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海洋動物の毒―フグからイソギンチャクまで


海洋動物の毒―フグからイソギンチャクまで

 海に棲む生き物の毒について、解説した本です。

 一般向けで、わかりやすいです。それでいて、解説は手を抜いていません(^^)

 近年、有毒生物を解説した本が、いくつも出ていますが、解説の内容がもの足りないことが多いです。
 その点、本書は、安心できる品質です(^^) 専門の方が書いているだけあります。

 本書を読むと、海洋動物の毒は、安定したものでないことがわかります。同じところに棲む同じ種でも、時により、毒化したりしなかったりします。
 普段、食用にされている種でも、毒化してしまうことがあります。例えば、アワビや、ムラサキイガイ(ムール貝)も毒化することが、本書に書かれています。

 本書には、あまり知られない有毒生物も、紹介されています。
 例えば、魚類のヤリヌメリ、巻貝のカコボラ、環形【かんけい】動物のイソメ、サンゴ類のアナサンゴモドキなどです。

 毒に興味がある方、生物に興味がある方、海産物に関わる職業の方に、お勧めしたい本です。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はしがき

第1章 魚類の毒
 1.1 フグ毒―フグ毒に残された謎―
 1.2 シガテラ毒―ようやく姿が見えてきた―
 1.3 魚卵の毒―ヤツメウナギの卵巣は成熟すると有毒になる―
 1.4 血清毒―ウナギは猛毒魚―
 1.5 体表粘液毒(その1)―魚がいやがる魚の毒―
 1.6 体表粘液毒(その2)―ゴンズイに刺されて痛いのは体表粘液毒のせい―
 1.7 魚類刺毒―クラゲ毒と並んで危険な刺毒―
 1.8 その他の魚類の毒
 1.9 研究余禄―味も臭いも悪い不思議な魚ヤリヌメリ―

第2章 棘皮【きょくひ】動物の毒
 2.1 ウニの刺毒―研究はこれから―
 2.2 オニヒトデの刺毒―強力な肝臓毒―
 2.3 サポニン―ナマコ毒は水虫の薬―

第3章 節足動物の毒
 3.1 カニのフグ毒・麻痺性貝毒
 3.2 イソガニ体液はフグ中毒の特効薬

第4章 軟体動物の毒
 4.1 麻痺性貝毒―巻貝にも発見―
 4.2 下痢性貝毒―二枚貝で下痢をする―
 4.3 記憶喪失性貝毒―二枚貝に見いだされた奇妙な毒―
 4.4 神経性貝毒―魚も殺す貝毒―
 4.5 アザスピロ酸―下痢を起こす新しい貝毒―
 4.6 二枚貝のタンパク毒―食べても安心シジミの毒―
 4.7 巻貝の唾液腺毒―カコボラは海産動物で最も毒性が強い―
 4.8 刺毒―射撃の名人イモガイの毒―
 4.9 巻貝の鰓下腺【さいかせん】毒―アクキガイ科巻貝の鰓下腺はおもしろい―
 4.10 頭足類の咬毒【こうどく】―小さくてきれいなタコにご用心―
 4.11 その他の軟体動物の毒

第5章 環形【かんけい】動物、紐形【ひもがた】動物および扁形【へんけい】動物の毒
 5.1 環形動物の毒―農薬に生まれ変わったイソメの毒―
 5.2 紐形動物および扁形動物の毒

第6章 刺胞【しほう】動物の毒
 6.1 クラゲの毒―クラゲはあなどれない―
 6.2 イソギンチャクの毒―イソギンチャクは毒の宝庫―
 6.3 サンゴの毒―アナサンゴモドキでやけどにご用心―
 6.4 スナギンチャクの毒―複雑かつ猛毒パリトキシン―

あとがき
参考文献
索引



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