ヨーロッパの祝祭典―中世の宴とグルメたち
日本では、ゲームなどのおかげで、中世ヨーロッパに対する関心は、だいぶ高まりましたね。
けれども、日本語で読める、中世ヨーロッパのわかりやすい解説書は、なかなか、ありません。
本書は、わかりすく、丁寧に、中世ヨーロッパの文化を紹介しています(^^)
初心者が、中世ヨーロッパを学ぶ本として、お勧めできます。
本書の日本語版第一刷が出たのは、一九八六年です。類書の中では、非常に早い時期です。
この年は、まさに、『ドラゴンクエスト』の第一作が発売された年です。
当時は、ファミコンが世に出て、まだ三年しか経っていません。家庭用ゲーム機といえば、ファミコンしか、なかった時代です。インターネットも、存在しません。
そんな時代に、このような情報を載せた本は、とても貴重だったでしょう。
二〇一三年現在では、本書は、三十年近く前の本ですね。
しかし、内容は、古びていません。祝祭典を中心に、暦に沿って、中世ヨーロッパ世界が展開されてゆきます。
昔の人は、祝祭典で、日々の生活に区切りをつけ、張り合いとしていました。
祝祭典のあり方を知れば、その社会を知ることができます。
読者の私たちも、華やかな祝祭典を楽しみながら、中世ヨーロッパを知ることができます(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
第一章 華やかな中世の祝典
なぜ人びとは祝典を行なったのでしょう/すばらしい饗宴/儀典官の乾杯の音頭/
食塩の献呈/パン係(パントゥラー)によるパンの儀式/洗盤係と水差し/
など
第二章 トゥエルフス・ナイト
仮装/仮装行列/豆の王様と王妃様/トゥエルフス・ケーキ/木々に乾杯/
ラムズ・ウール(子羊の毛)/トゥエルフス・ナイト・ファイヤー/
など
第三章 二月―聖ヴァレンタイン・デイ
広間のラヴ・ランタンと芳しい飾りつけ/宝石のラヴ・ノットと、クラウン”A”/
ラヴ・スリーブス(愛の袖)/ハートを身につける/愛の音楽、シィヴァリー/
など
第四章 三月―イースター
イースター・エッグの儀式/モリス・ダンス/ミステリイ・プレイ――ノアの大洪水/
その他のイースター・デイ
第五章 四月―万愚節【オール・フールズ・デイ】
無礼講の王、雑色服と逆さま/愚人祭と少年司教/
驢馬【ろば】の饗宴とバラムの驢馬/「愚者の鏡」と驢馬のブルネルス/
四月の浮れ騒ぎが示すもの
第六章 五月―五月祭【メイデイ】
五月柱【メイポール】/広間の輪飾りや輪/五月の客人のための輪飾りと肩帯/
五月の女王/春の緑ずくしのごちそうとジャック・イン・ザ・グリーン/
など
第七章 六月―ミドサマー・イヴ
祭典の火/王冠と小枝/最初の式/聖ジョンのハムニイ/カッコー足のエール/
カッコーの歌/卵占いとデスティニイ・ケーキ/ミドサマーのばら/
など
第八章 七月―聖スウィズンの日
聖スウィズンの伝説/食べたり、くわえたりするりんご/七月の他の祭典
第九章 八月―ラマスの日
ラマスの土地/ラマスの饗宴/ベーコンを家へ持ち帰ること/真夏のフィナーレ
第十章 九月―ミカエル祭
手袋、市、そしてパイ・パウダー・コート/鵞鳥【がちょう】行列/
生姜【しょうが】(ジンジャー)
第十一章 十月―ハロウィーン
ジャック・オ・ランタンと広間の大かがり火/
クリスピン王と酒盛りをする人たちのブーツの肩帯/
など
第十二章 十一月―聖キャサリンの日
ラムズ・ウールとキャサリンの杯/キャサリン・ケーキとウィッグス/
円、キャンドル・ジャンプと花火
第十三章 十二月―クリスマス
広間のときわ木/やどり木と”キッシング・ブッシュ”/
ファースト・フット、ラッキー・バードとクリスマスを招き入れること/
など
第十四章 中世の祭りの再現
ローテーション/旗のぼりと壁掛けによる広間の飾りつけ/広間の照明/
テーブルのしつらえ/テーブルの飾りつけ/
など
第十五章 中世のお料理
ごちそうを美しく色づける楽しさについて/
芸術的なコントラストを生み出すための気配り/おもてなしの工夫について/
など
おわりに
索引