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女の風土記 (講談社学術文庫 (709))


女の風土記 (講談社学術文庫 (709))

 日本の女性史を取り上げた本です。分野としては、民俗学や、歴史学(日本史)の本ということになるでしょう。

 女性史といっても、日常の、普通に生きている女性の歴史ではありません。
 かといって、例えば推古女帝のように、華々しい活躍をした女性の歴史ばかりでもありません。

 日常から、ほんの少し、ずれた女性たちの歴史です。普通の女性の延長線上にいるけれど、まったく普通でもない女性たちを取り上げています。

 本書には、例えば卑弥呼のように、誰もが知る著名な女性も登場します。
 そのような女性であっても、「彼女たちは、決して、普通の女性から、隔絶された存在ではない」というのが、本書の立場です。

 世界のどこでもそうでしょうが、古代日本の生活も、厳しいものでした。
 その中で、懸命に生きた女性たちは、高貴な立場であっても、そうでなくても、「もののあわれ」に貫かれていました。どんなに高貴な人であろうと、ふとしたことで死んでしまうのが、古代の日常だったからです。

 本書は、日本の女性の「もののあわれ」史を書いていると思います。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

「学術文庫」のためのまえがき
まえがき

太陽の巫女【みこ】(上)
太陽の巫女(下)
影媛【かげひめ】あわれ
二上山【にじょうさん】の落日(上)
二上山の落日(下)
水鏡【みずかがみ】
フカにくわれた娘
かざしの花
青墓【あおはか】の女(上)
青墓の女(下)
冥府の巫女(上)
冥府の巫女(下)
青衣【しょうえ】の女人【にょにん】(上)
青衣の女人(下)
さかずきの花
飯豊【いいとよ】の青の皇女
ヒスイの耳かざり
あもれおなぐ
白風呂敷の女
筑波山
神風連【しんぷうれん】の女
女の殿様(上)
女の殿様(下)
ささらの傘
不運な星
名ごりの夢
山中の死
登波【とわ】物語(上)
登波物語(下)
漂泊の果てに
辻のはなし
巫娼【ふしょう】のおもかげ
雪のサンタマリア
キリシタンと鯨
からゆきさん(上)
からゆきさん(下)
ある愛国者たち
水草の花
島の老女の話
大神【おおがみ】島の老女
ぱなり焼の歌
人頭税【にんとうぜい】に泣く
荒野に咲く
半世紀の後に
濁密地獄【だくみつじごく】の女
凶作地のかげに
孤島の騎士道
樗【おうち】の花
巨人のまなざし
産のしとね
思いやり
子そだて
家の小ささ
草履【ぞうり】の足音
女の時間
女の宿命
「チチ」と「ハハ」
兄と妹
男と女
女性史の視点
薄明の無言劇

解説  高良【こうら】留美子



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