イタリア異界物語―ドロミーティ山地 暮らしと伝説
イタリアの中でも、山深いドロミーティ山地の民話を集め、紹介した本です。
単なる民話集ではありません。著者が、ドロミーティ山地で実際に出会った人々や、そこでの暮らしも、紹介されています。
ドロミーティ山地には、母語がイタリア語ではない人々がいます。
ラディン語というマイナーな言語が、残っているのです。ラテン語ではありません。ラディン語です。
このことからわかるとおり、ドロミーティ山地には、イタリア内でも、特異な文化が残っています。そこに伝わる民話にも、独特な魔物が登場したりします。
もちろん、イタリアの他の地域と、共通する要素もあります。
そこに、例えばドイツ的な要素や、アーサー王伝説の要素や、ギリシア神話的要素などが入っています。とても興味深いです(^^)
ドロミーティ山地は、文化のごった煮地帯です。
イタリアの民話や妖怪が紹介されること自体が、日本では、珍しいですね。
本書は、日本語で読める、貴重な資料です(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
I 白雲石【ドロマイト】の由来伝説
▼月の花と光の糸
II この世ならぬ者たち
森と山の精、仙女
▼犬をけしかけられたヴィヴァーナ(仙女)
▼タラタとタラトン
空気の精、水の精
▼虹の湖
▼鉄の手
III 女のもうひとつの面
山姥【やまんば】
▼ブレゴスターナとお産婆さん
▼ブレゴスターナの取り替え子
IV サルヴァン(山や森の男)
▼死者たちの真夜中のミサ
▼通夜の死者
▼サルヴァンの糸玉
▼サルヴァンと赤い服
▼境界石を動かす者
V 小人
▼「ばらの園」と小人王ラウリン
▼森の精マザルオ
VI 巨人
▼ピチェヴェルトの巨人
▼巨人オルトレス
VII 異界の悪女――魔女
▼曙【アルバ】の呪文
▼トルッド(夢魔女)と鍛冶屋
▼バターを生む脂薬
▼魔女とふたりの召使い
VIII 魔女の女王
▼ジェプレングの化け物
▼母の涙で濡れた着物の子
IX 得体の知れぬ魔物たち
オルコ
▼オルコ
▼クヮテルテンポラ
その他の魔物
▼パヴァロ
X 幽霊
▼「果たされなかった誓願」
▼秘密のワイン蔵
▼死の予告
XI 花は語る
▼プラディダリの野
▼ミランドレス(イヌサフラン)の騎士
XII 樹木も人なのか? そして石も
▼石の民、クロデーレス人と女王タンナ
XIII 人はたちまち動物に変じ、その逆もまた真なり
▼チョンポとサリエッテス(忘れな草)
▼赤い岸壁
▼サッソルンゴ山のうぐいす姫
XIV 異界の動物たち
▼白い蛇
▼毛虫退治
XV 伝説をいろどる鉱脈
▼最後の人身御供【デリバーナ】
XVI アーサー王宮廷から飛翔してきた騎士たち
▼チャンボルピン
おわりに