのほうは、漢字で「狒々」と書かれます。
この本では、実在するヒヒと、実在しない狒々とが、両方取り上げられています。主に、実在しない狒々のほうですが(^^)
もう一つは、実在する生き物が、実在しない怪物のモデルになった場合です。例えば、お菊虫【きくむし】などです。
お菊虫と呼ばれた虫の正体は、現在では、ほぼ明らかになっています。ジャコウアゲハというチョウの蛹【さなぎ】です。
最後の一つは、実在しない怪物の「証拠」が、実在する場合です。例えば、人魚のミイラなどです。
人魚は、もちろん、実在しません。けれども、人魚のミイラというものは、世にたくさん実在します。なぜでしょうか?
人間が、「証拠」を捏造したからです(笑)
三番目の「実在する怪物」こそが、この本の真骨頂ですね(^^) いや、面白いんです、これが。
実在と非実在のあわいを語る、荒俣節を堪能して下さい。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
第1部 怪物づくし
真夏の怪物博物誌
海女が死をかけて守った竜の玉
いまは大アクビの「かまいたち」
人魚を食って長生き八百歳
大森貝塚で出土? 狒狒【ひひ】の骨
狐より上手 ウサギの毛皮サギ
地中に沈む縊死者【いししゃ】の魂魄
慢心の天狗、じつは謙虚だった
人と入り混じり、姿新たに
怪物百科
遊想動物へのラブレター
鬼/怪物人種/野人/雪男/猩猩【しょうじょう】/魍魎【もうりょう】/狒狒/
猫又/ケルベロス/狛犬【こまいぬ】/マンティコラ/スフィンクス/雷獣/
天狗/火鼠【ひねずみ】/スウ/ベヘモト/ミノタウロス/ペガソス/
麒麟【きりん】/白澤【はくたく】/ユニコーン/イエール/ケンタウロス/
河童/鼻行類【びこうるい】/ロック/ガルーダ/グリフォン/サンダーバード/
鳳凰【ほうおう】/フェニックス/ヌエ/カラドリウス/サラマンダー/
バシリスク/ナーガ/ユルングル/ケツァルコアトル/ウロボロス/大蛇/
シーサーペント/アンフィスバエナ/ドラゴン/ピュトン/ヒュドラ/キマイラ/
ヒュドロス/龍/蜃気楼/レヴィアタン/人魚/摩竭魚【まから】/
鯱【しゃちほこ】/鯤【こん】/クラーケン/アントライオン/お菊虫/
常世虫【とこよのむし】
第2部 怪物学の楽しみ
怪物とは何か
妖怪とは何か
要説・怪物とのおつきあい
『秘密の動物誌』の歴史
澁澤龍彦【しぶさわたつひこ】の怪物趣味
怪物誌の復活
東の龍・西のドラゴン
人魚の伝説
宗教の博物学
第3部 怪物・妖怪放談
〔座談会〕 妖怪の饗宴 水木しげる・別役 実【べつやく みのる】・荒俣 宏
〔対談〕 黄昏時の異人たち 谷川健一・荒俣 宏